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訪問看護と労務~フレックスタイム制とは~

フレックスタイム制

働き方が多様化するなか、さまざまなニーズに対応できる労働環境作りの手段として注目を集めているのがフレックスタイムです。とはいえ、「自由な時間に出勤できる」というイメージがあるだけで、どんな制度かよくわかっていないという方も多いのは無いでしょうか?今回はフレックスタイム制について、多摩大学医療・介護ソリューション研究所副所長・シニアフェロー/公益財団法人日本生産性本部認定 経営コンサルタントと様々な分野でご活躍されている幸田 千栄子 様に紹介いただきます。

 

今回は、働く時間を柔軟に設定することができるフレックスタイム制について取り上げます。

フレックスタイム制とは

多くの訪問看護の事業所は、職員が働かなければならない時間帯を例えば8:00から17:00までといったように決めているでしょう。フレックスタイム制のもとでは、あらかじめ働く時間の総労働時間を決めた上で、職員が日々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることのできる制度です。

働き方改革の一環で、清算期間の上限が1ヶ月から3ヶ月に延長されました。清算期間とは、フレックスタイム制において労働者が労働すべき時間を定める期間のことです。通常は、賃金は毎月1回以上その全額を払わなければなりませんので、清算期間は1ヶ月となります。

訪問看護でフレックスタイム制を導入するには

フレックスタイム制のメリットは、あらかじめ働く総時間をきめた上で、日々の出退勤時刻や働く長さを職員が自由に決定することができます。組織にとっては、総労働時間を確保した上で、時間外労働を抑制することができます。また、職員にとっては、日々の都合に合わせて、時間という限られた資源をライフとワークに自由に配分することができるためバランスが取りやすくなります。そこで、訪問看護の組織で導入を検討する場合には、まず導入する目的を明確にします。

次に、現在の労働時間の実態を分析します。利用者宅訪問時間と曜日や月によるばらつきや繁忙の差などの現状を確認します。また、利用者の訪問時間の要望があるけれども答えられていない時間帯などがないか、職員が働く時間について困っていることがないかなどを確認します。決められた始業時刻前や終業時刻後に利用者宅を訪問することが多く曜日や日によってばらつきがある場合や、月(3ヶ月の範囲) によって繁閑の差がある様な場合には、導入のメリットがあるでしょう。そうでない場合は、毎日始業・終業時刻を決めその範囲で働くのが良いでしょう。

フレックスタイム制の基本的なルール

(1) フレックスタイム制を導入するには、就業規則等に、始業・終業時刻を労働者の決定に委ねることを定めます。

(2) 労使協定で制度の基本的枠組み(以下)を決めます。

① 対象となる労働者の範囲
② 清算期間
③ 清算期間における総労働時間
④ 標準となる1 日の労働時間
⑤ コアタイム( 任意。なくても可能)
⑥ フレキシブルタイム( 任意。なくても可能)

この2点を満たしていればフレックスタイム制を導入することができます。

留意事項

フレックスタイム制を導入した場合には、時間外労働に関する取り扱いが通常とは異なります。

1つに、1日8時間・週40時間という法定労働時間を超えて労働しても直ちに時間外労働とはなりません。逆に、1日の標準の労働時間に達しない時間も欠勤となるわけではありません。つまり、清算期間における実際の労働時間のうち、清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間数が時間外労働となります。

2つに、清算期間における総労働時間と実労働時間との過不足に応じた賃金の支払いが必要です。

3つに、清算期間が1ヶ月を超える場合は、労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出が必要です。

最後に、フレックスタイム制を導入しても、使用者が労働時間の管理をしなければならないのも変わりありません。訪問看護事業所は、基本的には予め決まった利用者宅を訪問するため、利用者の希望を聞きながら、柔軟に対応できるフレックスタイム制は馴染みやすいのではと考えます。

 

幸田 千栄子 様

多摩大学医療・介護ソリューション研究所 副所長・シニアフェロー
公益財団法人日本生産性本部認定 経営コンサルタント

輸送用機器メーカーにて人事・人事企画・採用・教育・女性活躍推進・秘書などに従事。2000年公益財団法人日本生産性本部経営コンサルタント養成講座を修了し、公益財団法人日本生産性本部経営コンサルタントとして、各種事業体の診断指導、人材育成の任にあたる。2009年5月から1年間、サービス産業生産性協議会スタッフとしてコンサルタントと平行して任にあたり、サービス産業の生産性向上PJに参画すると同時に顧客満足度・従業員満足度調査開発・設計を行う。

 

 

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