訪問看護ステーションを開設するのに必要な費用
在宅医療へのニーズが高まる中、「地域医療へ貢献したい」という思いで訪問看護ステーションの開設している看護師も少なくないのではないでしょうか。訪問看護を立ち上げる際に考慮すべきテーマのひとつが費用の問題です。今回は、訪問看護ステーション設立を検討している人に向けて、訪問看護ステーションの開設や運営に必要な費用について紹介します。
また、訪問看護の開業については 訪問看護ステーション開業・開設マニュアル -必要な人員や申請書類について- の記事も参考にしてみてください。
訪問看護ステーション開設に必要な費用とは?
訪問看護ステーション開設に必要な費用には、大きく「設備資金」「運転資金」の2種類に分けられます。それぞれを詳しく紹介します。
設備投資とは?会社が事業の維持・拡大をするために必要な資金について
「設備資金」とは、訪問看護ステーション開設のために必要な設備を購入するために必要な資金のことです。必要な設備資金は以下の通りです。
- 物件取得費
- 電子機器代
- 車両費
- 広告宣伝費
- 備品購入費
- 指定申請手数料
- 会社設立費用
訪問看護ステーションの開設には、事務所を構えることが必要になります。多くの場合、賃貸物件を使用しますが、中には購入して事務所として使用するケースもあります。賃貸の場合、敷金・礼金、管理費、賃貸料などの初期費用を含め50万円~100万円程必要になります。購入する場合は物件の間取りなどの条件にもよりますが、事務所として利用することを想定し、スタッフの仕事場やトイレ、休憩室などを用意できる間取りを想定すると、500万円~1500万円程度は必要になることでしょう。
訪問看護では電子カルテの利用やスタッフ間の連携のために、携帯電話やタブレット、パソコンなどの電子機器が必須です。電子機器そのものの購入に係る費用に加え、システム利用料やWi-Fi利用料なども必要となるため、初期導入には50万円程度考えておくと良いでしょう。
訪問看護には移動が必要で、自転車や自動車は数台ずつ備えておく必要があります。自転車は1台1万円のものを3台用意するとして3万円、新車の軽自動車を2台用意するとなると200万円~300万円ほど必要です。また、ステーションの宣伝目的で自動車にステーションのロゴをプリントする場合はデザイン料やプリント料などで別途1台5万円~10万円程必要になります。
看護師をはじめ、スタッフ募集のための求人広告費用やステーションの宣伝のためのパンフレット・看板作成などの外注費用について、50万円程度必要です。最近では、InstagramやTwitterなどSNSを活用して求人・宣伝を行うステーションもあります。SNSは無料で利用できるため経費削減となりますが、ケアマネージャーへの営業など、対面での挨拶の際にはパンフレットを準備しておくと良いでしょう。
事務所には、デスクやチェア、コピー機、機密文書保管場所、医療物品(血圧計、体温計、血糖測定器等、聴診器等)等、最低限の備品が必要となります。このような備品のために100万円~150万円程度見越しておきましょう。
訪問看護事業を開始する際、「指定申請手数料」として3万円程度必要となります。指定申請手数料は、都道府県や市区町村によって異なるため、所属する自治体で必要になる費用を確認しておきましょう。
法人を設立するために、法務局への登録が必要となります。株式会社とする場合は25万円程度、合同会社の場合は10万円程度必要です。NPO法人の場合は非課税となるため0円で設立登記ができます。しかし、一般的な営利企業の設立手続きは1~2週間程度で完了しますが、NPO法人の設立手続きには、最低でも3か月以上の時間がかかります。また、「事業報告書・収支計算書・財産目録・社員名簿(正会員名簿)」などを管轄する都道府県庁(または内閣府)に毎年提出しなければなりません。法人には他にもいくつか種類があるので会社の目的や目指す方向性、役員構成など、それぞれの状況に応じて、どの形態の法人にするのかを決めていきましょう。
運転資金とは?会社の正常な営業活動を行っていく上で必要な資金について
「運転資金」とは、訪問看護ステーションで業務を行う上で必要になる「人」や「物」に対する費用のことです。必要な運転資金は以下の通りです。
- 人件費
- 水道光熱費
- 雑費
人件費には、給与や社会保険料、福利厚生費、資格取得費等が含まれます。通常、人件費は売上で賄いますが、ステーション開設当初は利用者が少ないこと、初期費用が必要となることから、経営は赤字へ傾きます。そのため、開設当初から3~6か月分の人件費は予め準備しておく必要があります。人件費はスタッフ数によって異なりますが、1人当たり1ヵ月30万円、スタッフ数4名と仮定すると、360万円~600万円程度は用意しておけると安心です。
水道光熱費も事務所で作業を行う際に必要です。月に2万円程度見積もっておきましょう。
ステーションでの業務には様々な事務用品や医療用品が必要です。例えば文房具やコピー用紙、名刺、医療衛生材料、トイレットペーパーや手指消毒剤などが挙げられます。開設当初は新たに揃えるものが多いため、20万~30万円程度見積もっておきましょう。
ココが知りたい!立ち上げ資金はいくら必要?
以上のことを踏まえると、訪問看護ステーションの新規立ち上げには800万円~1,000万円程度必要となることがわかります。膨大な資金が必要になるため、驚く人もいるかもしれません。しかし、求人や宣伝に必要な資料を自作したり、自動車を中古車にしたり、少しでも早く利用者を獲得してステーションの経営が軌道に乗るようにしたりすることで、初期費用を抑えることは可能です。それでも、手元のお金だけで対応できる人は少ないでしょう。資金調達の方法についても紹介します。
具体的には、以下の方法があります。
- 銀行や信用金庫から融資を受ける
- 日本政策金融公庫から融資を受ける
銀行や信用金庫は売上の管理等においても身近な存在になります。しかし、融資の際には事業計画書や経営の見通しを求められるケースもあるため、個人開業で今後の経営状況の見通しがつきにくい場合、融資を受けられない可能性があることを念頭に置いておきましょう。
資金調達についての詳しい内容はこちらの記事を参考にしてみてください。
> 訪問看護ステーションを開業したい、事業拡大したい経営者の方へ!知っておきたい5つの資金調達
新規開業にお悩みの方も安心!iBow新規開業パーフェクトコース
訪問看護ステーションの立ち上げには、資金調達の他にも様々な手続きや準備が必要です。訪問看護の開業に向けて準備に不安を持っている方もいるのではないでしょうか?そこで、おすすめしたいのが、「新規開業パーフェクトコース」です。多くの新規開業ステーションをサポートしているiBowは、その知識や経験を活かし、『新規開業パーフェクトコース』 で新規開業に向けたサポートも行っています。
(※新規開業パーフェクトコースはiBowご契約のお客様のみとなります)
新規開業パーフェクトコース内容
新規開業準備に伴う必要な知識を分かりやすく解説!!
①いつでも見られるセミナー動画
開業までに知っておきたい訪問看護の基礎知識や、開業に必要な採用や物品準備など、6つのセミナーがいつでも見られます。
②オリジナルでも使える書類テンプレート
採用時の書類や、利用者様との契約書類申請時に必要な書類などを、テンプレートしてお渡しします。ステーションに合わせて編集も可能です。
③レセプト時にも安心請求ガイド
請求時に役立つ「訪問看護関連報酬・請求ガイド」をプレゼントいたします!
まずはお気軽に、ご相談ください。
まとめ
今回は、訪問看護ステーション開設に必要な資金について紹介しました。訪問看護の立ち上げ前後は想定以上に出費がかさみます。事業をスタートしてから資金不足で困らないように、事前に必要な資金を確認し、準備しておきましょう。
また、訪問看護を立ち上げた後に、制度や加算などレセプトについて不安を感じている方は訪問看護専用電子カルテ「iBow」がおすすめです!iBowのカスタマーサポートは、訪問看護に関するあらゆることに精通したスペシャリストが揃っています。システムのことはもちろん、加算などの制度まで、皆様の疑問や不安を⼀緒に解決します。訪問看護立ち上げの後の運営に不安を感じている方はぜひ一度、iBowに相談してみてください!