訪問看護ステーションがつぶれる理由とは?安定した運営を目指すために必要なこと

訪問看護ステーションがつぶれる理由とは?安定した運営を目指すために必要なこと

訪問看護の需要は年々高まっています。一般社団法人全国訪問看護事業協会の2021年度の報告によると、2010年に約5,700件であったステーションの数は、2021年には約13,000件と倍以上に増えています。
(※参照 一般社団法人全国訪問看護事業協会 令和3年度訪問看護ステーション数調査結果)

しかし、逆に廃業するステーションも少なくありません。廃業しないためには、どのように運営していくことが重要なのでしょうか。今回の記事では、訪問看護ステーションが廃業する原因予防策についてお伝えしていきます。

目次

訪問看護ステーションの需要は?訪問看護が求められる理由

「2025年問題」という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。団塊の世代が後期高齢者となる75歳に達し、医療や介護の需要が急増することが見込まれています。厚生労働省による地域医療構想においても、病院病床数の見直しや在宅医療等の充実を目指す方針となっています。

そのため、国では2025年を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを最期まで継続できるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を目指しています。地域包括ケアシステムの構築に向けて、訪問看護師の役割や期待は更に大きくなっていくと予測されます。そのため、公益社団法人日本看護協会、公益財団法人日本訪問看護財団、一般社団法人全国訪問看護事業協会の3団体が「訪問看護アクションプラン2025」を立てています。「訪問看護アクションプラン2025」は2025年に向けて、訪問看護が目指す姿をまとめたものとなります。「訪問看護アクションプラン2025」についてはこちらの記事を参考にしてください。
>【訪問看護アクションプラン2025】地域包括ケアシステムでの訪問看護の役割

以上のような理由から、今後ますます訪問看護ステーションの需要は高まるといえるでしょう。しかし、新規に立ち上げられるステーションばかりではありません。廃業や休止をせざるを得ないステーションも多いのが現状です。

生存率は少ない?訪問看護ステーションの廃業率

訪問看護ステーションがつぶれる理由とは?安定した運営を目指すために必要なこと

一般社団法人全国訪問看護事業協会の2021年度の調査によると、2020年度中の訪問看護ステーションの新規開業数は1,633件、廃止数は541件、休止数は240件と報告されています。
(参考 一般社団法人全国訪問看護事業協会 令和3年度訪問看護ステーション数調査結果)

 

この調査からわかるように新規開業数の半数近くのステーションが廃業または休止となっているのです。また、上記の調査報告によると、2020年度中の廃業または休止となっているステーション数が781件であり、2021年4月1日現在届け出ているステーション数が13,459件です。このことから訪問看護ステーションの廃業率は約5.8%であることが分かります。2021年の中小企業庁白書では、2019年の全業種の廃業率は3.4%と報告されており、全業種と比較してみると、訪問看護ステーションの廃業率が高いといえるでしょう。
(参考 中小企業庁 中小企業白書2021 第2章 中小企業・小規模事業者の実態)

知っておきたい!
なぜ訪問看護ステーションは廃業になってしまうのか

訪問看護ステーションがつぶれる理由とは?安定した運営を目指すために必要なこと

では、なぜ訪問看護ステーションが廃業になってしまうのでしょうか。主な理由は次の二つです。

  • 人的要因
  • 財務的要因

人的要因

訪問看護師の人員不足は、訪問看護ステーションの運営に大きく関わっています。訪問看護事業所が自治体から指定を受けるための条件の一つに、人員基準があります。人員基準では、常勤換算で2.5人以上の看護師や准看護師、保健師、助産師が必要です。そのため、必要人員を確保できないと指定基準を満たせなくなるため、ステーションがつぶれることにつながります。上でも述べたように、訪問看護ステーションの需要は高まっており、訪問看護師が働く現場は多くあります。そのため、労働環境が良くなければ、より良い職場を求めて離職することも考えられるでしょう。

財務的要因

新規に事業を始めるには開業資金が必要であり、外部からの資金調達ができたとしても、低い事業利益率のもとでは、借入金の返済が困難とります。このような結果、事業の拡大に踏み出せず、小さな規模での事業運営を続けざるを得ないパターンとなり、売上を上げることができず閉鎖の要因となります。 また、訪問看護事業所の売上の大部分を占める介護保険や医療保険、各種公費などへのレセプト(診療報酬請求)が極めて複雑であり、正確な請求が難しいことから、事業者は知識不足による算定もれなどで折角行った看護の報酬が得られないことが頻発しています。

また、多くの人が、給与が良い職場で働きたいと考えるでしょう。給与を高く設定することで、人員確保がしやすくなります。しかし、訪問看護ステーションを運営する上で、人件費が最も経営を圧迫しているのも事実です。厚生労働省の「令和2年度介護事業経営実態調査結果の概要」によると、訪問看護ステーションの収入に対する給与費の割合は76.5%と報告されています。
(参考 厚生労働省 令和2年度介護事業経営実態調査結果の概要)

人材を定着させるために無理に給与を上げてしまうと、経営難となりステーションの運営が成り立たなくなってしまうでしょう。そのため、限られた人数の中で売上を確保していくには一人当たりの生産性を上げ、正しい請求で報酬を得ることが必要となります。

確認しておきたい!
訪問看護ステーションを運営していくために必要なこと

訪問看護ステーションがつぶれる理由とは?安定した運営を目指すために必要なこと

訪問看護ステーションが廃業になってしまう理由として、人的要因と財務的要因の2つを説明しました。これらを踏まえて、訪問看護ステーションを運営するためには何が必要かをお伝えします。

経営に関する知識を身につける

まずは、経営に関する知識を身につけることが重要です。特に、経営者が看護師等の医療者の場合は経営に関する知識が豊富ではありません。そのため、まずは経営に関することをしっかり学びましょう。また、資金がなければ事業は成り立ちません。目先の運営だけではなく、2~3年先を見据えた資金繰りを計画しましょう。事業を継続的に行えるような計画を立案できなければ、融資を受けることが難しくなります。計画を立てる際に気をつけなければならないことは、月の売上は翌月以降に支払われるという点です。その月の売上だけで判断するのではなく、それが手元に支払われるまでの視点で見なければなりません。資金調達に関してはこちらの記事を参考にしてください。
> 訪問看護ステーションを開業したい、事業拡大したい経営者の方へ!知っておきたい5つの資金調達

人脈を広げる

人脈作りも重要です。人脈があると経営について学ぶ機会を得ることができます。ステーション運営をしながら、疑問点や不安を感じることもあるでしょう。そのような時に、相談できる専門家がいると安心できます。さらに、病院や居宅介護支援事業所等と人脈を結ぶことで、利用者の確保にもつながるでしょう。利用者を確保できなければ、売上を伸ばすことはできません。ぜひ、地域の医療・介護関係者ともつながりを持っておきましょう。

働きやすい環境をつくる

訪問看護を運営する上では訪問看護師の確保が必要です。そのため、入職したスタッフが退職しないよう働きやすい環境をつくることが大切です。様々なライフスタイルに合わせた職場環境をつくれるよう直行直帰や時短勤務、フレックス制度などを取り入れるのも良いでしょう。
また、離職理由の中には人間関係もあります。勤務条件だけでなく、スタッフ同士がコミュニケーションを取りやすいよう全体のカンファレンスを開いたり、相談がしやすいようメンター制度を取り入れたり、定期的に面談を行うなども働きやすい環境づくりには必要でしょう。

システムの導入

訪問看護システムを導入することで、書類作業を削減し効率化が期待できます。訪問看護は主に訪問看護と記録に業務内容が分かれて、記録業務を簡単にすることで、訪問看護に専念することができます。また、記録業務がすぐに終われば、その分休憩もできます。記録のために残業することも少なくなり、プライベートの時間を創る事にもつながります。

ノンコア業務のアウトソーシング

利用者や関連機関との電話対応など細かな事務作業はステーション内で対応が必要になります。しかし、ステーションスタッフ以外でも行える業務(書類確認作業・レセプト作業)をアウトソーシングすることで看護業務や経営管理、営業活動など本来の業務に専念する『時間』を創ることができます。

安定したステーション運営に訪問看護専用電子カルテ『iBow』

ステーション運営を継続していくためには、安定した収益と離職をしない職場づくりが大切です。そこでおすすめしたいのが訪問看護専用電子カルテ『iBow』です。iBowでは開業前からその先の訪問看護の毎日をトータルでサポートします!そのため、iBowをご利用の新規開業ステーションと全国の新規開業ステーションの事業継続状況を比較すると、iBowご利用ステーションが3.6倍優れた結果となりました。(廃業する割合が少ない)

※厚生労働省 介護サービス情報公表システムに基づく推計。2020年度に開設した訪問看護ステーションのうち、2022年1月時点で事業を継続している割合

 

事業継続に活用できる理由1

安定した収益に活用できるiBow

訪問看護の場合、売上は利用者への訪問によって生まれます。そのため、訪問件数を増やすことが売上につながります。訪問看護では訪問以外にも日々の記録や月末月初の書類作成があります。iBowはユーザーインターフェイスにとことんこだわり、システムが苦手と感じる方にも簡単に使うことができます。訪問先でも記入できるため、事務所での作業時間の短縮ができ、記録書のテンプレート使用により記録のスタイルが統一され、見やすくなるのもメリットです。タブレット端末に、パソコンと同じ画面を表示させる機能もあるため、移動中のちょっとした時間でも利用者の情報を確認できます。
iBowについて問い合わせる

事業継続に活用できる理由2

離職をしない職場づくりにiBow

現在はテレワークを推奨している企業も多くあります。 また、テレワーク以外にも保育園のお迎えや、介護や家事の時間を確保するために勤務時に中抜けの時間を設けるなどワークライフバランスを実現するために柔軟な働き方が推奨されています。iBowを活用することで事務所に向かう移動時間を短縮し効率よく業務を行うことができ、事務所以外の場所で記録書の作成ができるので介護や家事の後、自宅で記録書の作成を行うことも可能です。また、iBowレセプトはレセプト請求の実績確定もiPadで行うことができるので訪問スタッフだけでなく、事務員のテレワークも可能です。

iBowレセプトについてはこちら

月初にかかる時間を削減し、正しい請求を行う!
iBow事務管理代行サービス

訪問看護の様々な業務の中でとりわけボリュームの大きなものの一つが、月毎に行うレセプトです。 iBow事務代行サービスを活用することで月初に行う膨大な確認作業の時間を無くし、新たな時間を生み出すことで訪問や営業活動など売上UPに繋がる活動に充てることができます。また、残業代や無駄なコストを削減し一人当たりの生産性を上げることに繋がります。そして、専任スタッフが複雑な法制度を確認することで算定漏れを防ぎ、ステーションは正確な報酬を獲得することで安定したステーション運営を行うことができます。

事務管理代行サービスについて詳しくみる

 

iBow事務管理代行サービスで月初にかかる時間を削減し、正しい請求を行うことで生産性の向上と安定したステーション運営を目指したい方はぜひ、ご相談ください。

事務管理代行サービスについて問い合わせる
※iBow事務管理代行サービスはiBow・iBowレセプトご契約者様向けのサービスとなっております。

まとめ

今回の記事では、訪問看護ステーションが廃業する理由やその予防策についてお伝えしました。これから需要が高まるであろう訪問看護ステーションですが、廃業するリスクが大きいのも現状です。安定したステーション運営を継続するためにも、多角的な視点から事業全体を考えていくようにしましょう。

iBowではお役立ち情報の他に無料の勉強会を行っております。チームマネジメントなどステーション運営についてのオンラインセミナーもありますのでぜひ、参加してみてください。

 

無料訪問看護セミナーについてはこちら

この記事をSNSでシェアする

RANKINGアクセスランキング