訪問看護師必見!利用者との信頼関係を築く、正しい日本語と敬語のマナー

訪問看護師必見!利用者との信頼関係を築く、正しい日本語と敬語のマナー

訪問看護では、利用者はもちろんのこと、その家族やケアマネージャー、主治医など、たくさんの方と日々コミュニケーションをとる機会が多くあります。丁寧な言葉遣いにしようとするあまり、間違った敬語になってしまう場面は意外に多いのではないでしょうか。特に新人スタッフは「正しい敬語を使わなければ」と意識するあまり、二重敬語や余計な言葉の挿入、過剰な敬語、もしくはアルバイト敬語など、頭ではわかっているつもりでも、いざ使うとなると、なかなかスムーズに出てこないこともありますよね。

今回は意外と使ってしまいがちな間違った日本語や敬語をピックアップしてご紹介していきます。「自分は大丈夫」という思い込みを捨て、体に染みついた誤用をリセットするつもりで、一度見直してみましょう。

目次

知っておきたい敬語の3種類!「謙譲語」「尊敬語」「丁寧語」の意味と違い

敬語には、丁寧語尊敬語謙譲語の3種類があります。言葉遣いを意識していくためには、この3種類の違いを知り、相手に合わせて使い分けをしていきましょう。

・尊敬語
「〜られる」「お〜なる」などの使い方をします。敬語の中でも相手への尊敬を表す言葉遣いです。自分よりも目上の人を敬う場合に使う言葉です。

・謙譲語
敬語の中でも最上級の表現で、相手に対して自分が謙る(へりくだる)言葉遣いです。「いただく」「頂戴する」などの使い方をします。

丁寧語
「〜です」「〜ます」や、単語の頭文字に「お」や「ご」をつけるなどの言葉遣いです。内容・相手を問わず丁寧な印象を与えたい時に使用します。

 

丁寧語は「~です」「~ます」を語尾につけるのが特徴ですが、尊敬語と謙譲語は少し難しく感じるかもしれません。この2つは「誰の動作か」がポイントです。目上の人の動作には尊敬語を使い、目上の人に対して、自身の動作について話す場合は謙譲語を使います。もし、今自分が使用している敬語が本当に合っているのかわからなくなった時は、一度冷静になり、自分の使用したい敬語は主語が誰で誰に宛てての言葉で、3つの内のどの敬語に当てはまるのかを整理してみると良いかもしれません。

まずはチェック!目上の人に使うと失礼な言葉遣い

次は、特に間違えやすい敬語の表現についてご紹介します。慎重に言葉を選んでいるつもりでも、丁寧語と混じって気づかないうちに失礼な表現をしてしまっている可能性もあります。知らず知らずのうちに失礼な表現をしていないか、ぜひチェックしてみてください。

 

・ご苦労さまです
了解です
・すいません
・〜させていただいております
・お座りください
・どうしますか
・どちら様でしょうか
・ご一緒します
・大変参考になりました
・なるほど
・お分かりいただけたでしょうか
・役員名に「様」をつける

 

いかがでしょうか。
「知らず知らずの内に使っていた」なんてこともあるのではないでしょうか。一見、丁寧な言い方に感じられるこれらの敬語のどこが失礼にあたるのか、ひとつずつ見ていきましょう。


「ご苦労さま」
この表現は目上の方が目下の方の労を労う時に使う言葉で、目上の方に使用するのは失礼にあたります。一方、「お疲れ様です」は、目下の方から目上の方に使用してもOKですので、そちらを使用する方が良いでしょう。
 ×「ご苦労様です」 
 〇「お疲れ様です」

 

「了解です」
こちらはついつい使ってしまっている方も多いのではないでしょうか。フランクな印象を与えてしまうので、目上の方には避けた方が無難です。代わりに「承知しました」「かしこまりました」を使いましょう。
 ×「了解です」
 〇「承知しました」


「すいません」
「すみません」の口語である「すいません」という表現は、目上の相手に対して使うと失礼にあたります。そもそも「すみません」が複数の意味合いを持つ曖昧な言葉であることから、謝罪の意を明確に伝えたい場合には向きません。その場合は「申し訳ございません」を使うようにしましょう。
また、「ごめんなさい」は、「ごめんなさい」=「許してください」という意味を持つ謝罪言葉ですが、相手に対しての謝罪というより、許しを乞うという、やや自分本位な言葉です。また、「ごめんなさい」という言葉自体、親しい間柄で使うようなカジュアルなニュアンスを持っているため、使う相手や使い方によっては申し訳ないと思っている気持ちが伝わりづらいため、使うことはおすすめしません。
 ×「すいません」
 〇「申し訳ございません」

 

「〜させていただいております」
この言葉は場合によりけりで、使用する時には注意しましょう。「〜させていただく」というフレーズは、相手から許可が必要な場合や、謙遜する時の表現です。不必要な場面で使うと不快感を与えるので、「〜しております」「〜いたします」というフレーズを使用しましょう。
 ×「今日から担当させていただきます」
 〇「本日より担当いたします」

 

「お座りください」
接客などの際に使用してしまいがちな言葉ですが、小さな子どもに諭すような印象を与えてしまうので、失礼にあたります。この場合は「お掛けください」を使いましょう。
 ×「お座りください」
 〇「お掛けください」

 

「どうしますか」
こちらは丁寧語のため、使ってもいいように思いますが、「この先の選択をあなたが決めてくれ」「聞き入れるから言ってくれ」といった、相手との距離感では対等な印象を受ける言い方といえます。この場合は「いかがいたしましょうか」を使うので適切です。
 ×「どうしますか」
 〇「いかがいたしましょうか」

 

「どちら様でしょうか」
こちらも丁寧語ではありますが、冷たい印象を与えてしまいます。「お名前を伺ってもよろしいでしょうか」に変えましょう。この言葉は電話対応でよく使われるので、覚えておくと便利です。
 ×「どちら様でしょうか」
 〇「お名前を伺ってもよろしいでしょうか」

 

「ご一緒します」
「ご」や「ます」が付いているので、一見敬語として使っても良いと勘違いしそうですが、目上の方へ使う謙譲語ではありません。なぜなら「ご一緒する」の「ご」を取ってみると「一緒する」になり、このような動詞は存在しないからです。「一緒に行く」を丁寧にした言葉というだけで、目上の方に使うのは失礼にあたります。「ご一緒いたします」や「ご一緒させていただきます」が適切です。
 ×「ご一緒する」
 〇「ご一緒させていただきます」

 

「大変参考になりました」
「参考」という言葉は、「自分の考えを決める際の足しにする」といった意味です。目上の方に対して使う言葉として実は適切ではありません。アドバイスをもらった際には、「大変勉強になりました」を使いましょう。
 ×「大変参考になりました」
 〇「大変勉強になりました」


「なるほど」
「なるほど」は相手の言った内容を評価し、自分が納得したときに使う言葉なので、上司や目上の方に使うのは失礼にあたります。「なるほどですね」も、敬語ではないので使用しないでおきましょう。目下の人が使うと上から目線のように取られて、生意気な印象を与えてしまうケースがあります。この場合、「確かにおっしゃる通りです、勉強になります」「私もそのように感じます」などと言い方を工夫しましょう。しかし、何度も使用してしまうと軽い印象を与えるので、使用頻度は適度がおすすめです。
 ×「なるほど」
 〇「確かにおっしゃる通りです、勉強になります」

 

「お分かりいただけたでしょうか」
これも「ご一緒します」と同様に丁寧に聞こえますが、目上の人相手に「分かってます?」と話すのは見下しているように聞こえてしまいます。丁寧に言おうとし過ぎて、「お分かりになられましたでしょうか? 」という表現を用いる人もいますが、いくつもの敬語表現が重なっていて、スマートではありません。目上の方に使う場面では、「ご質問はありませんか」や「ご不明点ございませんか」と言い換えましょう。
 ×「お分かりいただけたでしょうか」
 〇「ご不明点ございませんか」

 

役員名に「様」をつける
「社長様はいらっしゃいますでしょうか?」などと言ってしまいがちですが、役職に敬称をつけるのは間違った使い方です。役職を使う場合は、「社長」「〇〇社長」「社長の〇〇様」という使い方をしましょう。
 ×「社長様」
 〇「〇〇社長」

 

以上、使ってしまいがちな目上の人へのNG敬語をあげてみました。

ただ、これはほんの一部です。もし使う言葉が目上の人へ使える言葉なのかどうかわからなくなった場合は、一旦調べてみるか、調べられない場合はその言葉の主語が誰なのか、相手を立てる言葉なのか、を考えてみるようにしましょう。

 

ついつい重ねてしまう、使いがちな二重敬語

「ご覧になられますか?」「お越しいただけますでしょうか?」など、メールやあいさつで、ついつい使ってしまいがちなこれらの表現。実は、二重敬語という間違いであるのをご存じでしょうか。
敬語のミスはさまざまなパターンがありますが、特に間違って使用しがちなのは、二重敬語です。一つの語の中に使って良い(同じ意味の)敬語はひとつと決まっています。2つ以上の敬語を重ねると、過剰な表現になってしまいます。では、どういったものが二重敬語になるのか、例を挙げて見ていきましょう。

 

「おっしゃられる」
「おっしゃる」は「言う」の尊敬語、「~られる」も尊敬語にあたるので、尊敬語が重なり二重敬語です。この場合は、「おっしゃる」が正しい敬語です。

 ×「~と、◯◯様がおっしゃられていました」
 〇「~と、◯◯様がおっしゃっていました」

 

「お~になられる」
「お+動詞」の敬語が、「~られる」と重なり二重敬語になっています。
 ×「お帰りになられる」
 〇「お帰りになる」もしくは「帰られる」

 

「拝見させていただきます」
「拝見」は、「見る」の謙譲語に当たり、資料などを書いた人を立てるために使う敬語です。これに「~いただく」という敬語も加わることで、二重敬語になります。「拝見しました」と言えば十分に敬意は伝わります。
 ×書類を拝見させていただきました
 ○書類を拝見しました

 

初めてお会いする利用者や慣れていない現場では、緊張してついつい二重敬語を使ってしまいがちです。少しでも、不自然かな?この敬語って合っているのかな?と疑問を持った時には使う前に調べてみましょう。

まとめ

丁寧で美しい言葉遣いは信頼にもつながっていきます。

訪問看護の利用者やその家族の方に気持ちよくサービスをご利用いただけるよう、自分の使う言葉にも気を遣っていきましょう。いろいろ書いてきましたが、敬語には決まり事やNGな使い方が多く「ややこしい」と思うかもしれませんが、大事なのは相手を敬う気持ちです。相手を尊重し、丁寧な言葉を使いたい、という気持ちがあれば自ら調べて学んでいくものです。正しい日本語、敬語の使い方は仕事ではもちろん、プレイベートでも役に立つ知識です。自分の教養を高めると思って使う言葉に注意してみましょう。

今回は意外と使ってしまいがちな間違った日本語や敬語をピックアップしましたが、他にも電話対応に苦手意識を抱いている方々に向けて、電話対応のマナーやコツなどもご紹介しています。iBowお役立ち情報では、今後も役立つ情報をお伝えしていきますのでぜひ、次回のチェックしてください!

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