人材マネジメントとは?知っておきたい、訪問看護経営者が押さえるべきポイント

人材マネジメント

訪問看護ステーションを開業し、事業が軌道に乗り始めると、看護師や事務員も増えていきます。そんな時に重要となってくるのが「人材マネジメント」です。働き方に多様性が求められる現代において、経営者にはどのような人材マネジメントが求められているのでしょうか。今回は、これからスタッフが増えて本格的に人事を考えていく経営者に向けて、人材マネジメントの基本的な内容押さえておくべきポイントをご紹介します。

目次

まずは知っておこう!人材マネジメントとは?

人材マネジメントとは、企業が自社理念や目標達成のために看護師や事務員の業績といった情報を管理し、スタッフがより活躍できるような採用、教育、評価や配置を行うことを指します。具体的には訪問看護師や事務員がより成長するための教育環境を整備したり、評価制度を設けたりすることなどが当てはまります。

なぜ必要?人材マネジメントの意味とメリット

マネジメントという言葉は、直訳すると「管理」「経営」があてはまりますが企業におけるマネジメントは「経営管理」や「組織運営」などを意味します。このことからも、企業におけるマネジメントとは、ヒト・モノ・カネなどという組織の資源を管理し、組織全体の効率性や生産性を最大限に高めることです。そのため企業の持続的な発展に「マネジメント」は欠かせないものとなります。また、マネジメントを行うことで次のようなメリットもあります。

 

 管理者の負担を減らせる 
マネジメントを上手く行うことで、結果として管理者自身の負担を減らすことができます。例えば、スタッフたちがそれぞれ仕事をしていたとしても、非効率な業務の仕方をしている人がいるかもしれません。その場合、指示やフォローが必要になります。的確なチームマネジメントを行い、一人ひとりが自分で効率的に仕事をこなせるように成長していていけば、チーム全体のパフォーマンスが向上していきます。その結果、管理者が指示を出すなどの手間が少なくなるため、負担を減らせるようになるのです。

 

 離職を防ぐことができる 
チームマネジメントは、離職を防ぐ上でも必要になります。理由は、最近になって個人の働き方の価値観が変わってきているからです。近年ではコロナ禍での働き方の変化により、以前よりも「プライベートの活動」「暮らし」「家族」といった生活に密接なものを重視するようになった傾向がみられました。
(参考:仕事に対する価値観の変容に関する意識調査 SOMPOホールディングス株式会社)

このことから、生活の中での仕事に対する重要度が低くなっていると言えるでしょう。そのため、スタッフ一人ひとりの意識を尊重するようなマネジメントが求められるようにります。もしそれを怠ると、「上司や職場からの理解が得られない」という理由で、退職や転職による離職が起こるかもしれません。そうなると、人材育成のために費やした時間やお金が無駄になるとともに、ステーションの運営にも影響してきます。離職を防ぐためにも、正しい組織マネジメントが必要なのです。
離職による訪問看護師の人員不足は、訪問看護ステーションの運営に大きく関わっています。安定した経営を行うためにこちらの記事も参考にしてみてください
> 訪問看護ステーションがつぶれる理由とは?安定した運営を目指すために必要なこと

人材マネジメントで行うべき5つの仕事内容

では、人材マネジメントではどのような仕事を行っていけば良いのでしょうか。人材マネジメントの仕事内容には次の4つのような内容が挙げられます。1つずつ紹介します。

 

  • 目標管理
  • 進捗管理
  • 人材育成
  • チームマネジメント・チームビルディング
  • メンタルヘルスマネジメント

 

 

 目標管理 
目標管理とは、ステーションの目標とリンクさせた個人の目標設定を行い、組織全体の目標達成を目的とするマネジメント手法のことです。目標管理についてはこちらの記事を参考にしてください。
> 目標管理を訪問看護運営に取り入れよう!組織のために必須なマネジメント手法

 

 進捗管理 
管理者として、自分のチームメンバーや部下の仕事の進捗管理は、重要な仕事内容のひとつです。業務進捗管理とは、仕事の進行状況がどのようになっているのかを把握し、日々の業務のやり方を調整していくことをいいます。訪問看護ステーションの場合、1日の訪問管理はもちろん、新規利用者の受け入れや関連機関との調整なども必要となってきます。さらに、利用者一人ひとりの状態の把握やケアが適切に行えているかの管理なども大切な業務管理となります。これらの業務進捗を管理しなければ、スタッフの業務ミスや対応漏れに気付くことができず、クレームやインシデントにつながる可能性もあります。

 

 人材育成 
「人材」を育てていくことがステーションを成長させていくためには必要となります。スタッフが自身の能力を最大限発揮できるよう、個々を成長させるために研修や教育を行ったり、スタッフの個性や適正を見極め、最適なポジションや業務を行い、さらに適切な評価や昇進制度の仕組みを整えるなどの施策が人材マネジメントと言えます。適切な人材マネジメントができれば、スタッフのモチベーションも上がりスタッフ一人ひとりも最大の能力を発揮できることにも繋がるでしょう。

 

 チームマネジメント・チームビルディング 
チームマネジメントとは、目標を達成するためにメンバーが動きやすくなるように調整したり、働きかけたり、仕組みを作ったりして、スタッフ一人ひとりが最大の力を発揮できるチームへと導くことです。管理者にとってはチームマネジメントはとても重要です。さらにより良いチームにするためには「チームビルディング」が必要です。チームマネジメントは、管理者からの働きかけを指しますが、チームビルディングは、チームの構成員も含めた全員で行う活動を指します。チームで協力しようとしても、ただ集まっただけでは上手くいかないことが多々あります。能力の掛け算を目指すためにはどのようにチームビルディングを行えばいいのか、チームビルディングについてはこちらの記事を参考にしてください。
>職員がイキイキ働くチーム作りとは?

 

 

 メンタルヘルスマネジメント 
メンタルヘルスマネジメントとは、働く人のメンタルがマイナス方向に進まないよう職場環境の改善やストレス緩和をするなど、心の健康面におけるサポートを重要視することを言います。職場にメンタルヘルス不調者が増えて個々の仕事の質が落ちれば、組織全体の活力が失われ、生産性が低下してしまう可能性があるため、スタッフの精神面でのマネジメントも必要となります。

人材マネジメントの成功に向けて、押さえておきたいポイントとは?

次は人材マネジメントを成功させるために押さえておきたいポイントについて紹介します。

 

 自社の理念と人材マネジメントに一貫性をもたせる 
企業理念の実現は自社の目指すところです。これはサービスだけではなく、社内の取り組みにおいても一貫性が必要となります。社内外の取り組みに一貫性があるからこそ自社の理念に近づく人材マネジメントが可能となります。

 

 常に公平性を意識する 
人材マネジメントにおいて多様性を受け入れる考え方は重要です。よって常に公平性を意識しなければなりません。また、スタッフによっては目に見える成果が出ていなくても、高いポテンシャルを秘めていることもあります。成果だけを見て評価してしまうと、働くスタッフのモチベーション低下につながります。そのため、人材の持つポテンシャルも加味できるような、公平な評価制度を導入することも大切だといえます。

 

 情報を開示する 
ステーションにとって最適な人材獲得や育成、評価、配置等を実現するための取り組みを行っても、肝心の情報が公開されていなければ十分な理解を得ることはできません。そのため、「どのような基準で評価されるのか」「どれくらいの報酬がもらえるのか」などの人事評価の結果だけではなく、勤務態度や成果物、資格、さらにはその人がもつポテンシャルなどの情報も公開することで従業員の自発的な努力を促進できるでしょう。

 

 個人目標の設定をする 
人材マネジメントの仕事内容として「目標管理マネジメント」について紹介しました。ステーションが主体となって計画を立てると、どうしても一方的なコミュニケーションになりがちです。また、他人に決められた目標や評価制度では、従業員のモチベーションも上がりません。そのため、できるだけスタッフを巻き込みつつ、スタッフ本人に目標を設定させることが大切です。一人ひとりが「この目標を達成すれば自分の評価も上がり、会社の成長にもつながる」と納得できれば、スタッフのにモチベーションを上げることにも繋がるでしょう。

 

人材マネジメントにも活用!訪問看護専用電子カルテ『iBow』

先ほどお伝えした通り、マネジメントには様々な仕事内容があります。ここでは人材マネジメントにも役立つ訪問看護専用電子カルテ『iBow』の活用法を紹介します。

 

 目標管理に便利!統計データ 
■チーム目標に活用
iBowから出力できる統計データを基に、「今月は500件の訪問を目指そう」「新規利用者を10人受け入れよう」「ターミナルの利用者が増えてきたからみんなで研修しよう」などステーションの状況を分析し、可視化することができるのでステーションの目標も立てやすく、スタッフ全員で目標の共有を行うにも便利です。

■個人目標に活用
iBowでは看護記録書の作成以外にも様々な統計データを出力することができます。訪問時間、訪問件数、医療保険・介護保険の人数やターミナルケアの実施状況、別表7の利用者、褥瘡対策の実施状況も確認できるので、医療依存度の高い利用者の受け入れ状況なども確認が可能です。また、スタッフごとの訪問回数や時間など自動的に集計できるので、訪問件数が多い、また訪問件数は少ないが医療依存度の高い利用者のケアを行っているなど個人の訪問状況の確認や評価指標の確認にも便利です。

評価指標iBow

 

 業務進捗の把握に活用!リスト管理 
■書類の提出状況確認

訪問看護では日々の記録や報告書・計画書など様々な書類が必要です。iBowでは書類の提出状況も一目でわかるため業務管理にも活用できます。

■利用者状況の管理
新規の利用者数や依頼元のリストや訪問以外の対応リストも管理ができるので書類以外の業務管理にも便利です。

> その他、ステーション運営に便利なiBowの活用方法をみたい

まとめ

今回は、人材マネジメントについての仕事内容や押さえておくべきポイントなど基本的な内容をご紹介しました。人材マネジメントを上手く行うことで、スタッフ一人ひとりの力を引き出し、組織の力を強くします。まずは、できる範囲から取り組んでいけば、企業の業績向上に大きく貢献することは間違いないでしょう。そして、実際に運用してみながら、ステーションの状況や目指すべき目標に合わせて柔軟にアレンジしていくことが大切です。

iBowではお役立ち情報の他に無料の勉強会を行っております。チームマネジメントなどステーション運営についてのオンラインセミナーもありますのでぜひ、参加してみてください。
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