訪問看護における多職種連携!どんな職種との連携が必要?
日本では年々在宅医療へのニーズが高まっています。医療の質や安全性を保ちつつ、利用者の多種多様なニーズに応えるためには、医療・介護に携わる専門職が、連携・補完を通して助け合いながらチームで医療に当たる「多職種連携」が必要になります。今回は、多職種連携の必要性について紹介します。
なぜ多職種連携が必要なのか?
利用者が住み慣れた地域で心地よく生活するためには、医療、介護、生活支援などのあらゆるサービスが「包括的」、かつ「継続的」に提供される「地域包括ケアシステム」の構築が重要です。地域包括ケアシステムは、病院やクリニックなど医療機関に勤務する医師や看護師、訪問医、訪問看護ステーション、介護スタッフ、薬剤師、理学療法士や作業療法士など、多職種によって支えられています。「利用者の生活を支える」という目標のため、異なる専門職がチームを組み、それぞれの立場から専門性を発揮し、情報共有や意見交換をすることではじめて、サービス品質の向上に繋がります。積極的なコミュニケーションが多職種連携の要です。
知っておきたい!訪問看護と連携する職種
訪問看護師が利用者の療養生活を支える上で、よく連携する職種について紹介します。
訪問看護は、主治医の指示書に基づいておこなわれるため、医師との連携は必須です。医師は訪問看護師と比較すると、利用者との関わりが短時間であることが多いため、訪問看護師の看護記録から、利用者の日々の状況を把握します。連携のためにも、その看護記録は重要になってきます。利用者の状態や医療ケアの問題などで必要な際には、医師へ直接、連絡を取って指示を仰ぐこともあります。
病院や診療所など、医療機関で勤務する看護師とも連携が必要になることがあります。病院退院後のケアを訪問看護師が担う場合などには、退院前からカンファレンスで情報共有を行います。利用者本人や家族の医療ケア手技の習得状況や、ADLの程度、疾患の受け止め方などについては病院看護師が最も情報を把握していることが多いため、予め確認しておきましょう。
ケアマネージャーは、医療や介護を必要とする利用者が適切なサービスを受けられるよう、ケアプランの作成やサービス事業者との連携・調整を行う専門職です。訪問看護師は、利用者と接する時間が長いため、身体状況やADLの変化により気づきやすい職種です。そのような気づきを医師だけでなくケアマネージャーにも報告することで、ケアマネージャーは利用者の状態に合わせたプランを作成しやすくなります。
ソーシャルワーカーは、生活に問題を抱える人々に対して、医療・介護・福祉における相談や援助、調整を行う専門職です。入院先や自宅において、利用者や家族、医師などからの相談に応じ、必要に応じて訪問看護師などの他職種へ介入を依頼します。
訪問介護員(以下、ヘルパー)との連携も重要です。ヘルパーと訪問看護師は、利用者へ直接的なケアをおこなう職種という点では共通していますが、訪問看護師は主に「医療的なケアや管理」を行うのに対し、ヘルパーは利用者の生活を支えるための「日常生活援助」を行うというように、それぞれの役割が異なります。しかし、利用者が必要とする医療ケアとして頻度の高い「喀痰吸引」「経管栄養(経鼻胃管・胃ろう)」の2つの医療行為については、看護師の指導の下ヘルパーでも実施が可能であると法律で定められています。訪問看護師は、ヘルパーが安全に「喀痰吸引」「経管栄養」のケアを提供できるよう、助言・指導する役割を担います。同時に訪問し、ケアにあたることもあります。
利用者が正しく薬物療法を行うために、薬剤師との連携も欠かせません。利用者の薬物療法に関しては、かかりつけ薬局の薬剤師が担当し、薬剤の保管方法や服用方法などについて「服薬指導」を通して利用者や家族に指導が行われています。しかし、在宅療養では、医療者による管理体制に限界があるため、利用者や家族が薬物治療について十分に理解していない場合に「飲み忘れ」や「管理方法ミス」「過剰服用」などのトラブルが発生してしまうことがあります。このようなトラブルを防いだり早期発見したりするためにも、訪問看護師は、利用者の治療内容を把握し、日々の服薬や薬物の管理が適切におこなわれているかを確認しましょう。問題がある場合や副作用が出現している場合など必要時は、医師と薬剤師に適切に報告を行う必要があります。
在宅医療において、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士(以下「理学療法士等」)との連携の機会は非常に多いです。訪問看護ステーションのスタッフとして、理学療法士等が在籍していることが多く、毎日のように顔を合わせることになります。理学療法士等は、利用者の機能の把握や機能回復の予測をおこない、ADLの維持や拡大を目標にリハビリテーションの計画・実施を担う専門職です。申し送りを通して、訪問看護師は利用者の病状や医療的な情報を共有し、理学療法士等は利用者の機能について情報共有します。情報をもとに、お互いが、リハビリ時に病状に注意したり、日々の看護ケア時にリハビリの要素を取り入れるように心がけたりすることで、より効果的なケアが提供でき、利用者の機能強化に繋がります。
地域包括ケアシステムにおける多職種連携のポイント
このため、国では2025年を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを最期まで継続できるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を目指しています。
> 【訪問看護アクションプラン2025】地域包括ケアシステムでの訪問看護の役割
地域包括ケアシステムにおける多職種連携のポイントは以下の通りです。
- 患者、利用者、家族、コミュニティを中心とする
- 職種間コミュニケーションを取る
- 職種の役割を全うする
- 自職種を省みる
- 他職種を理解する
- 関係性に働きかける順に説明します。
患者や利用者にとっての重大な関心事あるいは課題を十分に把握し、関わるチームメンバーが一つの目的を持ち、共通の目標を設定することが重要です。
タイムリーな情報共有を心がけることはもちろん、それぞれの専門職が違った意味で言葉を使っていないか、専門用語を使いすぎて他職種の理解が追いついていないということがないようにしましょう。
患者・利用者に対する訪問看護師の役割だけでなく、チーム医療のなかでの訪問看護師の役割を把握し、どのような能力を発揮すべきかを意識して動くことがポイントです。患者・利用者に対してどのような職種が関わっているのか、また地域の状況や患者・利用者の課題は何なのかということも合わせて理解しましょう。
自分自身、そして訪問看護ステーションとして、訪問看護師としての専門性を活かしてチームにどのように貢献できたか、そして今後改善すべき点は何かということを考える機会をもつようにしましょう。このような機会をつくることは、訪問看護師としてのスキルアップにも繋がります。
自職種の役割だけでなく、他職種の役割を理解することも重要です。他職種の思考や行為、感情や価値観を理解し、連携協働に活かしましょう。
チーム内の関係性にアンテナを張り、チーム内の関係性をより良くしていこうという姿勢が大切です。風通しの良いチームを作るために、自分自身や訪問看護ステーションとしてできることがないか、考えてみましょう。
多職種との情報共有にも便利な訪問看護専用電子カルテ『iBow』
多職種との連携を図る場としては「担当者会議」など対面で直接カンファレンスを開催することもありますが、だいたいは記録など書面でのやり取りが中心となります。病院など同一機関で働く多職種は必要なタイミングで多職種カンファレンスを開催できますが、在宅医療に関わる各職種は、利用者のもとを訪問するタイミングも時間帯もばらばらで、一度に利用者を囲める機会というのはほぼありません。そこで、おすすめしたいのが訪問看護専用電子カルテ『iBow』の導入です。
iBowは、時間のかかっていた記録書作成や報告の時間を短縮できるので、業務を効率よく行うことができます。また、訪問以外の情報もケアを行う際には大切な情報となります。iBowでは日々の記録だけでなく、電話対応などの細かな情報までしっかり記録に残し訪問前や訪問中にも簡単に確認することができるので、電話での対応内容を基にサービスを行うことが可能となり、より細やかなケアを行うことができます。結果サービスの質を向上することにつながります。
その他、タブレットで熱系グラフや撮影した写真を時系列でみることができます。こういった情報は印刷したり、データで送ることもできるので多職種の方に共有する際に記録と一緒に添付するとより具体的に利用者の情報を伝えることができます。
まとめ
今回は、訪問看護における多職種との連携の必要性や実際に連携する職種、そしてスムーズな連携をサポートするシステム「iBow」について紹介しました。訪問看護師だけでなく、医療職や介護職全体において慢性的な人手不足が問題となっている今、タイムリーな情報共有による連携強化がより一層求められています。ぜひ、iBowを利用して、より良い地域包括ケアシステムの構築に努めましょう。
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