訪問看護の開業検討者必見!立ち上げ前に知っておきたい5つの資金調達と訪問看護で使える助成金
「訪問看護立ち上げの資金調達方法を知りたい」
「開業時に使える助成金はある?」
訪問看護の立ち上げで必須の資金。しかし、どのように調達したら良いのか分からないと悩みますよね。そこで今回は、訪問看護の立ち上げで活用できる5つの資金調達法と、融資を受けるために大切なこと、開業後も利用できる助成金についてご紹介します。資金の悩みを解決したい方は、ぜひ参考にしてください。
また、訪問看護の開業については 訪問看護ステーション開業・開設マニュアル -必要な人員や申請書類について- の記事も参考にしてみてください。
立ち上げ前に知っておきたい!5つの資金調達
早速、訪問看護を立ち上げる際に候補となる、5つの資金調達をご紹介します。
1.日本政策金融公庫からの創業融資
日本政策金融公庫は、新たに事業を始める方への融資を行っている公的金融機関です。女性の方や、35歳未満または55歳以上の方は、通常の利率よりも低い特別利率で融資が受けられます。融資を受けるには創業計画書の提出が必要で、計画を遂行する能力が十分と認められた場合に限られます。
【融資限度額】
7,200万円(うち運転資金4,800万円)
申請者の事業計画や信用力によって融資を受けられる金額は異なります。
【返済期間】
・設備資金 20年以内(うち据え置き期間5年以内)
・運転資金 10年以内(うち据え置き期間5年以内)
2.地方自治体からの制度融資
都道府県や市町村を運営する地方自治体では、地域の活性化や中小企業支援のために、開業資金融資制度を提供しています。訪問看護事業は地域医療や福祉の一環として捉えられるため、特に地方で訪問看護を立ち上げる際は利用しやすいです。金利が低く設定されていることが多く、自治体によっては無利子での融資や、保証料補助が受けられる場合もあります。申請条件は各自治体の基準によって異なるため、立ち上げる地域の各都道府県庁や、各市町村役場に詳細を確認しましょう。
3.銀行や信用金庫からの融資
銀行や信用金庫は、一般的な資金調達手段として利用されています。特に、地方の信用金庫は地域密着型であるため、地域に貢献する訪問看護事業には柔軟に対応してもらえる可能性があります。融資を受けるためには、事業計画や資金繰り表、売り上げ・収支予測表、代表者の経歴書などが必要です。看護師や管理者の経歴などの社会的信用も重視され、社会的信用が低い場合は、保証付き融資を受けることで審査が通りやすくなります。金利は日本政策金融公庫や地方自治体からの融資と比較すると、高い傾向にあります。
4.クラウドファンディング
クラウドファンディングは、一般の支援者から資金を集める方法です。訪問看護事業の社会貢献性や地域医療の発展に注目する価値をアピールし、共感を得て資金を集めます。クラウドファンディングをするには、プラットホーム(READYFOR、CAMPFIRE、Makuakeなど)を選択し、プロジェクトを立ち上げます。集まった資金の返金は必要ありませんが、返礼品での還元が必要です。クラウドファンティングでは多くの支援者を求める必要であること、目標金額に達しない場合は資金を受け入れられないこともあるため、不確定要素が多い点に注意が必要です。
5.ファクタリング
訪問看護の立ち上げにおけるファクタリングは、介護報酬や医療報酬などの売掛金(未収金)を早期に現金化するための手段として利用されます。訪問看護はサービス提供から請求、報酬入金まで約2か月かかるため、立ち上げて間もない期間は、運転資金が不足しやすいです。ファクタリングを利用することで、本来であれば約2か月後の入金が、約1.5か月で入金されるため経営の安定化が見込めます。請求額の7割~9割が前倒しで入金され、残りは通常どおり2か月後に入金されます。
開業資金の融資を受けるために大切なこと
融資を受けるためには、金融機関に事業の将来性や返済能力を納得してもらうことが必要です。以下の3つのポイントに気をつけて準備を整えましょう。
明確で実現可能な事業計画を立てる
事業計画は、金融機関が事業の成長性や返済の可能性を判断するための重要な基準です。事業の概要だけでなく、具体的な売上目標、提供サービス、ターゲット顧客、マーケティング戦略や運営体制などを網羅した計画を作成する必要があります。収支のバランス計画やキャッシュフローの予測を示し、計画が現実的かつ実行可能であることをアピールしましょう。 また、万が一のリスクに対する対策も記載すると、信頼度が増します。計画が具体的であればあるほど、事業への熱意や準備の充実度を示すことができ、融資審査でも好印象を考えることができます。
自己資金を確保する
自己資金の確保は、融資審査で重要な要素です。自己資金が多いほど、金融機関からの信頼度が高まり、融資の承認を得やすくなります。その理由は、自己資金があることで経営者がリスクを分担し、事業に真剣に取り組んでいると判断されるためです。一般的には、事業の立ち上げ資金の10〜30%程度を自己資金として準備することが望ましいとされています。また、自己資金が多いほど、月々の返済負担を軽減できるため、事業の安定性も向上するメリットもあります。
すべて1人でやろうとせず専門家のアドバイスを受ける
融資を成功させるためには、1人で準備を進めるよりも、専門家のサポートを受けることが大切です。 融資の手続きに必須の事業計画の作成には、資金や運営の知識が求められます。専門家のアドバイスを受け入れることで、金融機関が求める基準に沿った事業計画や収支計画を作成できます。また、専門家がいることで、金融機関からの信頼度も向上し、審査がスムーズに進む可能性が高まります。
訪問看護で開業後も利用できる補助金・助成金
訪問看護を開業後も、利用できる補助金・助成金があります。
なお、補助金・助成金を利用するにあたって、基本的には以下の条件が必須です。
・ 法人登記がされている
・ 社会保険や雇用保険への加入をしている
・ 正しい運営体制をしている
開業後も利用できる補助金・助成金をご紹介します。
両立支援等助成金
両立支援等助成金とは、仕事と家庭の両立支援に取り組む事業主へ支給される助成金です。助成金の各種類と支給額を解説します。
出生時両立支援コース
男性職員が、積極的に育児に参加できるような職場づくりを促進することを目的とした助成金です。育児休業を取得しやすい雇用環境整備・業務体制整備を行い、子の出生後8週間以内に育休を開始する必要があります。
【支給額】 | |
1人目 | 20万円 |
2人~3人目 | 10万円 |
育児休業等の利用状況に関する情報を公開した場合、上記の支給額に追加で、情報公表加算(2万円)が適用されます。さらに、男性労働者の育児休業取得率(%)が、出生時両立支援コースを申請した年度から30ポイント以上上昇した場合も、助成金が支給されます。
育児休業等支援コース
働き続けながら子育てをする職員の雇用を継続することを目的とした助成金です。対象者と面談を行い、育児休業復帰支援プランを作成します。プランに基づいて、3か月以上の育児休業を取得・復帰の取り組みをすると支給されます。
【支給額】 | |
育児休業取得時 | 30万円 |
職場復帰時 | 30万円 |
育休中等業務代替支援コース
育児休業や育児のための時短勤務を利用する職員の業務を、代わりに担える体制を整備した事業所が受け取れる助成金です。育児休業者や時短勤務労働者、周囲の労働者に手当を支給するなどの取り組みを行った場合や、業務代替のための新規雇用をした場合に支給されます。
【支給額】 | |
育児休業中の業務代替者への手当て支給 | 最大125万円 |
育児時短勤務中の業務代替者への手当て支給 | 最大110万円 |
育児休業中の新規雇用 | 最大67.5万円 |
育休中等業務代替支援コースの助成金は、1年度合計10人まで、初回から5年間の上限があります。
※参考:12両立支援等助成金(4)育休中等業務代替支援コース‐厚生労働省
※参考:育児休業や短時間勤務の利用期間中の業務代替を支援します‐厚生労働省
柔軟な働き方選択制度等支援コース
3歳以降就学前までの子を持つ職員の、柔軟な働き方ができる制度を複数導入して支援する取り組みをすると支給されます。
支援する取り組みは、育児休業や時短勤務、時差出勤、フレックスタイムなどが含まれます。
【支給額】 | |
制度を2つ導入し、対象者が制度利用 | 20万円 |
制度を3つ以上導入し、対象者が制度利用 | 25万円 |
柔軟な働き方選択制度等支援コースの助成金は、1年度5人までです。
介護離職防止支援コース
介護のための離職を防ぐ支援を行う事業所に対する助成です。対象者と面談を行い、プランを作成します。プランに基づいて、合計5日以上の介護休業を取得・復帰の取り組みをすると受け取れます。
【支給額】 | |
介護休業取得時 | 30万円(1年度につき5人まで、1人の対象者につき1回限り) |
職場復帰時 | 30万円(介護休業取得時と同じ対象者) |
また、介護休業を合計20日以上利用させる介護両立支援制度に該当する場合は、30万円の助成金が受け取れます。
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、雇用する有期雇用労働者や短時間労働者にキャリアアップを図るための助成金です。有期雇用労働者を正社員化、賃金規定を改定、賞与や退職金の導入をした場合などに支給されます。短時間労働者には、社会保険適用時の処遇改善をした場合に支給されます。
※参考:キャリアアップ助成金‐厚生労働省
働き方改革推進支援助成金
働き方改革推進支援助成金は、長時間労働の削減や労働環境の改善に取り組む事業を支援する助成金です。時間外や休日労働の削減、年次有給休暇の取得促進など、働き方改革に積極的に取り組む企業対して支給されます。
業務改善助成金
業務改善助成金は、労働環境の改善をした事業を支援する助成金です。事業内で最も低い賃金を30円以上引き上げることを行い、生産性を向上するための投資(機械設備やコンサルティング導入、人材育成、教育訓練)をした場合に、その設備投資などにかかった費用の一部が支給されます。
※参考:業務改善助成金‐厚生労働省
特定求職者雇用開発助成金
特定求職者雇用開発助成金は、母子家庭の母等や60歳以上の高年齢者、障がい者を継続して雇うことで支給される助成金です。ハローワーク、または民間の職業紹介事業者等の紹介により雇用することが条件です。また、継続して雇うとは、65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ雇用期間が継続して2年以上であることをいいます。
IT導入補助金
IT導入補助金とは、さまざまなITツールで事業をデジタル化することで支給される補助金です。システムの導入によって、業務効率化や生産性の向上を目指します。事業所の課題に合ったITツールの導入や、ネットのセキュリティー対策などが該当します。デジタル化をどのように進めたら良いのか分からない場合は、IT導入補助金公式サイト内にて、課題に応じたツールを診断することができます。
参考:IT導入補助金2024
ICT補助金
ICT補助金は、介護サービス事業者の生産性向上や協働化を通じた職場環境改善に取り組む事業者を支援する補助金です。介護ソフトやタブレット端末、スマートフォン、Wi-fi機器の購入設置、業務効率化に活用できるソフトなども対象です。
※参考:介護テクノロジーの利用促進‐厚生労働省
ICT補助金については下記の記事でも詳しく解説しています。
訪問看護のICT補助金とは?【-2024年度-各都道府県まとめ】
新規開業の方に向けて!iBow新規開業パーフェクトコース
訪問看護立ち上げの資金調達法と補助金・助成金についてご紹介しましたが、1人ですべてを行うのは心配ですよね。専門家のサポートが受けられたら、安心するのではないでしょうか。
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まとめ
訪問看護を立ち上げるには大きな資金が必要ですが、本記事でご紹介した資金調達を利用することで、資金面の課題を解決できます。訪問看護を立ち上げた後も、状況に応じた補助金や助成金を活用することで、事業を安定的に運営するサポートが受けられます。
また、立ち上げにあたって、専門家のアドバイスを取り入れると、不安を解消しながら進めることが可能です。サポート体制が整った『iBow新規開業パーフェクトコース』も活用し、1人で抱え込まずに、専門家と一緒に訪問看護を立ち上げましょう。
資本金って何?訪問看護を立ち上げる際に知っておくべき知識
新しく訪問看護事業を創めるのは予想以上に大変であることは、言うまでもない事実です。また、会社を立ち上げるにあたり、資本金や純資産、流動資産、固定資産など似たような難しい言葉も多く出てくるので、よくわからない、という方もいるのではないでしょうか。訪問看護を立ち上げる際にまずは知っておくべき資本金についてまとめました。
訪問看護ステーションを開設するのに必要な費用
訪問看護ステーション開設に必要な資金について紹介しました。訪問看護の立ち上げ前後は想定以上に出費がかさみます。事業をスタートしてから資金不足で困らないように、事前に必要な資金を確認し、準備しておきましょう。