訪問看護の未来を見据えて:業界最新動向#6
本コラムでは訪問看護業界に関わる最新の動向を探っていきます。今回のテーマは訪問看護の経営にも影響のある「燃料油価格激変緩和補助金」縮小に関して取り上げます。
ガソリン価格補助縮小 訪問看護の経営にも影響
2024年12月19日より政府の「燃料油価格激変緩和補助金」が縮小されました。これに伴うガソリン小売価格の値上げが一部店舗では始まっており、自動車を使用する訪問看護事業所の経営にも大きな影響を与えています。スムーズな運転による燃費の上昇を心がけるなどの対応策を講じる必要があります。
この補助金は2022年1月に始まったもので、全国のガソリン小売価格の平均が1リットルあたり168円を超えた場合、185円までは超過分の6割が、185円を超えた場合は超過分の全額が元売り会社に補助されるため、結果的に小売価格の上昇を抑制していました。資源エネルギー庁の調べでは、2024年12月9日時点で1リットル当たり14.3円の価格抑制効果があるとされていました。12月19日からは168円~185円までの補助率が超過分の3割に引き下げられました。さらに2025年1月16日からは、「185円までは補助なし、185円を超えた場合に超過分の全額補助」となります。政府は、その後も月の変動価格が5円程度となるよう、状況を見定めながら補助率の改定を行っていく考えです。
まとめ
各種コストの増加が訪問看護事業の経営に影響を与える中で、ガソリン価格の上昇は大きな負担といえます。これまで以上に、ガソリンの消費を抑える取り組みが求められます。具体的には以下のような方法が考えられます。
1.急発進・急加速や急ブレーキなど「急」のつく運転をしない、多くの荷物を積まない、適正なタイヤの空気圧で走るなど、燃費を向上させる運転を心がける。
2.燃費の良い車両への買い替え、借り換え。
3.訪問ルートの見直し・適正化。
特に「3.訪問ルートの見直し・適正化」については、現在ではAIが最適なルートを算出してくれるなどの様々なツールがあります。自身の訪問スタイルに合わせ、これらを積極的に導入していくことも検討しましょう。
西岡一紀(Nishioka Kazunori) フリーライター1998年に不動産業界紙で記者活動を開始。 2006年、介護業界向け経営情報紙の創刊に携わり、発行人・編集長となる。 2019年9月退社しフリー転向。現在は、大阪を拠点に介護業界を中心に新聞・会報誌・情報サイトでのインタビューやコラム執筆で活動中。 |