プレスリリース
2023年6月29日 2023年6月28日 更新

訪問看護ステーションと調剤薬局の連携による在宅医療の拡充について ~地域包括ケアシステムのモデルケース構築を目指す~

住友商事株式会社(以下「住友商事」)、訪問看護ステーションの⽀援を⾏う株式会社eWeLL(以下「eWeLL」)、住友商事グループで調剤併設型ドラッグストアを展開する株式会社トモズ(以下「トモズ」)(以下「3社」)は、地域包括ケアシステム(※)のモデルケース構築を目指し、訪問看護ステーションと調剤薬局の連携に関する実証実験(以下「本実証実験」)を開始します。ニーズの高まる在宅医療の拡充により、患者さまのQuality of life向上に寄与します。

(※)地域包括ケアシステム:団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供するもの。

 

 

■地域包括ケアシステムにおける在宅医療の現状と課題

日本における65歳以上の高齢者数は、2015年の3,395万人から、2025年には3,657万人となり、総人口の30パーセントを超えると予測されています。高齢化の進行に伴い、国は医療を提供する場を病院から在宅へと移していく方針です。1日あたりの推定在宅患者数は2015年の約70万人から2025年には約90万人にまで増加が見込まれており、訪問看護や在宅調剤を含む地域包括ケアシステムの重要性・ニーズは益々高まっています。

地域包括ケアシステムの推進には、多職種(地域の医師・看護師・介護士・薬剤師等)が連携して、包括的かつ継続的な在宅医療・介護を提供する必要がありますが、各組織の運営主体が異なることや、各職種が極めて多忙であることから、連携の仕組は確立されていない状況です。また、訪問看護師の慢性的な人手不足も深刻な課題となっており、1人の訪問看護師がより多くの在宅患者さまを支える必要がありますが、現場では訪問看護師が体調確認や点滴などの看護業務に加え、服薬管理も行うケースもあり、多くの業務負荷がかかっています。

 

 

■本実証実験の概要と目指す姿

本実証実験では、eWeLLの取引先訪問看護ステーションとトモズの調剤薬局が連携し、在宅患者さまのニーズを踏まえ、訪問看護師・薬剤師の双方がそれぞれ在宅患者さまの居宅に訪問し、より専門的なアドバイス・処置を提供するサービスを提供します。

 

<訪問看護ステーションおよび調剤薬局の連携における具体的なメリット>

在宅患者さま:訪問看護師による処置・アドバイスだけでなく、薬剤師による服薬管理および薬に関する専門的なアドバイスや管理栄養士による栄養指導を受けることが可能となる。

 

訪問看護:それぞれの専門分野で役割分担をすることにより、訪問看護師の負担が軽減され、より多くの在宅患者さまを専門的にケアすることが可能となる。

 

調剤薬局(在宅調剤):訪問看護師・薬剤師間での情報連携が強化されることにより、薬剤師は、訪問頻度の高い看護師から状況をヒアリングすることができるため、状況理解が深まり、より在宅患者さまに寄り添ったケアが可能となる。

 

 

2023年6月より実証実験を開始し、24年度の本格展開を目指します。まずはeWeLLの取引先訪問看護ステーションとトモズの調剤薬局、在宅患者さまの所在地が重複する都内の一部エリアを対象にサービスを展開します。本格展開では、首都圏に位置する3,600箇所以上の訪問看護ステーションおよび約250店舗のトモズ薬局の所在エリアへの拡大を見込んでいます。さらに、連携の仕組確立後は、全国に拠点を持つeWeLLのネットワークなどを活かして、多職種連携の地域包括ケアシステムのモデルケースとして、全国的な展開も検討します。

 

また、在宅医療における多職種の連携強化においては、医療データ活用も重要な要素です。将来的には、eWeLLが展開する電子カルテ「iBow」の訪問看護データをはじめ、訪問診療や訪問歯科診療、在宅調剤などの在宅医療全般のデータの多業種共有・利活用も検討していきます。

3社は、これらの在宅医療の取り組み強化により地域包括ケアシステムの発展・推進に寄与します。

 

 

<サービス概要図>

 

 

 

地域包括ケアシステムにおける各社の取り組み

■住友商事

住友商事は、中期経営計画「SHIFT 2023」において「ヘルスケア」を次世代成長戦略テーマの一つに掲げ、国内では、事業会社のトモズを軸とした調剤薬局事業の拡大や、調剤薬局を基盤とした地域包括ケアシステムの構築に取り組んでいます。

住友商事は、本実証実験などを通じて、訪問診療や看護、処方および服薬指導などを一気通貫で提供する体制を構築します。在宅医療の体制充実や訪問看護師の負担軽減を図り、地域包括ケアシステムのモデルケース確立を目指します。このように他業種が組織立って連携を推進するのは日本初の取り組みで、総合商社ならではの広いネットワークを活かして推進していきます。また、取引先や他グループ企業との連携についても加速させ、トモズをはじめとする調剤薬局を起点とした地域包括ケアシステムのプラットフォーマーとなることを目指します。さらに、医療機関でのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進や医療データを活用した事業なども組み合わせ、個人のQuality of Life向上に資するサステナブルなヘルスケアシステムを構築していきます。

 

■eWeLL

eWeLLは、ITを活用した在宅医療の業務支援を推進しています。主な事業は、地域医療を支える訪問看護ステーション向けに電子カルテ「iBow」等をサブスクリプションで提供するクラウドソフトウェア事業で、全国47都道府県2,200以上のステーションでご利用いただいています。

地域包括ケアシステムの中で重要な役割を果たす訪問看護ですが、それを担う看護師が不足している現状があります。更には、訪問看護事業者の多くが患者情報管理等に関する多量の書類を手書きで作成しており、看護師の業務量削減が急務となっています。eWeLLは「iBow」の導入により、訪問看護の業務全般を従来のアナログ運用からデジタル運用へシフトし、負担の軽減と業務効率化を実現しています。

eWeLLは、本実証実験により、より良い在宅医療の実現に向け、在宅患者さまとそのご家族、そして在宅患者さまを支える医療従事者が抱える課題の解決にこれからも取り組んでまいります。

 

 

■トモズ

トモズは、首都圏を中心に調剤併設型ドラッグストアを約300店舗(子会社含む)展開しています。トモズは30年前の創業当初から、薬の提供が病院から調剤薬局に移行する「医薬分業」の流れをいち早く捉え、医薬品や日用品の販売と調剤薬局の機能を備えていました。そして、地域の皆さまの健康と豊かな生活に奉仕する「かかりつけ薬局」となるという理念のもと、事業を展開しています。

また、地域医療に対するアプローチの一つとして、2017年より高齢者や寝たきり生活を送る患者の自宅をトモズの薬剤師が訪問し、薬の提供と服薬指導を行う、在宅調剤サービスを約100店舗(調剤実施店舗のおよそ6割)で提供しています。本実証実験を通じて在宅調剤サービスを更に強化し、地域の皆さまが健康で豊かな生活を送れるよう、今後も努めてまいります。

 

 

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