2022年度(令和4年度)診療報酬改定!訪問看護のサービス提供体制(2021年11月26日時点)

2022年(令和4年)診療報酬改定訪問看護

2021年11月26日に行われた「中央社会保険医療協議会 総会(第500回)」にて診療報酬改定についての議論が交わされました。それにより、経営者や訪問看護師にも大きく関わる決定事項も出てきています。訪問看護のニーズは年々高まっているものの、訪問看護師の人数はまだまだ少ないのが現状です。診療報酬の内容をしっかりと理解し、訪問看護ステーションの経営を安定させることは、人材を集める意味でも大変有用です。今回は2022年(令和4年)の診療報酬改定の中からサービス提供体制についてまとめました。

目次

2021年11月総会での決定事項・検討事項

総会で出された決定事項や検討事項は、以下のようなことが挙られました。
(※参考 中央社会保険医療協議会 総会(第500回)議事次第  厚生労働省)

 

 24時間対応加算の体制:複数の訪問看護ステーションが連携して当該体制を整備する場合の要件の見直し 

離島や山間部などの特別地域では、2つの訪問看護ステーションが連携して体制を整えることによって、24時間対応体制加算の算定要件を満たすものと認められていました。令和2年度の診療報酬改定では特別地域だけでなく「医療を提供しているが、医療資源の少ない地域」という対象が追加されました。

24時間体制訪問看護

こちらの資料で分かるように、24時間対応体制加算の加算は全訪問看護ステーションのうち約88%が24時間対応体制加算を届けていますが、規模が小さくなるについて届け出の割合が少なくなってきています。

24時間体制訪問看護

24時間対応体制加算の届出を行っていない理由では「24時間の電話対応の体制をとることが難しい」「24時間訪問の体制をとることが難しい」が多く、利用者が安心して 24 時間対応を受けられる体制の整備を促進する観点から、24 時間対応体制加算について、複数の訪問看護ステーションが連携して当該体制を整備する場合の要件の見直しがされています。

 

 訪問看護でのBCP作成義務化 

令和3年度介護報酬改定において訪問看護でもBCP(事業継続計画)が義務化されました。内容としては、感染症や災害発生時にも必要なケアや処置を継続するため、BCPの策定や研修の実施等を義務づけるためです。突発的な災害などがあった場合でも、利用者が訪問看護を受けられるようにするためのものです。例えば有事が起こって自分自身の訪問看護ステーションで、訪問ができなくなってしまった場合に、近隣の訪問看護事ステーションに応援を要請するなどの項目を事業計画としてまとめます。それにより、何かが起こった際にも利用者への看護を継続して提供できるようになります。令和3年度介護報酬改定では、「3年間の経過措置期間を設けることとする」と発表されており、2024年から義務が発生することになります。この点について、診療報酬改定でも訪問看護ステーションにBCPの策定の義務化する方向で進んでいます。

 

 訪問看護ターミナルケア療養費の算定要件が変更(検討段階) 

訪問看護ターミナルケア療養費の算定には、利用者が亡くなる日とそれより2週間前に、訪問看護基本療養費又は精神科訪問看護基本療養費の算定を2回以上しなければなりません。しかし、退院日当日の訪問は訪問看護基本療養費を算定できないため、利用者が退院した日や次の日に亡くなった場合は療養費を算定できずにいました。ターミナル期の利用者は、退院直後に亡くなってもおかしくない状況のため、退院した日から訪問看護師は特別なケアを行っています。そのため、制度の見直しを日本看護協会が求め、今回議題に上がる状況となりました。今後、算定要件が変更していく可能性は大いにあります。

どんなことが期待されている?これからの訪問看護で求められるもの

訪問看護師に期待されていることについても総会でまとめられています。

 

 機能強化型訪問看護ステーションにおける人材育成 

訪問看護師に求められる役割として、地域住民などに対する情報提供や相談をする機会の提供と、看護実習や研修を実施するなどの人材育成が求められています。地域で生活している利用者の生活から、地域の問題点などを考え、必要な情報を利用者以外の住民にも周知していくことが、地域を守ることにつながり、また、人材育成を積極的に行うことで、訪問看護師を志す仲間を増やしていくことも大切です。訪問看護師が増えることで、地域で暮らす利用者をよりバックアップすることができるようになるでしょう。

機能強化型訪問看護ステーション

 

 専門性の高い看護師の訪問推進 

現在の在宅医療は、高度な医療ニーズに対応したものが求められています。訪問看護でいえば、ターミナルケアや人工透析はもちろん、中心静脈カテーテルの管理、人工肛門の管理など専門性の高いケアをすることも珍しくありません。そのため、中央社会保険医療協議会では、より多くの訪問看護師が高度な医療ニーズに対応できるようにするため、専門性の高い看護師と同行訪問したことに対して診療報酬を算定しています。専門性の高い看護師については、以上のように算定を行っていますが、診療報酬の改定に向けて検討されている事項として、以下の2つが挙げられます。

  • 「専門性の高い看護師」の定義を拡大
    現在、専門性の高い訪問看護師として定義されているのは、大学院を卒業し、専門の単位を取得した上で認定審査を通過している「専門看護師」と、一定の研修を受けた後に日本看護協会が認める「認定看護師」だけです。これらに加えて、特定行為の研修を修了した看護師まで定義を拡大する案が検討されています。特定行為研修修了者とは、本来は医師の判断や指示により実施する行為を、手順書に従い看護師が自ら実施できるようにする研修を修了した看護師を指します。定義を拡大することで、研修を受ける看護師が増えることや、その内容をステーション内や地域内で共有することで、地域の訪問看護の質をあげる効果が見込まれています。
  • 「専門性の高い看護師」単独での訪問も評価する
    専門性の高い看護師が訪問する場合は、同じケアであってもケア自体の質は総じて高いケースが多いです。そのため、単独の訪問であっても、算定すべきとの意見も多くあります。しかし、単独の訪問の場合は他の看護師のケアにつなぐなどの教育効果が十分でないことも指摘されています。そのため報酬評価に差をつける必要があるとの意見も出ており、どのような制度になるかは、はっきりとはわかっていません。

 

 ICTを活用した医師との看取り連携 

特定の算定要件を満たせば、ICTを利用した診療により死亡診断ができるようになりました。その際に、医療機関側は「死亡診断加算」が所定点数に加算されるようにもなっています。オンラインでの死亡診断を行う際には訪問看護師などがタブレットを活用し遠隔での診療の補助が求められています。
> タブレット所有は必須!訪問看護におけるオンライン診療とは

 

ICTを活用した在宅見取りに関する

 

今回はICTを活用した看護師との連携による死亡診断について、「死亡診断」に関する直接の評価を診療報酬で行ってはどうかということが議論されています。医師による死亡診断等に必要な情報を報告する看護師を対象にした「法医学等に関する研修及びICTを利用した死亡診断を行う可能性のある医師を対象とした研修」を実施し、2021年10月時点で研修を修了した看護師は177名と多くはありません。しかし、訪問看護ステーションの役割や責任について定義する部分であるため、慎重に協議が行われています。

これからの訪問看護にはICTが必要!iBowで看護に専念する時間を創る

看取り連携以外でも、訪問看護の分野ではICT化が求められています。訪問看護は病院での看護とは違い、事業のことや事務処理などについても考えていかなければなりません。算定についてもきちんと理解していなければ、加算をとることもできません。しかし、その事務作業に追われて肝心の看護がおろそかになってしまっては本末転倒です。日々の忙しい業務を効率化するためにも、電子カルテの導入などのICT化を行い、看護に専念する時間を創りませんか?

訪問看護専用電子カルテ『iBow』では、電子カルテで記録ができるのはもちろん、同じカルテ上でレセプトの請求書も作ることができます。また、書類のテンプレートなども用意されているため、大幅に事務作業を減らせます。スタッフの生産性を上げることで新たな『時間』を生み出し、その分の時間を訪問やカンファレンス、研修など本来の看護の時間に充てることができます。ぜひこの機会に職場のiBowを検討してみてはいかがでしょうか。

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まとめ

今回は診療報酬改定についてまとめました。診療報酬は今後の訪問看護ステーションの運営に大きく影響するものであり、不安に感じている方々も多いと思います。iBowのカスタマーサポートではシステムの使い方だけでなく加算や制度についても相談できます。前述したICTによる業務の効率化とこのサービスを使い、看護の質を高めつつ、しっかりと診療報酬を算定できるステーションを目指しませんか。

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