訪問看護師も必見!自分も相手も守る正しいマスクのつけ方

訪問看護師も必見!自分も相手も守る正しいマスクのつけ方

感染症が流行する時期や花粉症の時期にはマスクを付ける方が多くなります。医療従事者にとってマスクは、接触感染や飛沫感染などの感染対策として基本です。今回はマスクの効果を再確認して、正しいマスクの着用方法や間違っている着用方法を見ていきましょう。

目次

今更聞けない!マスクの効果とは?

マスクの着用方法の前にまずはマスクの効果について確認しましょう。

そもそもマスクの必要性は?

普段は必要がないはずのマスクを着用するということはとても不快に感じます。しかしマスクを着用することで、飛沫防止にはとても役に立ち、飛沫感染を防止できることが研究結果で明らかになっています。

厚生労働省が出している「市中におけるマスク着用による感染防止対策等について」によると、新型コロナウイルス感染症によるクラスターが発生した場所で感染防護としてマスクを着用していた方は、感染リスクが70%程度減少したと報告されています。また、WHO(世界保健機構)でも十分な距離が取れない場合や換気が不十分な屋内においてマスク着用を推奨しています。

マスクのエビデンスと種類

有効なエビデンス(根拠)は限られていますが、マスクをしないと100%の確率で飛沫は飛んでしまいます。不織布マスクでは20〜30%程度まで飛沫やエアロゾル(気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子と周囲の気体の混合体)を飛ばすことを防ぐことができています。また、他にも完全ではないものの飛沫感染の防止ができていることが研究の結果で出ています。

(参考)厚生労働省「市中感染におけるマスクの着用による感染防止効果等について(参考資料4)」より

正しいマスクの装着方法

訪問看護師も必見!自分も相手も守る正しいマスクのつけ方

それではマスクを正しく装着するために必要なことを見ていきましょう。

マスクを装着する際のポイント

マスクを着用している場合には注意する点があります。一番大切なことはマスクの表面には絶対に触れないことです。マスクの表面や裏側(顔に当たる面)には菌が無数に付着しています。そこを触ると菌が手に付着し、知らないうちに他のところへ運んでしまいます。またその手で口や鼻、目に触れてしまうと体内に菌が入り込んでしまい、コロナウイルスなどの感染症にかかってしまうので注意が必要です。

マスクの着用手順

訪問看護師は利用者の自宅へ行き、利用者やその家族と接します。マスクの正しい装着方法を知らないと、利用者やその家族へ菌を撒いてしまうかもしれません。きちんと正しい装着方法を理解しておきましょう。

  1. 流水での手洗いまたはアルコール消毒を必ず行いましょう。
  2. マスクを箱から取り出します。
  3. マスクの裏表を確認し、半分に軽く折りましょう。
  4. 山折りしたところに鼻を当てて、両方のゴムを耳にかけます。
  5. プリーツをしっかりと伸ばし、鼻と顎が隠れていることの確認が必要です。
  6. ワイヤーが入っている場合には頬と鼻にフィットするように押さえつけ形成します。

装着し終えた後はしっかり隙間がないようにフィットしているか確認してください。また鼻が出たり、頬の当たりに隙間があったりするとエアロゾルを吸い込む可能性があるため、マスクのサイズは顔のサイズに合っているものを選びましょう。

マスクの着脱手順

マスクを付ければ外すこともあります。前項でもあったように、マスクを使用した後は表面に菌が付着していることを忘れてはいけません。表面に触らないように外す手順をしっかりと覚えておきましょう。

  1. 流水による手洗いまたはアルコール消毒を必ず行いましょう。
  2. 耳のゴム部分を持って外します。
  3. たたんだり握ったりしないようにそのままの形で所定の廃棄場所に捨てましょう。

外すときは基本的に装着した手順の逆を行うことが基本です。外し方を誤ると知らないうちに自分が感染症の媒介者となってしまいます。利用者の体調を観察し、よい方向へ向かうために援助するはずの訪問看護師が媒介者となることは避けなければなりません。

NGなマスクのつけ方は?

訪問看護師も必見!自分も相手も守る正しいマスクのつけ方

では誤ったマスクのつけ方とはどのようなものなのか見ていきましょう。

密着していない

マスクは顔に密着していないと意味がありません。マスクは自分の菌を飛散させず、他人の菌を吸い込まないために装着する必要があります。隙間が空いていることで、そこから感染源となる菌が出入りすることになってしまいます。きちんとワイヤーの形を整え、両方の頬が出ないようにしましょう。

マスクを購入するときに、「女性用」「子ども用」など記載がありますので間違わないようにしましょう。小さすぎると鼻から顎まで隠すことができず、密着しないため隙間が空いてしまいます。顔の小さな女性や子どもでもサイズが大きいと隙間が空いてしまい、効果が薄れてしまいます。

上下と裏表を確認しない

マスクにも裏表や上下があるのはご存知でしょうか。不織布のマスクは構造が層になっていることが多く、裏表を間違えると効果が薄れてしまいます。上下に関してはワイヤーがあるほうが上に来れば大丈夫です。このときプリーツ(蛇腹)が下を向いていることを確認しましょう。上下逆にしてしまうと蛇腹が上を向いてしまい、ほこりや落下性細菌がプリーツの中に溜まりやすくなってしまいます。

マスクを再利用する

マスクを数日にかけて再利用することは避けましょう。マスクの表面には細菌が多量に付着しているため、再利用することにより、感染するリスクが高くなってしまいます。不織布のマスクは再利用せず、半日または1日使用したものは破棄して、新たなマスクを付けるようにしましょう。

以前は不織布のマスクでも水洗いして干せば使えるという情報も出回っていました。しかし、感染予防の観点からも脱着時に感染しやすいため、マスクの再利用は可能な限り行わないことが原則です。

気を付けよう!マスクのトラブル

最後にマスクを着用することでおこるトラブルを見ていきましょう。

肌荒れ

マスクは常に肌に密着しており、皮ふへの刺激になります。そのため頬や鼻に肌荒れが出現する方もいます。またマスクの中は高温多湿になりやすく、菌が増殖しやすい環境となります。そのためニキビが増えたりかゆみが強くなったりと不快感が増します。肌荒れを予防するためには、自分の肌にあったものを選んで保湿をしっかりと行い、スキンケアを心がけましょう。また汗をこまめに拭く、荒れている部分へ日焼け止めクリームは塗らないなど、肌を刺激から守るとよいでしょう。

コミュニケーション

コミュニケーションのトラブルにも注意が必要です。訪問看護で利用者と信頼関係を結ぶために必須なのはコミュニケーションです。コミュニケーションはただの会話だけでなく、身振り手振りや表情も大切になってきます。マスクがあるために、目しか見えていない状況です。またマスクで口が密閉されているため、高齢の利用者には聞き取りづらいこともあります。うまく伝わらないとお互いにフラストレーションが溜まってしまい、信頼関係を築くのに時間がかかってしまいます。

感染対策など様々な訪問看護のリスクに備える!危機管理対策セミナー

多くの利用者様と関わる訪問看護ステーションでは日々感染対策を強化徹底されているかと思います。また、感染症だけでなく、あらゆるリスクと直面する場面もあるかと思います。そこで、おすすめなセミナーが「訪問看護の危機管理対策セミナー」です。感染対策をメインに、訪問看護ではどのようなリスクが予測されるのか事例を挙げてわかりやすく対策について解説いたします。今だからこそ、自ステーションの感染対策について再度確認し対策方法について学びましょう。

iBow無料訪問看護セミナーでは利用者獲得以外にも精神科訪問看護やステーション運営、実地指導など皆さまのお役に立てるセミナーを開催しています。PC・スマホからいつでもご覧いただけますので気になる方はぜひチェックしてください。

訪問看護セミナーに参加する >

まとめ

マスクは感染予防対策の中でも認知度が高いアイテムです。訪問看護師はつけ方をマスターし、利用者宅に出向いたときに利用者やその家族へ自分の菌を飛ばさない、または利用者やその家族から菌をもらわないためにも、正しいマスクの装着方法を身につけることが必要です。感染リスクが高い高齢者の場合には特に注意が必要です。日常生活には欠かせなくなったマスクですが、使い方を間違えると菌を撒いてしまう可能性があるのできちんと正しい装着方法をマスターしましょう。

この記事をSNSでシェアする

RANKINGアクセスランキング