加算とは?訪問看護における加算の種類や仕組みについて詳しく解説

加算とは?訪問看護における加算の種類や仕組みについて詳しく解説

利用者に提供したサービスが正しく評価され、報酬に反映される加算制度。サービスに付加価値をつけることで、質のあるサービスが提供されることを目的とした、国の医療政策の一部でもあります。訪問看護でも加算対象となるサービスが多くあり、ステーション運営においても加算は重要なポイントです。この記事では訪問看護における加算制度の種類仕組みについて紹介していきます。加算制度のことがよく分からないという方は、ぜひ参考にしてください。

目次

加算制度ってなに?

加算制度とは、質のあるサービスが提供されるよう、国が医療政策の一部として取り決めている制度です。加算を得るためには、国が定めた要件を達成する必要があるため、必然と質の高いサービスが提供される仕組みになっています。『ターミナルケア加算』といったように、1つひとつの加算にはサービスごとに「〇〇加算」といった名前が設けられていることが特徴です。では、加算制度についてさらに詳しく紹介していきましょう。

サービスを標準化させる目的がある 

利用者は質の高いサービスを受けられ、提供する側は多くの診療報酬を得られる加算制度。どちらにとっても良い制度のように思われがちですが、サービスを提供する側にとっては一概に喜べるものではありません。その理由は「今後はこのサービスを標準化させなさい」という政府からの命令的要素が含まれているからです。どの加算も、制定当初は増益に繋がる仕組みになっています。しかし、加算対象となるサービスが世の中に浸透するにつれ、加算となるサービスを提供していないステーションは最終的に減算という措置を取られることになるでしょう。政府がより良いサービスの標準化を目的とし、加算制度を行っているのがよく分かります。

訪問看護における加算とは

加算とは?訪問看護における加算の種類や仕組みについて詳しく解説

訪問看護における加算制度は、以下に記載の厚生労働省が定める基本方針を達成すべく制定されています。

要介護状態となった場合においても、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようその療養生活を支援し、心身の機能の維持回復及び生活機能の維持又は向上を目指すものでなければならない

(引用:介護保険法 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 )

 

訪問看護における加算の種類

訪問看護における加算は主なものだけで11~14種類あります。介護保険と医療保険でそれぞれ適用される加算は、提供する内容が同じでも加算名が異なることが特徴です。例えば、緊急時の訪問に適応される加算では、介護保険だと「緊急時訪問看護加算」、医療保険では「緊急訪問看護加算」と非常に似た名前で制定されているので間違えないよう注意が必要です。では介護保険と医療保険、それぞれどのような加算があるのか確認しておきましょう。

介護保険で適用される主な加算

 

初回加算 訪問看護事業所において、新規に訪問看護計画書を作成した利用者に対して訪問看護を提供した場合の加算(過去2か月間訪問看護を受けていない場合も含む)
退院時共同指導加算 主治医の所属する保険医療機関に入院中または介護老人保健施設に入所中で、退院・退所後に指定訪問看護を受ける利用者またはその家族に対し、退院・退所時に訪問看護ステーションの看護師等(准看護師は除く)と入院・入所施設の職員(医師・看護師、医師または看護師の指示を受けた准看護師)が、在宅療養での指導を入院・入所施設にて共同で行い、その内容を文書で提供した場合の加算
夜間・早朝加算 午後6時~午後10時の夜間帯と午前6時~午前8時の早朝時間帯に訪問看護計画上、利用者または家族からの求めに応じて訪問看護を提供した場合の加算
深夜加算 午後10時~午前6時の深夜時間帯において、訪問看護計画上、利用者または家族からの求めに応じて訪問看護を提供した場合の加算
サービス提供体制強化加算 勤続3年以上の職員を30%以上配置し、厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして県に届け出た場合の加算
複数名訪問看護加算 複数名訪問看護加算は必要性があり、複数の看護師等で訪問看護を行った場合の加算
長時間訪問看護加算 特別管理加算の対象となる利用者に対して、1時間以上1時間30分未満の訪問を行った後に引き続き訪問看護を行い、通算1時間30分以上の訪問看護を行う場合の加算
緊急時訪問看護加算 利用者又はその家族などから電話などにより看護に関する意見を求められた場合に常時対応できる体制にあるステーションにおいて、計画的に報恩することになっていない緊急時訪問を行う場合の加算(利用者又はその家族が緊急時の訪問看護を希望し、加算について同意することが必要)
特別管理加算Ⅰ・Ⅱ 訪問看護に関し特別な管理を必要とする利用者に対して、訪問看護の実施に関する計画的な管理を行った場合の加算

ターミナルケア加算
主治医の指示により、利用者の死亡日及び死亡日前14日以内の計15日間に2日以上訪問し、かつ、訪問看護におけるターミナルケアの支援体制について、利用者と家族等に対して説明した上でターミナルケアを行った場合の加算

 

医療保険で適用される主な加算

 

難病等複数回訪問看護加算 難病等の利用者に1日に複数回の訪問看護を行う場合の加算
緊急訪問看護加算 訪問看護計画に基づき定期的に行う訪問看護以外で、利用者や家族等の緊急の求めに応じて、診療所または在宅療養支援病院の主治医の指示により連携する訪問看護ステーションの看護師等が訪問看護を行った場合の加算
長時間訪問看護加算 長時間の訪問を要する利用者に対して、1回の訪問時間が90分を超えた場合の加算
複数名訪問看護加算 複数名訪問看護加算は必要性があり、複数の看護師等で訪問看護を行った際に算定できる加算
夜間・早朝訪問看護加算 午後6時~午後10時、午前6時~午前8時の時間帯において訪問看護を実施した場合の加算
深夜訪問看護加算 深夜加算は午後10時~午前6時の時間帯において訪問看護を行った場合の加算
24時間対応体制加算 利用者またはその家族等から営業時間外でも電話などにより看護に関する意見を求められた場合、常時対応できる体制にあるものとして、地方厚(支)生局長に届け出て受理され、訪問看護ステーションの保健師、看護師が利用者に当該体制について説明し、同意を得た場合に算定できる加算
特別管理加算 特別な管理を必要とする利用者から看護に関する意見を求められた場合に、常時対応できる体制や計画的な管理を実施できる体制にあるものとして地方厚(支)生局長に届け出を行い、利用者に対して訪問看護の実施に関する計画的な管理を行った場合の加算
退院時共同指導加算 入院・入所中に利用者又は家族に対し、訪問看護ステーションの看護師と入院入所施設の職員が退院・退所後の在宅療養についての指導を、入院・入所施設において共同で行い、その内容を文書で提供した場合
退院支援指導加算 保険医療機関はまたは介護老人保健施設もしくは介護医療院に入院中で訪問看護を受けようとする患者またはその看護に当たっている者に対し、退院に当たって訪問看護ステーションの看護師等が当該主治医またはその職員と共に在宅での療養上の必要な指導を行い、その内容を文書で提供した場合の加算
ターミナルケア療養費 主治医の指示により、利用者の死亡日及び死亡日前14日以内の計15日間に2回以上訪問し、かつ、訪問看護におけるターミナルケアの支援体制について、利用者と家族等に対して説明した上でターミナルケアを行った場合

 

令和2年度の診療報酬改定で新設・見直された加算制度とは

加算とは?訪問看護における加算の種類や仕組みについて詳しく解説

医療報酬に関する加算制度の見直しは、診療報酬改定として2年ごとに厚生労働省より発表されています。直近の改定である令和2年度の診療報酬改定では、(新)訪問看護・指導体制充実加算が新設。そのほか、同一施設内における複数回・複数名の訪問看護加算や医療資源の少ない地域に対応可能な24時間対応体制加算の見直しが行われました。ではそれぞれの改定内容を詳しく紹介していきます。

(新)訪問看護・指導体制充実加算の新設

新)訪問看護・指導体制充実加算(月1150点)は、「医療機関からのより手厚い訪問看護提供体制を評価する観点」(厚生労働省の資料より一部抜粋して引用)から新設されました。施設基準としては24時間訪問看護の提供が可能な体制を確保していることや、対応状況に関する年間実績が求められます。この加算制度の新設により、医療機関からの訪問看護体制が今後より充実していくと考えられます。

24時間対応体制加算(訪問看護管理療養費)の見直し 

2つのステーションが連携することで、24時間体制の訪問看護が確保される24時間対応体制加算。医療資源が特に少ない「特別地域」だけに適用されていた24時間対応体制加算ですが、新たに「医療を提供しているが、医療資源の少ない地域」(厚生労働省の資料より一部抜粋して引用)が要件に追加されました。この加算の適用地域が拡大されたことで、より多くの方が住み慣れた土地で療養生活を送ることができるようになりました。

 

同一の建物に居住する方に対する複数回・複数名の訪問看護の見直し 

今回の改正で加算評価の見直しが行われたのが、同一建物に居住する方に対する複数回・複数名の訪問による加算についてです。見直し対象となった加算は「難病等複数回訪問加算」「複数名訪問看護加算」この2つです。効率的な訪問が可能となる同一建物内の利用者に関しては、訪問する人数により加算金額が変わる仕組みへと変更されました。要件が緩和される加算もあれば、見直しされる加算もあるので、診療報酬の改定動向は随時チェックしておきましょう。

便利ツールを活用して正しく算定しよう

加算とは?訪問看護における加算の種類や仕組みについて詳しく解説

診療報酬の点数は、医療の進歩や日本の経済状況などを踏まえて、通常2年に一度見直しが行われています。これを「診療報酬改定」といい、介護事業所の経営状況や、高齢者を取り巻く環境、世の中の物価水準等を勘案して、通常3年に一度見直されるのが「介護報酬改定」です。そして、6年に一度、介護報酬と診療報酬が一緒に改定される年があります。この時を「同時改定」といいます。このような改定で制度や医療機関・介護サービスの料金(基本報酬や加算)が決定されます。改定直後の4月のレセプト業務は改定内容を調べながら行うため、時間がかかったり、分からないことがあったときにどこに相談したらよいかわからず不安を抱えているステーションも多いでしょう。また、請求以外にも書式の変更などで看護業務に支障が出ることも少なくないでしょう。そこでおすすめしたいのが、訪問看護専用電子カルテ『iBow』です。

従来のレセプトソフトでは、報酬改定時の変更対応が請求処理にあわせて行われていますが、看護業務に必要な書類の全てに必ずしも対応しているとはいえませんでした。iBowでは報酬改定時から請求処理の変更だけではなく、請求根拠となる各種看護記録に関する書式にも対応しているので、いつでもコンプライアンスを守りながら看護業務に専念できます。そのため、診療報酬改定直後であっても戸惑うことなく通常通り記録書の作成やレセプト業務を行えます。また、iBowのカスタマーサポートではシステムの使い方だけでなく加算や制度についても相談できますので、診療報酬改定直後であっても安心して使うことができます。

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まとめ

今回は訪問看護ステーションにおいて、報酬の肝となる加算制度について紹介しました。利用者へ質の高いサービスが提供されるよう、制定されている制度であることがお分かりいただけたでしょうか。加算制度はステーションの報酬にも直結するため、事業所運営をしていくためにもとても重要です。また、制度改定で新設された加算制度は、今後の医療のスタンダードとして求められていることともいえるでしょう。この記事の内容を参考に、加算制度について理解を深め、今後の業務へと活かしてみてください。

新たな診療報酬にスムーズに対応し、業務に支障を来さないためにもぜひ「iBow」を導入しましょう。

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