GAF評価を正しくするためには?便利ツールを活用しよう

GAF評価

GAFを用いて正しく評価できていますか。精神障がいや知的障がいのある方が、社会生活を送る能力を評価するための重要なツールです。精神科訪問看護ではGAF尺度評価の要件化が追加されたことにより、正確な評価結果の記載が求められるようになりました。この記事では、なぜ正しい評価が必要なのか、改めてGAF尺度とは何か、正しい評価方法等を解説します。GAF評価に不安のある方はぜひ参考にしてください。

目次

令和2年度よりGAF尺度の要件化が追加

精神障がいのある利用者の訪問看護において点数を加算する場合には、GAF尺度を用いた評価をすることが令和2年度の診療報酬改定で追加され、必須条件となりました。

「精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)及び(Ⅲ)を算定する場合には、訪問看護記録書、訪問看護報告書及び訪問看護療養費明細書に、月の初日の訪問看護時におけるGAF尺度により判定した値を記載する」
(※参考)令和2年度診療報酬改定の概要

その他、精神科訪問看護・指導料について、訪問した職種が分かるように区分も新設されました。医療の質を高めるため、改定される事項は多くあります。今回も、「精神障害を有するものへの適切かつ効果的な訪問看護の提供を推進する観点」から見直しが行われています。
(※参考)令和2年度診療報酬改定の概要

適切な医療を提供していることを証明するため、変更事項を知っておくことは医療に携わる上で大切です。きちんと報酬を算定するためにもぜひチェックしておきましょう。

GAF尺度による評価について解説

では、正しくGAF尺度による評価ができるよう、基礎から解説していきます。

 

 GAF評価とは 
GAF評価は、GAF尺度を用いて算出した評価数値を指します。GAF尺度とは、社会的・心理的・職業的機能を評価するために1~100で数値化されたスケールのことです。数値が大きいほど精神面が良好と判断されます。注意点として、身体面や環境的制約による障がいは含まれないことがポイント。あくまでも、精神障がいや知的障がいを対象に社会適応能力の水準を評価するツールとなっています。

 

 GAF評価の必要性 
診療報酬改定により毎月初回の訪問時は必ずGAF評価をする必要があります。ただ評価をするだけでなく、正しく記入することも重要です。この要件を守らなければ、報酬が貰えないことはもちろん、質のある精神看護の提供を推進する観点から外れることになります。国は訪問看護の質を高めるために報酬改定を行っているので、要件となったGAF評価は非常に重要です。精神機能という評価しづらいものを可視化することは、治療や看護の客観的な評価に繋がるとともに、質の高い訪問看護を提供できている証しになります。実地指導時のチェック項目にもなるので、正しい評価、記載を心がけましょう。

 

 GAF尺度を用いた評価方法 
GAF尺度は0~100まで点数区分された表になっています。内容としては、「精神症状の重症度」と、社会や職業へ適応できているかを判断する「機能レベル」の2つの要素で構成されています。

点数 機能の状態
100~91 広範囲の行動にわたって最高に機能しており、生活上の問題で手に負えないものは何もなく、その人の多数の長所があるために他の人々から求められている。症状は何もない。
90~81 症状がまったくないか、ほんの少しだけ(例:試験前の軽い不安)、すべての面でよい機能で、広範囲の活動に興味をもち参加し、社交的にはそつがなく、生活に大体満足し、日々のありふれた問題や心配以上のものはない(例:家族とたまに口論する)。
80~71 症状があったとしても、心理的社会的ストレスに対する一過性で予期される反応である(例:家族と口論した後の集中困難)。社会的、職業的または学校の機能にごくわずかな障害以上のものはない(例:学業で一時遅れをとる)。
70~61 いくつかの軽い症状がある(例:抑うつ気分や軽い不眠)。または、社会的、職業的または学校の機能に、いくらかの困難はある(例:時にずる休みをしたり、家の金を盗んだりする)が、全般的には、機能はかなり良好であって、有意義な対人関係もかなりある。
60~51 中等度の症状(例:感情が平板的で、会話がまわりくどい、時に、恐慌発作がある)、または、社会的、職業的、学校の機能における中等度の障害(例:友達が少ない、仲間や仕事の同僚との葛藤)。
50~41 重大な症状(例:自殺の考え、強迫的儀式がひどい、しょっちゅう万引する)、または、社会的、職業的または学校の機能において何か重大な障害(友達がいない、仕事が続かない)。
40~31 現実検討か意思伝達にいくらかの欠陥(例:会話は時々、非論理的、あいまい、または関係性がなくなる)、または、仕事や学校、家族関係、判断、思考または気分、など多くの面での粗大な欠陥(例:抑うつ的で友人を避け、家族を無視し、仕事ができない。子どもが年下の子どもを殴り、家で反抗的で、学校では勉強ができない)。
30~21 行動は妄想や幻覚に相当影響されている。または、意思伝達か判断に粗大な欠陥がある(例:時々、滅裂、ひどく不適切にふるまう、自殺の考えにとらわれている)、または、ほとんどすべての面で機能することができない。(例:一日中床についている、仕事も家庭も友達もいない)
20~11 自己または他者を傷つける危険がかなりあるか(例:死をはっきり予期することなしに自殺企図、しばしば暴力的、躁病性興奮)、または、時には最低限の身辺の清潔維持ができない(例:大便を塗りたくる)、または、意思伝達に粗大な欠陥(例:ひどい滅裂か無言症)
10~1
自己または他者をひどく傷つける危険が続いている(例:何度も暴力を振るう)、または最低限の身辺の清潔維持が持続的に不可能、または、死をはっきり予測した重大な自殺行為。
0
情報不十分

(※参考 厚生労働省GAF(機能の全体的評定)尺度)

評価は、「精神状態の重症度」、「機能レベル」に当てはまる項目のうち、点数の低い方を選択するので注意が必要です。評価するのは、評価日から過去1週間以内です。1番悪かった状態を評価するので、必ずしも訪問時の状態ではないことにも注意しましょう。評価方法としては、まず利用者の過去1週間の様子を情報収集します。そこから、患者にとって辛かったエピソードを直接聞きとる他、訪問時の記録等を参考に、評価表のどの点数区分に当てはまるかを検討します。

1の位の数値は、評価者の判断で数値を付けていきます。項目内容が丁度当てはまるなら1の位は5を付けます。5を中間として判断した場合、度合いが5より高ければ、5より高い数値を、度合いが低ければ3、2、1等の低い数値を付けていきます。

GAF尺度の記載方法

精神科訪問看護報告書には、月の初回訪問時に判定した数値と判定した日付(年、月、日)の記載をしましょう。訪問毎に記載が必要な記録書Ⅱには、必ず月初めに訪問した日の記録書に、判定したGAF尺度の数値を記載します。

ただし、月初めの訪問時に利用者ではなく家族に対する訪問看護を行った場合、GAF尺度による評価ができない場合もあります。その時は、訪問看護記録書、訪問看護報告書及び訪問看護明細書に、家族への訪問看護だったためGAF尺度による評価ができなかったことを記載。2回目以降の訪問で、利用者本人に初めて訪問看護を行った日に評価をした数値を記載すれば良いことになっています。

GAF尺度を用いた例を紹介

ここでは、具体的な例にして、どのようにGAF尺度による評価を行うのか見てみましょう。

 

 例1 

Aは適応障がいの診断を受け3ヶ月ほど休職したのち、薬物治療をしながら家族と暮らしている。通勤時には多少の不安を感じながらも、毎日出社。会社では社交的に接することができ問題なく働けている。自宅では心理的、社会的ストレスから家族と口論になることがあるが、頻度は少ない。

この場合、会社には毎日出社できているため、機能面では81~90と評価。精神状態においても家族と口論になることがあるが頻度は少ないため、同区分での判定といえます。ただし、社会的、心理的にストレスを感じて家族と口論をしており、下の80~71の区分にも近い傾向にあるので、点数は82点と評価します。

 

 例2 

Bは半年前よりうつ病の診断を受け、薬物療法を継続中。家族と同居をしているが、「何もしたくない。」と昼夜問わず、ほぼベッドに横になり過ごしている。内服はできているため、夜間は眠れている様子。通っていた大学は、休学中で復学できる目処は立っていない。友人とはSNSを通じて時折コミュニケーションを取ることもある。

学校には通えておらず、感情も平坦になっているため、精神面、機能面とも60~51に当てはまります。どちらも機能の状態に丁度当てはまると考え、点数は55点と評価します。

 

 例3 

Cは統合失調症の診断を受け、1ヶ月の入院加療後3ヶ月が経過。週に1回幻聴症状はあるが、デイケアは毎日利用し日常生活を送ることができていた。数日前より家族と口論になり、幻聴の頻度が増え、不眠症状が続いている。幻聴に影響され、支離滅裂な発言を繰り返すようになった。デイケアは3日前より休んでおり引きこもり状態。一日中ベッドで過ごしている。

精神面は幻聴に影響され、意思伝達に欠陥が見られるため30~21と評価。機能面もデイケアには通えておらず、現在はほぼ機能していないといえます。回復する傾向は見られないが、自己や他者を傷つけるような行動はないため、21~25のあいだである23と評価をします。

GAF尺度では訪問看護専用電子カルテ『iBow』が便利

記録書Ⅱには必ず月初めに訪問した日の記録にGAF尺度を記載します。しかし、数値と内容を細かく覚えることは難しいですよね。訪問看護専用電子カルテ『iBow』ではコードに点数だけでなく各数値の内容も記載しているためわざわざコード表を持ち歩かなくても記録ができます。また、月初の訪問でGAF評価が記載されていない場合はエラーがでるためGAF評価の記載漏れをなくします。
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診療報酬改定による変更事項はほぼ毎年あるため、記録事項もつぎつぎと変更があります。変更事項に対応できないと、実際に行った訪問看護内容に見合った報酬が算定されません。iBowでは報酬改定時から請求処理の変更だけではなく、請求根拠となる各種看護記録に関する書式にも対応しているので、いつでもコンプライアンスを守りながら看護業務に専念できます。

まとめ

訪問看護時のGAF尺度を用いた正しい評価の必要性を理解できましたでしょうか。GAF尺度とは何か、評価方法まで改めて理解できたかと思います。利用者の精神状態を見える化できるGAF尺度は、過去の状態を瞬時に把握できるので、今後の治療や看護に活かすことができます。正しく評価を行い、質の高い訪問看護の提供を目指しましょう。

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