訪問看護医療DX情報活用加算 2024年診療報酬改定

訪問看護医療DX情報活用加算 2024年診療報酬改定
目次

医療DXとは

DXとは「Digital-Transformation(デジタル-トランスフォーメーション)の略です。ICT機器などの各種デジタル技術によって、ビジネスや社会、生活のスタイルを変える(Transformする)ことを指します。 

医療分野においては、保健・医療・介護のそれぞれの段階で発生する情報やデータについて共通化や標準化を図り、良質な医療や介護を国民が受けられるための体制を構築することなどがそれに当たります。 

具体的には、①2024年の保険証の廃止に伴うオンライン資格確認の導入②2025年度 運用開始予定の電子カルテ情報共有サービスの活用③医療用ビッグデータの活用・分析などが挙げられます。 

「訪問看護医療DX情報活用加算」の新設

上記の中でも①については訪問看護ステーションにも導入されることから、2024年度の診療報酬改定では、初回訪問時等に利用者の診療情報や薬剤情報を取得・活用して訪問看護の実施に関する計画的な管理を行い、質の高い医療を提供した場合に算定できる「訪問看護医療DX情報活用加算」が新設されました。算定料は50円で、月1回のみ算定可能です。 

※なお、医療機関からの訪問看護提供についても、同じ名称の加算が新設されましたが(5単位)、本稿では訪問看護ステーションで算定可能な加算について解説します。 

加算の種類 算定料
訪問看護医療DX情報活用加算 50円/月

算定対象

訪問看護管理療養費を算定する利用者 

算定要件

厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして届け出た指定訪問看護ステーションの看護師等(准看護師は除く)がオンライン資格確認により、利用者の診療情報を取得した上で、訪問看護の実施に関する計画的な管理を行った場合

施設基準

  1. 厚生労働省が示す「訪問看護療養費及び公費負担医療に関する費用の請求に関する命令」に規定する訪問看護療養費のオンライン請求を実施している 
  2. マイナンバーを用いたオンライン資格確認を行う体制を整えている 
  3. 医療DX推進体制に関する事項および質の高い訪問看護実施のための十分な情報を取得・活用して訪問看護を行うことについて、訪問看護ステーションの見やすい場所に掲示している。また、上記2の体制に関する事項及び質の高い訪問看護を実施するための十分な情報を取得・活用して訪問看護を行うことについて、訪問看護ステーションの見やすい場所に掲示している。 
  4. 上記3についてWebサイト上でも掲示している。

経過措置

2025年5月31日までは、上記4に該当しているとみなす経過措置が設けられます。

留意点

届出

訪問看護医療DX情報活用加算の届出を行うためには、「別紙様式10」の届出書を用いて手続きを進める必要があります。

また、届出に関しては次のいずれの要件も満たす必要があります。

様式10

(画像引用:訪問看護ステーションの基準に係る届出に関する手続きの取扱いについて P37|厚生労働省)

  1. 訪問看護療養費及び公費負担医療に関する費用の請求に関する命令(平成4年厚生省令 第5号)第1条に規定する電子情報処理組織の使用による請求を行っている訪問看護ステ ーションであること。
  2. 健康保険法第3条第 13 項に規定する電子資格確認(以下「オンライン資格確認」とい う。)を行う体制を有している訪問看護ステーションであること。なお、オンライン資格 確認の導入に際しては、医療機関等向け総合ポータルサイトにおいて、運用開始日の登録 を行うこと。
  3. 居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムの活用により、看護師等が利用者の診 療情報等を取得及び活用できる体制を有していること。
  4. 医療DX推進の体制に関する事項及び質の高い訪問看護を実施するための十分な情報を 取得・活用して訪問看護を行うことについて、当該訪問看護ステーションの見やすい場所 に掲示していること。具体的には次に掲げる事項を掲示していること。
    • 看護師等が居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムにより取得した診療情報 等を活用して訪問看護・指導を実施している訪問看護ステーションであること。
    • マイナ保険証の利用を促進する等、医療DXを通じて質の高い医療を提供できるよう 取り組んでいる訪問看護ステーションであること。
  5. 4の掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載していること。自ら管理す るホームページ等を有しない場合については、この限りではないこと。

(参考:訪問看護ステーションの基準に係る届出に関する手続きの取扱いについて P13|厚生労働省

DX化の背景と今後の訪問看護で求められること

今回の加算はオンライン資格確認が対象ですが、訪問看護だけでなく介護・医療業界の深刻な人手不足が続く中では、それに限らず電子カルテの導入などあらゆる部分でのDX推進が求められていきます。現在就業する人たちの労務効率を改善させ離職防止効果が期待できるだけでなく、新規スタッフの採用においても大きなアドバンテージになると思われます。また、ヒューマンエラーに起因する事故の減少にも寄与します。 

一方で、看護師など現場からは、慣れないICT機器の新規導入に際しては「使い方がわからない」「機械は信用できない」などの戸惑いや反発の声が上がることも珍しくありません。ICT機器導入のメリットや使用方法などについてしっかりと説明する機会を設けることも大切です。 

 

今回の「訪問看護医療DX情報活用加算」のポイントのひとつは、DXの推進に関してWebサイト上での掲示が算定要件となったことです。小規模な訪問看護事業所ではWebサイトがなかったり、あってもごく簡易的なもので、内容の更新もほとんどなされていなかったりするケースが少なくありません。 

今回、Webサイトへの掲示に際しては1年間の経過措置が設けられましたので、これを機にWEBサイトの刷新・充実を図ってみてはいかがでしょうか。 

電子カルテiBowは報酬改定にも対応

訪問看護専用電子カルテシステムiBow

電子カルテ「iBow」は、令和6年度の介護・診療報酬改定に対応しています。訪問看護ステーションのニーズに応じた機能が搭載されており、日々の記録からレセプト作成までの業務を効率化します。報酬改定に伴う変更点やオンライン請求・資格確認に対応予定です。さらにiBowのカスタマーサポートは、システムの使い方だけでなく、加算や制度についての相談も受け付けているため、診療報酬改定直後でも安心して利用できます。 

iBowについて問い合わせる

最後に

ここで紹介した報酬改定に関する各種情報は、厚生労働省がホームページ等で公開しています。これに加えて解釈通知なども適時発表されていますので、こまめにチェックし、常に最新の、正確な情報を得るようにしましょう。 

この記事をSNSでシェアする

RANKINGアクセスランキング