訪問看護の書類はまだ手書き?訪問看護の書類作成をICT化するメリットとは

 

ICT化するメリット(訪問看護計画書・報告書)

 

「IT化」「ICT」といったキーワードを耳にすることも増え、最新機器やソフトが導入されている訪問看護の現場もあるでしょう。しかし常に最新の状態を保てる現場は多くはなく、日々の看護記録や書類作成を手書きで行っている訪問看護ステーションがほとんどであるといっても過言ではない現状があります。また、「ICT導入が現場に役立つことはなんとなくわかるが、実際にどのような効果やメリットがあるのかわからない」という方もいることでしょう。

そこで今回は、訪問看護で作成する書類の代表として訪問看護計画書/訪問看護報告書と訪問看護記録書について触れながら、ICT導入でどのようなことが効率化されていくのかをみていきましょう。

目次

訪問看護計画書/訪問看護報告書とは

訪問看護で作成する書類の代表として訪問看護計画書/訪問看護報告書があります。まず、訪問看護計画書とは、訪問看護を受けたい利用者に対してどのようなサービスを提供するのか、という計画内容を記載する計画書のことを指します。一方、訪問看護報告書とは、実際に利用者に対してどのようなサービス内容を提供したか、という結果について記録する報告書を指します。それぞれについて、詳しくみていきましょう。

 

   訪問看護計画書   

訪問看護を実際に利用者に提供するには、主治医からの訪問看護指示書が必要となります。訪問看護指示書は、利用者に対しての療養や診療の方向性が記されてはいますが、具体的な内容までが載っているわけではありません。そこで利用者自身の希望やケアマネージャーから受けたケアプラン(居宅サービス計画書)に基づいて、より詳細な内容を決めていくのが訪問看護計画書です。訪問看護計画書に記載する内容は次の項目です。

・利用者の基本情報(氏名、生年月日、要介護認定の状況、住所)
・看護・リハビリテーションの目標
・計画内容欄(年月日、問題点・解決策、評価)
・衛生材料等が必要な処置の有無(処置の内容、衛生材料(種類・サイズ)等、必要量)
・訪問予定者の職種
・備考
・ステーション名、管理者の署名

 

 

   訪問看護報告書 

訪問看護計画書をもとに訪問看護師やリハビリスタッフによって利用者にサービスが展開されていきます。その結果としていつ訪問したのか、病状の経過、サービス内容などを報告書としてまとめて、主治医やケアマネージャーに提出します。訪問看護報告書を提出してもらうことで、主治医やケアマネージャーは利用者の病状の状況や自宅での様子を把握することができます。訪問看護報告書に記載する内容は次の項目です。

・利用者の基本情報(氏名、生年月日、要介護認定の状況、住所)
・訪問年月日
・訪問看護を提供した時間

・バイタル
・病状の経過
・看護の内容
・家庭での介護状況
・衛生材料等の使用量および使用状況
・衛生材料等の種類・量の変更
・特記すべき事項(頻回に訪問看護が必要な理由を含む)
・報告書の作成者
・ステーション名、管理者の署名

訪問看護計画書と訪問看護報告書は作成する度に必ず主治医に提出しなければならないわけではありません。しかし、計画書と報告書の内容によって療養や診療の方向性を変える必要が出てくることもあるため、月に1回の提出を目安に作成するようにしましょう。ケアマネージャーへの提出は義務づけられていませんが、情報共有のため毎月提出する方が望ましいでしょう。

令和3年度介護報酬改定によって変わった訪問看護計画書/訪問看護報告書

令和3年4月の介護報酬改定によって、看護体制強化やリハビリテーション専門職による訪問看護の単位数を引き下げなどが行われました。それらの影響は、訪問看護計画書と訪問看護報告書も受けており、一部書き方が変更となっています。

 

   訪問看護計画書   

■作成者欄

作成者①の欄には、氏名の記載と該当職種に丸を記載。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の誰かが利用者にサービス提供する場合は、作成者②だけではなく、作成者①も記載すること。

 

   訪問看護報告書 

■訪問日
利用者を訪問し、看護をした日に印をつけます。この印は次のような使い分けが必要です。

看護師による訪問看護:◯
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士による訪問看護:◇
特別訪問看護指示書に基づく訪問看護:△
緊急の訪問看護:✕

■作成者欄
作成者①の欄には、氏名の記載と該当職種に丸を記載。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の誰かが利用者にサービス提供する場合は、作成者②だけではなく、作成者①も記載すること。

■訪問看護報告書には別添の資料が必要
令和3年4月の介護報酬改定によって大きく変わったものが、訪問看護報告書に「理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問看護の詳細」を別添するということでしょう。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のいずれかによって、利用者に訪問看護がなされた場合に、次の項目を記載した書類を提出する必要があります。

・利用者氏名
・日常生活自立度
・認知症高齢者の日常生活自立度
・理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が行った訪問看護、家族等への指導、リスク管理等の内容
・評価
・特記すべき事項
・作成者

これは「医師の訪問看護指示書に基づいて、看護師と密に連携をとりながら、理学療法士等が訪問看護を提供する」という基本的なあり方を明確にするために求められているものですし、今後、訪問看護としてのリハビリテーションのアウトカム評価を行っていくための基礎情報にもなるものですので、しっかりと作成していきましょう。

 

 iBowならここが便利 ! 

iBowは作成者にリハビリ職員を選択すると月次報告書の中に別添の内容添付に該当する記載項目が出てきます。評価基準の参考表があるので評価が簡単にできます。評価基準はステーション毎で設定できるのでステーション内の評価の統一を図るにも便利です。

介護報酬改定

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利用者の変化を記録する訪問看護記録書

訪問看護記録書は「訪問看護記録書Ⅰ」と「訪問看護記録書Ⅱ」の2種類あります。この2種類の記録書がどう違うのかをまずはみていきます。

 

 訪問看護記録書Ⅰ 

訪問看護記録書Ⅰは、利用者に関する基本的な情報をまとめている資料で、フェイスシートとも呼ばれています。

【主な項目】
・利用者の基本情報(氏名、生年月日、住所等)
・看護師等氏名、訪問職種
・初回訪問年月日
・病状に関する情報(主たる傷病名、現病歴、既往歴等)
・家族構成
・訪問看護の目的
・ADLの状況
・日常生活自立度 等

必ず初回にすべて項目を埋めなければならない、というわけではないため、初回時に担当者との打ち合わせで情報が集めきれなくても問題はありません。場合によっては利用者本人から話をきく必要性もあるため、利用者のストレスにならないように、情報を集めていきましょう。また、訪問看護記録書Ⅱとは異なり、訪問看護記録書Ⅰは基本情報の資料となるので、項目内容に変更がなければ、訪問ごとに修正や作成は必要はありません。

 

 訪問看護記録書Ⅱ 

訪問看護記録書Ⅱは、利用者を訪問する度に作成する記録書で、カルテの役割を担っています。

【主な項目】
・利用者と看護師の氏名
・訪問年月日
・利用者の状態(病状)
・実施した看護・リハビリテーションの内容
・その他
・備考
・次回の訪問予定日 等

利用者の病状の変化や訪問看護の内容に対する利用者の反応は、今後の療養や診療に役立ちます。また利用者の情報だけではなく、利用者の家族などの細かいところまで記録しておくことで、他の関係者と情報共有が可能となり、緊急時に役立つかもしれません。

ICT化で効率化!

ここまで、訪問看護計画書・訪問看護報告書・訪問看護記録書について触れてきました。利用者を訪問する度にすべてを作成する必要はないものの、訪問看護ステーション内の利用者すべての資料を作成、書類管理するのは非常に大変な作業です。すべてを手書きで作成、記録しているがゆえに、月末は事務作業に多くの時間を割いている、という訪問看護ステーションも多くあるでしょう。他にも紙で管理していると、書類の紛失や煩雑な管理による情報漏洩など、訪問看護ステーション自体の評価につながるミスが発生する可能性があります。

そこで、ぜひ訪問看護ステーションに取り組んでほしいのが、現場のICT化です。具体的な例を挙げると、電子カルテの導入です。電子カルテを現場に導入すると、次のようなことが実現可能となります。

・記録方法の統一
・リアルタイムな情報共有
・各帳票の作成時間を削減
・書類の提出状況を確認可能 

 

今まで書類作成に費やしていた時間を電子カルテによって削減することは、訪問看護ステーションの現場の業務効率化に貢献してくれます。しかし、それだけではありません。削減できた時間は訪問看護師の残業削減にもつながったり、利用者に対してより時間をかけたサービス提供につながったりすることで、訪問看護師と利用者の満足度を上げることも可能となります。

本来の看護に専念する「時間」を創る!訪問看護専用電子カルテ『iBow』

システムを導入しても訪問看護師の目線で作られたシステムではないので、現場では使いづらく、書類作業など余分な業務が発生するのでスタッフに負担がかかり、安定したステーション運営ができないという課題を抱えているステーションもいるのではないでしょうか。iBowは現場の看護師の目線で考えられたシステムでステーションの規模・地域・特性、を考慮した柔軟なカスタマイズやシステム強化など、あらゆる訪問看護ステーションのニーズに合わせた機能を搭載し、誰でも簡単に使えます。また、利用者カルテから関連機関への報告・請求まで、すべての情報が連動するので効率よく業務を行い、利用者の訪問時間の確保だけでなく、カンファレンスやスタッフ教育など本来の看護業務に専念する時間を創ります。

その他、訪問看護の業務に専念していただくために、iBowのカスタマーサポートは、訪問看護に関するあらゆることに精通したスペシャリストが揃っていますので、システムのことはもちろん、加算などの制度まで、皆さまの疑問や不安を⼀緒に解決します。

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まとめ

今回は、訪問看護計画書・訪問看護報告書・訪問看護記録書とそれらをICTの力によって効率よく作成することのメリットについて紹介してきました。iBowは、今回ご紹介した電子カルテの機能の他、ステーションごとのカスタマイズ機能やAI(人工知能)機能の搭載、絞り込み機能による検索機能など多くの機能が搭載されています。

また、法改正によってシステムの仕様が変わる度に対応していくことは現場にとって大変な作業です。正しく書類を作成していくためにも、ぜひiBowの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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