安心して訪問看護を提供するために!入っておくべき損害賠償保険

損害賠償保険

訪問看護業務をする中で、利用者の怪我や持ち物の破損等ヒヤッとした場面に出くわしたことはありませんか?看護師も一人の人間です。仕事を行う中で、常に完璧な看護を提供できないこともあるでしょう。疲れがたまっていたり、忙しかったりすると注意力が散漫になることだってあるかもしれません。それがヒヤリハット、インシデントにつながります。もちろん、事故を起こさないような意識が重要であることはいうまでもないでしょう。しかし、事故を起こす確率はゼロではありません。そんな時に頼りになるのが、事業者向けの損害賠償保険です。訪問看護ステーションを開業し業務を実施するには、損害賠償保険への加入が義務付けられています。

今回の記事では、安心して訪問看護を行うために必要な損害賠償保険についてお伝えします。また、各団体が取り扱っている保険の種類や、選ぶ際の注意点を紹介します。ぜひ最後までお読みいただき、スタッフが安心して働ける環境づくりの参考にしてください。

目次

開業時に必ず知っておくべき保険!訪問看護の賠償責任保険とは?

訪問看護の賠償責任保険とは、ステーションやそのスタッフが業務中に起こした事故に対して損害賠償責任を負った場合に、損害賠償の責任を保障する保険です。この保険は、サービス提供中に利用者や家族に怪我を負わせてしまった、物品を壊してしまった等の対人対物の損害などが対象です。

訪問看護は利用者の居宅でのサービス提供となるため、病院とは異なり安全な環境が整えられていない中、基本的に一人で訪問を行うことが多いため、人手という面からも事故が起きるリスクは高いでしょう。また、利用者や家族の怪我だけではなく、スタッフの自身の怪我や感染症に対する保障を備えている保険もあります。安心して働くためにも、ぜひ賠償責任保険に加入しておきましょう。

どんな保険があるの?各団体別の保険の種類をみてみよう!

訪問看護の賠償責任保険にも、様々な団体が何種類もの保険サービスを整えています。いくつかの団体の保険についてご紹介するので、選ぶ時の参考にしてください。

 

 公益財団法人日本訪問看護財団あんしん総合保険制度 

日本訪問看護財団が提供している損害賠償責任保険です。訪問看護事業を次の5つの内容で総合的にカバーしています。

1.賠償責任保険
事業者やその業務事業者が業務の遂行に伴い、万が一利用者やその家族等に怪我を負わせてしまったり、財物を損壊させてしまったりした場合、その法律上の損害賠償責任を補償する制度です。

2.什(じゅう)器・備品損害保障
所有または使用している建物内に収容の什(じゅう)器・備品や、建物内から持ち出されている間に、火災、落雷、破裂・爆発や、その他の不測かつ突発的な事故により損害が生じた場合に、適応となる保障です。現金や通帳等は盗難の時のみ保障されます。

3.業務従事者傷害保険
業務従事者が職務に従事中(通勤途上を含む)、急激かつ偶発的な事故が原因で怪我をした場合に、 適応となる保険です。

4.業務従事者感染症見舞い補償
業務従事者への災害補償制度をより充実させるための保険です。事業者がスタッフを対象とした「感染症補償規定」を定めることにより、それに従ってスタッフに見舞金を支払った時、事業者に対して保険金が支払われる補償となります。

5.サイバーセキュリティ保険
偶然の事由で情報漏洩し損害賠償請求された際に、被保険者(法人)が法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害について保険金が支払われる保険です。情報が漏洩し、事故解決のために自ら支出した費用に関しても保険金が支払われます。

この保険制度に加入するためには公益財団法人日本訪問看護財団の団体会員(専門職 能団体・法人・特別団体)であることが条件となります。詳しくは公益財団法人日本訪問看護財団あんしん総合保険制度をご確認ください。

 

 全国訪問看護事業協会 

一般社団法人全国訪問看護事業協会が取り扱っている訪問看護事業者総合補償制度です。訪問事業者総合補償制度は、事業者やスタッフが、業務中に利用者や家族に怪我を負わせてしまった、物品を損壊してしまった等により損害賠償責任を負った場合の補償が備わっています。

大手三社の保険会社が共同で行っています。

  • 三井住友海上火災保険株式会社(幹事)
  • 損害保険ジャパン株式会社
  • 東京海上日動火災保険株式会社

 

基本契約として「訪問看護事業者賠償責任保険」があります。この保険にセットで契約できる以下のものがあります。

1.居宅サービス・居宅介護支援事業者賠償責任保険
居宅サービスの業務中、利用者やその家族等に怪我を負わせてしまった、 他人の財物を損壊させてしまった等の場合に、事業者が法律上の損害賠償責任を負担することにより被る損害を補償します。

2.クレームサポート補償特約
事業者が第三者から過度なクレーム行為を受けた場合に、クレームへ対応するために事業者が負担する弁護士費用等を補償する特約です。

3.サイバープロテクター
情報の漏洩またはその恐れ等に起因して、損害賠償請求されたことによる損害に対して保険金が支払われる補償です。

詳しくは、訪問看護事業者総合補償制度のご案内をご確認ください。

 

 株式会社メディカル保険サービス 

東京海上日動火災保険会社が提携している訪問看護事業者損害賠償保険です。事業者が、業務の遂行に起因して発生した他人の身体の障害、または財物の損壊について負う法律上の賠償責任を補償されます。補償内容の拡大として保険期間中であれば以下のものがオプションで追加可能です。

1.施設・生産物危険担保特約条項
他人の身体の障害、または財物の損壊について、被保険者が法律上の賠償責任を負担することによって被る損害に対して、保険金が支払われる特約です。

2.人格権侵害担保特約条項
不当行為によって発生した人格権侵害について、被保険者が法律上の賠償責任を負担することによって被る損害に対して、保険金が支払われる特約です。

3.訴訟対応費用担保特約条項
この保険の対象となる事故が発生し、被保険者に対する損害賠償請求訴訟が日本国内において提起された場合に、応訴のため負担する訴訟対応費用を被保険者が支出したことによって被る損害に対して保険金が支払われる特約です。

4.初期対応費用担保特約条項
事故対応のために必要となる事故現場の保存・写真撮影費用、通信費、身体の障害 を被った被害者への見舞費用等の社会通念上妥当と認められる初期対応費用を被保険者が支出したことによって被る損害に対して 保険金が支払われる特約です。

詳しくは、訪問看護事業者賠償責任保険のご案内をご確認ください。

賠償責任保険を選ぶ際はココを確認!

上記でご紹介した保険は、多数ある中の一部です。多くの保険から、選ぶのは大変です。事前に資料請求や問い合わせを行い、自分のステーションに合った保険をしっかり見極めて選びましょう。保険を選ぶ際には次の2点を確認してみてください。

 

 補償内容 

補償内容は保険により様々です。どこまでが補償の範囲で、どこからが範囲外なのか細かく確認しておきましょう。いざ保険を使いたい時に補償外では意味がありません。予め、あなたのステーションで起こり得る事故を想定し、どこの保険が最も適しているか検討しましょう。加入する保険会社によって、保険料や補償額の幅も異なります。掛金と補償額とのバランスも確認してください。

 

 加入資格と保証期間の確認 

保険によって加入資格が必要な場合があります。例えば、上記で述べた「日本訪問看護財団」の保険に加入するには「日本訪問看護財団 団体会員(専門職能団体/法人/特別団体)であることが条件」と明記されています。自分のステーションが加入条件を満たしているか、確認をする必要があるでしょう。また、保証期間の確認も重要です。多くの保険は1年単位で、開始月・終了月が決まっています。中途加入する場合は、年額の保険料を月で分割して支払うことになるパターンもあります。保証期間をしっかり把握しておくことが必須です。

保険加入のポイント!感染症に関する補償を確認しよう

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに注目したいのが、感染症に関する補償です。スタッフが業務の中で感染症に感染し、死亡または入通院となった場合、「感染症補償規定」に従い、ステーションが該当のスタッフに見舞金を支払いした時、ステーションに対して保険金を支払ってもらえるという補償です。公益財団法人日本訪問看護財団のあんしん総合保険制度では『業務従事者感染症見舞金補償』、全国訪問看護事業協会の 訪問看護事業者総合補償制度では『管理者・職員感染症見舞金補償』という名称で感染症に対する補償も取り扱っています。オプションという形ではありますが、ぜひこの機会に加入を検討してみてください。

これから訪問看護を立ち上げる方必見!新規開業パーフェクトコース

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まとめ

今回の記事では、訪問看護業務で必要な損害賠償保険についてお伝えしました。訪問看護に限らず、看護業務は少しのミスが大きな損害につながりかねません。それほど皆さんの仕事は重要であるということです。万が一の事故に備えて、保険に加入しておくと安心ですね。自分のステーションに適した保険に加入しておきましょう。

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> 訪問看護ステーション開設マニュアル①~開設までの準備について~ の記事をみる
> 訪問看護ステーション開設マニュアル②~必要な人員や申請書などの書類について~ の記事をみる

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