はじめての訪問看護~気をつけるべき利用者宅でのマナーの応用~
訪問看護を初めて行うとき、利用者宅での立ち居振る舞いやマナーは意外と忘れがちです。何事にも事前準備が必要ですが、マナーにおいても同じことがいえます。前回は利用者宅への訪問において、訪問前~退室時に注意すべき基本的なマナーを解説しました。
≫前回記事 はじめての訪問看護~気をつけるべき利用者宅でのマナーの基本~
今回は、利用者宅の訪問中に起こりうるシチュエーションや、より具体的な場面を想定し、前回の応用編としてマナーや対処法を解説していきます。しっかり準備して、本番の業務では慌てないようにしましょう。
お茶は頂かない
■お茶は頂かない
初対面の打ち合わせの場や、サービス後にご家族へ報告するシチュエーションでお茶を出されることがあるかもしれませんが、このお茶はいただきません。理由は2つあります。まず第一に訪問看護師は利用者にとって「お客様」ではありません。本来、もてなしを受ける側ではないことを忘れないようにしましょう。第二にお茶を頂いて訪問時間が長くなると利用者の負担になってしまいます。お気持ちだけ頂いて、次回は不要であることをしっかりと伝えましょう。しかし、一部例外もあります。利用者と一緒にお茶を頂くことで利用者本人やご家族の気持ちを汲むことも大切なときがあります。独居の利用者であれば、そういった時間を楽しみにされている方がいます。また、ご家族に強く勧められるときは何か相談事があるのかもしれません。事業所ごとに対応が異なることもありますから、行動の仕方を事前に上司へ確認しておくと良いでしょう。
トイレは借りずに外で済ます
トイレは基本的に、借りしないようにします。これはどこの事業所でも同じ暗黙のルールではないかと思います。訪問前に済まませておき、利用者宅周辺のコンビニなど利用できるトイレの場所を事前に把握しておきましょう。それでも生理現象ですから、抑えられないときがあるかもしれません。どうしても我慢できないときは正直に伝えて貸していただきましょう。その際は『お化粧室を貸していただけないでしょうか』など、なるべくトイレという言葉を使わないようにしましょう。トイレをお借りしたら、蓋などを開けたままにしないように注意しましょう。使った後も利用者に心地よく使えたことを伝え、必ずお礼も言いましょう。イレギュラーな場面ではこうしたマナーを忘れがちです。もしもの時のためにシミュレーションをしておくとよいかもしれませんね。
ご自宅をきょろきょろするのは控える
初めて訪問したときであれば、より良いサービスを提供するために利用者の生活状況を正確に把握したくなると思います。ついつい、利用者宅の導線や危険箇所などが気になってしまうことでしょう。水場はどこか、ベッドはどこか、段差はどの程度あるか、どこで食事をされているのだろうか、など、これから仕事をする上で気になるポイントはたくさんあるでしょう。しかし、不用意に観察しすぎると、かえって利用者やそのご家族に不信感を与えてしまいますので注意が必要です。初めて来た人に家の中をジロジロと見られたら、誰だって気持ち良くありません。はやる気持ちは分かりますがしっかりとわきまえて行動しましょう。
事業所近隣での会話は注意
事業所の周辺や外での会話で、利用者が特定されるような情報を出した会話をしないようにしましょう。利用者はたいていの場合、事業所の近隣に住んでいることが多いと思います。同じ事業所の方とのふとした立ち話で利用者の状態などを話題にしたとき、利用者を知る人に聞かれてしまうかもしれません。こういった不用意な会話から利用者の個人情報が他人へ漏れてしまっては利用者のプライバシーを侵害することになります。また、立ち話以外にも、携帯電話などで利用者のことを話すときも周囲の状況を確認してから、話すようにしましょう。利用者の個人情報を守ることも訪問看護師の仕事のひとつです。時に緊急の要件も起こりますが、落ち着いて会話ができる場所を確保してから対応しましょう。
まとめ
初めての訪問看護では、なかなか慣れない利用者宅でのマナー。今回はその中でも特に見落としがちなものをピックアップしてご紹介しました。これ以外にも、地域によって異なったり事業所によって方針が異なることもあるでしょう。より細かい部分は上司や先輩などに確認することも必要です。しっかりと準備をして「また来てもらいたい」と思われるような訪問看護師を目指していきましょう。
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