介護経営コンサルタントに聞きました!訪問看護ステーション開業時に気になる資金調達

大藪様資金調達

訪問看護ステーションを開業する際にあたり、自分の貯金だけで始めることができない場合、どこからお金を借りることができるだろうかと心配になる方も多いかもしれません。そこで今回は、日本クレアス税理士法人上田公認会計士事務所 介護経営コンサルタント 大藪 直史 様にご紹介いただきます。

目次

訪問看護ステーション開業時に必要なお金は日本政策金融公庫から

一般的に金融機関から借り入れを行う際の資金使途としては、設備資金と運転資金の2種類あります。設備資金とは、内装工事費や、器具備品購入費用に要する資金です。一方で、運転資金とは、人件費や、家賃、消耗品など事業が黒字化するまでの間に必要な資金です。訪問看護ステーション開業の場合、設備資金はほとんど必要なく、必要なのは運転資金です。多くの訪問看護ステーションでは、日本政策金融公庫から運転資金を調達します。開業時に運転資金として借り入れを一番行いやすいのは、日本政策金融公庫だからです。他の市中金銀行では、設備資金は借りることができても、運転資金は借りにくいのが現状です。

 

 日本政策金融公庫から借り入れまでの流れ 

日本政策金融公庫から借り入れまでは次のような流れになります。
申し込み → 必要書類準備 → 面談 → 契約 → 実行

 

 必要書類 

また、借り入れには様々な書類も必要になりますので事前に書類についても確認しましょう。

  • 借入申込書
  • 創業計画書
  • 月別収支計算書
  • 企業概要書
  • 身分証明書
  • 自己資金の入っている通帳
  • 指定申請通知書

 

事前に確認!借り入れ金額と注意事項

日本政策金融公庫から借り入れを行うことができる金額は、支店によって違いますが、自己資金の3倍までで、最大1,000万円までが一つの目安です。ここで自己資金とは、「資本金+社長が事業用に使える金額」のことを言います。つまり自己資金≠資本金ですので、ご注意ください。例えば自己資金が200万円ある場合、200万円×3倍=600万円が借り入れ金額の目安となります。次に最大1,000万円までとは、日本政策金融公庫の支店長が決裁できる金額が最大1,000万円までだからです。

では、日本政策金融公庫はどのようにして、自己資金を確認するかご存じでしょうか?
日本政策金融公庫との融資面談時に公庫担当者から、開業したい人の自己資金を確認するために通帳を持ってくるように言われます。実際の面談時に、通帳に自己資金が蓄積されていく過程を確認されます。例えば、自己資金が300万円必要な場合に、通帳に融資面談の直前に300万円が一括で入金されている場合、その300万円はどこから入金されたものかをヒヤリングを受けることになります。お金の出所が社長の別口座からであれば問題ないのですが、所謂「タンス預金」は、自己資金として認められないのでご注意ください。また、親から借りたお金を自己資金と認めてもらうために親を役員として迎えたケースもあります。

自己資金不足で、予定通りの借入を行うことができない場合

自己資金が足りない場合、希望金額を満額で日本政策金融公庫から借り入れることができないことがあります。その際に利用されているのがファクタリングサービスです。診療報酬、介護報酬は、訪問看護サービスを行った2か月後に社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会から入金されます。ファクタリングサービスとは、金融機関に診療報酬、介護報酬の債権を売却することで、訪問看護サービスを行った月の1か月以内を目安に当該金融機関から入金してもらうサービスのことを言います。訪問看護事業は、入金までに先に看護師等の人件費を支払わないといけないため、ファクタリングサービスを利用されて独立される方もいらっしゃいます。

これから立ち上げの際に要確認!できれば多めに資金を調達しよう

当社で実際ご支援した精神疾患の利用者をメインターゲットとして訪問看護ステーションを開業された事例では、開業時に会社が調達した資金は約900万円でした。内訳は、日本政策金融公庫から600万円借り入れを行い、自己資金として300万円準備して頂きました。自己資金の中身は、100万円分を資本金として出資し、残りの200万円分は、社長が会社に貸付を行いました。開業時、用意していた資金は約900万でしたが、実際に黒字化までに支出した金額は約600万円で済んだため、用意していた資金の範囲内で賄う事ができました。但し、「開業時には何があるかわからないので、予定よりも多めに資金を準備しておく方が安心です」とその社長は仰っておられました。

まとめ

訪問看護ステーション開業では日本政策金融公庫との付き合い方が重要となります。準備する資金が少ないと、利用者との契約が計画通り進まない場合、資金繰りが悪化し、事業が立ち行かなくなる事例もあります。開業前にはしっかりとした計画を作成し、資金の準備を行うことをおすすめします。

 

日本クレアス税理士法人  上田公認会計士事務所
介護経営コンサルタント 大藪 直史 様
関西大学卒業後、国内大手コンサルティング会社にて、医療機関、建設不動産会社に対する介護事業の新規参入支援を行う。現在、日本クレアス税理士法人上田公認会計士事務所にて介護事業のシミュレーション、実地指導対策等の経営コンサル、立ち上げ支援等、多数実績をあげている。

 

 

iBowお役立ち情報では訪問看護ステーションの皆さまに向けて様々な情報をお届けしています。
日本政策金融公庫以外にも資金調達について知りたい方はぜひ、こちらの記事もチェックしてみてください!
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