訪問看護経営者は知っておきたい!資金繰りの悪化の原因と改善のポイント
訪問看護ステーションを運営するためには、経営に関する知識が必須ですよね。では「資金繰り」という言葉をご存じですか?資金繰りも経営者が理解しておくべきことの一つです。今回の記事では、ステーションを運営する上で必要な「資金繰り」について紹介します。ぜひ最後まで読んでいただき、安定したステーション経営の参考にしてください。
まずは知っておきたい!そもそも資金繰りってなに?
まず、資金繰りとはどのような意味なのでしょうか。「資金」と「資金繰り」で調べると次のような意味となっています。
資金:事業の元手や経営のために使用される金銭。
資金調達:資金の調達・運用。資金のやりくり。かねぐり。
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つまり、資金繰りとは「事業を経営するための金銭をやりくりする」ことを指します。事業を経営するための金銭であるため、すぐに現金として準備できるものが資金にあたります。株式や不動産、設備は現金化するのに時間がかかるため、資金ではなく資産となります。経営者は経営状況を把握し、資金繰りをしていくことが重要です。資金繰りが上手くいかず資金が足りなくなった場合は、スタッフへの給与が払えなくなったり、設備などの月々の支払いが滞ったりすることにつながります。また、最悪の事態としては倒産のリスクも考慮しなければなりません。
ここで注意しなければならないのは、「利益=資金」ではないことです。例えば、毎月レセプト算定をして、事業所の利益を確認しますよね。しかし、その利益はすぐに現金化できるものではありません。レセプト算定をしても、請求をするのは翌月以降です。請求金が手元に届くのはそれからになります。口座振替であれば、さらに時間がかかります。そのため、毎月の決算で黒字か赤字かの判断はできますが、そこで資金繰りが良いか悪いかの判断はできないのです。資金繰りが上手くっているのか、悪化しているのかは、手元にある現金でしっかり確認していきましょう。
なぜ資金繰りが悪化するのか?原因を確認しよう
資金繰りが悪化しているということは、資金が足りていないという状況です。では、なぜ資金繰りが悪化するのでしょうか。
資金繰りが悪化する原因の1つに、赤字の状態が長く続いているということがあります。売上が落ち、赤字の状態が長く続くと、支出ばかりが増え資金不足に陥ります。訪問看護で売上が落ちる原因には、利用者を充分に確保できていないことが挙げられます。また、利用者数が多くても、1人当たりの単価が低いと売上にはなかなか結びつきません。他には、医療保険を使った終末期の利用者の割合が高くなると、利用者が亡くなることで売上が急激に落ちるというパターンもあります。
さらに、訪問看護の現場では人件費が支出の大部分を占めていることも原因となる場合があります。※2013年の三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によると、費用に占める給与費(人件費)の比率は、平均で75.4%であったと報告されています。
(※参考)三菱UFJリサーチ&コンサルティング(2013)訪問看護の基盤強化に関する研究事業報告書
そのため、人件費を抑えれば、資金繰りの悪化を改善できるかもしれません。訪問看護はスタッフがいないとサービスを提供できないことに注意が必要です。利用者を増やすためには、まずは充分なスタッフの確保が必要となります。訪問看護の現場における資金繰り悪化の原因には、売上が不足することや、人件費が支出の7割以上を占めていることが挙げられます。
資金繰り改善のポイント!経営状態を把握しよう
資金繰りを改善するためのポイントとして、まずは経営状態をしっかり把握しましょう。特に財政状況については、短期的なものと長期的なものとの両方の視点で確認することが重要です。人件費や月々の支払いに必要な資金は短期的なもの、売上などの収益は長期的なものとしてそれぞれ見ておきましょう。また、どのような利用者とどういった契約を結ぶかということも大切なポイントです。もちろん、依頼があった利用者全てを受け入れることも理想的でしょう。しかし、使用する保険の種類やサービス提供時間・回数によって収入が大きく変わります。
例えば介護保険でサービスを提供する場合、※30分未満のサービスは470単位、30分以上60分未満の場合は821単位です。
(※参考)第199回社会保障審議会介護給費分科会参考資料1令和3年度介護報酬改定における改定事項について
移動時間も考慮すると、30分未満の利用者を3件よりも、30分以上60分未満の利用者を2件訪問する方が、得られる報酬は高くなります。医療保険と介護保険を比較すると、単価は医療保険の方が高い場合が多いでしょう。しかし、上記で述べたように、医療保険が高いからといって契約した方が終末期の利用者ばかりになると、亡くなることで契約終了となってしまいます。終末期であるため、契約期間が短いことがほとんどです。一気に多くの方が契約終了となると、当然のことながら売上は落ちてしまうでしょう。割ける人員と、経営状況を見ながらどの利用者と契約するかを考えることも重要です。ただし、新規利用者の相談はいつ来るか分かりません。契約時は30分未満の契約であったとしても、訪問してみて必要性があれば利用者とケアマネージャーと相談の上、サービス提供時間を長くしてもらうのも方法の一つです。
最短で資金を増やすには「資金調達」という方法もあります。資金調達についてはこちらの記事で詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてくださいね。
> 訪問看護ステーションを開業したい、事業拡大したい経営者の方へ!知っておきたい5つの資金調達
業務のアウトソーシングで事務作業に係るコストの適正化!『iBow事務管理代行サービス』
先ほど人件費を抑えれば、資金繰りの悪化を改善できるかもしれないとお伝えしましたが、訪問看護はスタッフがいないとサービスを提供できず売り上げを上げることはできません。ただし、レセプト作業など売上に関わる訪問サービス以外の業務を看護師が行っている場合、ステーションとしての機会損失は大きくなります。そのため、事務員を雇用しているステーションもいますが、スタッフの人数がそこまで多くないステーションでは管理者がレセプト請求を行っている場合もあるでしょう。
機会損失を防ぎたい、と事務員の雇用を考えていても訪問看護のレセプト請求経験のある方を採用することは難しいでしょう。そこで、『iBow』では訪問看護の複雑なレセプト請求業務をお手伝いする『iBow事務管理代行サービス』を提供しています。訪問看護の事務作業で大変な請求処理をiBowがお手伝いします。請求漏れなどの損失を防ぐため、複雑な制度や算定要件を理解した専門スタッフが綿密に請求情報を作成・チェックし、正確な請求を行います。こういった作業をアウトソーシングすることで月末月初に請求に追われていた時間をサービス提供の時間に充て、売り上げUPにつなげることもできます。
まとめ
今回の記事では資金繰りの意味と、訪問看護経営における資金繰りの悪化の原因と改善のポイントについて説明しました。資金繰りについて認識し、ステーションの運営状況を正しく把握することが重要です。また、どうすれば資金繰りが上手くいくのか、自分のステーションに合った改善のポイントを見つけられると良いですね。