訪問看護(医療保険請求分)のオンライン資格確認とは?2024年度(令和6年度)6月より遂に開始

訪問看護(医療保険請求分)のオンライン資格確認とは?2024年度(令和6年度)6月より遂に開始

 2024年度の訪問看護の介護報酬・診療報酬改定について、特に重要と思われる項目についていくつかピックアップし、数回に分けて詳しく解説します。今回は「訪問看護におけるオンライン資格確認の義務化」について、そのメリットや事業所が準備しなくてはならないことなどについて、細かく掘り下げていきます。

目次

オンライン資格確認とは

 オンライン資格確認とは、マイナンバーカードから利用者の医療保険における資格情報等を訪問看護ステーションが準備したモバイル端末等で取得する仕組みで2024年6月より義務化されます。医療機関等と同様に、保険証の代わりにマイナンバーカードを用いて「オンライン資格確認システム」に照会することで、保険証や自己負担限度額などの情報をその場で確認できる仕組みです。レセコン端末(パソコン)からオンライン資格確認専用の端末(パソコン)を経由して資格情報が閲覧できるようになります。※ 

 訪問看護ステーションは利用者からマイナンバーカードを預かる必要はなく、4ケタの暗証番号による本人確認を行った上で、マイナンバーカードをモバイル端末にかざすことで資格確認ができます。

 

 

※健康保険の資格は確認可能ですが、介護保険の資格は確認できません。 
※2回目以降の訪問時の本人確認は、訪問看護ステーションでの再照会が可能となります。

訪問看護におけるオンライン資格確認のメリット

 オンライン資格確認を導入するメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。 

  1. 利用者自身の直近の資格情報や、本人の同意に基づき診療/薬剤情報・特定健診等情報の閲覧が可能となり、業務効率化や質の高い医療の提供につながる 
  2. 同一訪問看護ステーションによる2回目以降の訪問では、訪問看護ステーション側で再照会をして資格情報の照会・取得が可能で、効率的な資格確認を実現できる。また初回時の同意に基づき、薬剤情報等の取得が可能 
  3. 今後の医療DXの推進の中で、生活保護の医療扶助や難病医療の公費負担医療及び地方単独医療費助成への対応拡大が期待できる。
     

 訪問看護ステーションにとっては、最新の資格情報をその場で確認できるため、返戻となるレセプト数の減少が見込めることや、レセプト作成時に視覚情報(被保険者番号等)の手入力作業が不要となることが大きいメリットでしょう。後程説明するオンライン請求と合わせて業務効率の大幅な軽減見込んでいます 

訪問看護事業者がオンライン資格確認の導入で準備すべきものは

 オンライン資格確認を行うには、訪問看護ステーション側でスマートフォンタブレットなどのモバイル端末(マイナンバー読み取りできるもの)を用意する必要があります。また、モバイル端末にはマイナポータルのアプリケーションをインストールしなくてはいけません。

 

オンライン資格確認・オンライン請求で必要な準備物 

. 電子証明書  
2. オンライン請求・オンライン資格確認用の専用回線  
3. オンライン請求・オンライン資格確認用端末(パソコン等)  
4. モバイル端末等(マイナンバー読み取りできるもの)※オンライン資格確認用  
5. レセプト作成用ソフト・端末

補助金対象

国ではオンライン資格確認のスムーズな導入に向け、以下の1~3に要する費用ついて429,000円を上限に実費分を補助する制度を設けています。

1.マイナンバーカードの読取・資格確認等のためのモバイル端末等の導入 
2.ネットワーク環境の整備 
3.レセプトコンピュータ、電子カルテシステム等の既存システムの改修

訪問看護事業者のオンライン資格確認の義務化の経過措置

 オンライン資格確認は2024年6月に開始されます。ただしシステムやネットワーク環境の整備などが困難な訪問看護ステーションがある可能性を鑑み、経過措置が設けられています。 

 現在の健康保険証は2024年秋をもって廃止される予定ですが、その時点でやむを得ない事情がある場合は、その事情に応じた期限付きの経過措置が適用されます。詳しくは表をご覧ください。また、経過措置の対象事業者は、支払基金に原則オンラインで事前届出を行う必要があります。

 

訪問看護のオンライン請求も6月よりスタート

オンライン資格確認に合わせ、2024年6月より訪問看護ステーションには、電子的に作成したレセプトデータをセキュリティが確保されたネットワーク回線によりオンラインで支払い審査機関に送付する「オンライン請求」も義務化されます。オンライン資格確認と合わせて活用することで、訪問看護ステーションの業務が大幅に軽減されることが期待されます。なお、オンライン請求についても同様に経過措置が設けられています。

経過措置が可能な場合

やむを得ない事情 期限 オンライン請求 オンライン資格確認
① 電気通信回線設備に障害が発生した訪問看護ステーション 障害が解消されるまで ×
② 令和6年 10 月末までにシス
テム事業者と契約締結したが、
導入に必要なシステム整備が未
完了の訪問看護ステーション
(システム整備中)
システム整備が完了する
日まで
(遅くとも令和7年6月
末まで)
③ オンライン請求又はオンライ
ン資格確認に接続可能な光回線
のネットワークが整備されてい
ない訪問看護ステーション(ネ
ットワーク環境事情)
オンライン請求又はオン
ライン資格確認に接続可
能な光回線のネットワー
ク環境が整備されてから
6か月後まで
④ 改築工事中の訪問看護ステー
ション
改築工事が完了するまで
⑤ 廃止・休止に関する計画を定
めている訪問看護ステーション
廃止・休止するまで
(遅くとも令和7年6月
末まで)
⑥ その他特に困難な事情がある
訪問看護ステーション
特に困難な事情が解消さ
れるまで

厚生労働省:厚生労働省保険局医療介護連携政策課長(令和6年1月 12 日)

電子カルテiBowは報酬改定にも対応

訪問看護(医療保険請求分)のオンライン資格確認とは?2024年度(令和6年度)6月より遂に開始

 電子カルテ「iBow」は、令和6年度の介護・診療報酬改定に対応しています。訪問看護ステーションのニーズに応じた機能が搭載されており、日々の記録からレセプト作成までの業務を効率化します。報酬改定に伴う変更点やオンライン請求・資格確認に対応予定です。さらにiBowのカスタマーサポートは、システムの使い方だけでなく、加算や制度についての相談も受け付けているため、診療報酬改定直後でも安心して利用できます。

 

iBowについて問い合わせる

 

 

最後に

 国では、オンライン資格確認の導入促進のために2023年10月に「医療機関等向け総合ポータルサイト」を開設しました。ここでは、訪問看護におけるオンライン資格確認の導入に関する情報取得や、必要な手続(利用申請、電子証明書の発行申請、補助金の申請等)を一元的に行うことができです。 

 また、オンライン資格確認の実施機関におけるコールセンターやオンライン請求のサポートデスク等などで訪問看護事業者からの問い合わせにも対応できる体制を構築しています。こうしたツールを上手に活用しながら、早急に準備を整えていきましょう。 

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