訪問看護で多い疾患は?在宅医療のニーズを知ろう!

訪問看護で多い疾患は?在宅医療のニーズを知ろう!

全ての疾患を把握するのはほぼ不可能ですが、罹患者の多い疾患の知識を知っておくことは医療ニーズが拡大している訪問看護の現場で必要となってきます。今回は訪問看護のサービス内容と利用者で多い疾患を見ていきましょう。

目次

訪問看護のサービス内容とは?

訪問看護のサービス内容は、病状観察や療養指導、呼吸や嚥下リハビリを除くリハビリテーション、身体の清潔保持、服薬管理などが多いのが現状です。また家族の介護指導や家族支援も訪問看護の大切なサービス内容で、大きなウェイトを占めており、サービス内容は多岐にわたります。緊急時の対応やターミナルケアも訪問看護が対応しているサービスで、医療処置に係る看護は全体の60%以上と言われています。

訪問看護の利用者が多い疾患とは?

訪問看護で多い疾患は?在宅医療のニーズを知ろう!

訪問看護の利用者で多い疾患は、脳血管疾患や悪性新生物、筋骨格系疾患、心疾患、統合失調症で、厚生労働省の「令和元年度介護サービス施設・事業所調査」によれば、これらだけで半数を占めています。
(参考)厚生労働省「令和元年度介護サービス施設・事業所調査」

脳血管疾患

訪問看護で多くかかわる脳血管疾患は全体の18%とされています。脳の血管が細くなってつまることにより、血流が十分に行き渡らずその先の細胞が機能しなくなる脳梗塞や、血管が破裂する脳出血などが知られています。脳がダメージを負うと麻痺や認知機能に影響が出てきて、日常生活に支障が出てくる場合が多く、QOLを低下させると共に家族の介護負担を大きくする可能性があります。すぐに治療を開始すれば回復するものもありますが、時間が経ってしまうとリハビリテーションが必要になり、家族も介護の方法を学ぶ必要が出てくることが多くあります。再発防止のための病状観察や療養指導、リハビリテーション、家族支援を行うために訪問看護が介入する必要があるでしょう。

悪性新生物

悪性新生物の割合は12%ほどです。一般的にがんと呼ばれるもので、細胞の変異によって良い細胞を破壊して身体に悪影響を及ぼすことがわかっています。放射線治療や抗がん剤治療などを行っている方の病状観察や終末期の方の看護に介入することが多く、最近では自宅で看取ることを積極的に行っているステーションもあるようです。病状が進行するにつれて、麻薬での疼痛管理や酸素療法、痰の吸引など医療ニーズが増してくる可能性が高く、利用者の苦痛を除去していく高度な看護技術が必要となるでしょう。末期になると介護保険の利用から医療保険の適応となり、訪問回数を増やすことも可能となっています。

筋骨格系疾患

訪問看護の利用者において、11%ほどが筋骨格系疾患に該当するとされています。高齢になると骨密度が低下する方が多く、骨折して手術をすると筋力が低下してしまうこともあります。骨折だけではなく、変形性膝関節症など骨が変形する疾患も多く見られます。リハビリテーションを行ってなるべくADLが低下しないようにするのも、訪問看護の役割となるでしょう。また再度転倒しないように筋力の向上や環境の整備などを利用者と一緒に考えていくことが望ましいでしょう。

心疾患

心疾患の方は、調査結果によると9%ほどとされています。心臓の疾患は命に直結します。発作は突然起こるため、恐怖心などに対する精神的な支援も必要になるでしょう。病状の程度によっては日常生活で制限も多くADLやQOLが低下しやすいため、日頃から注意する必要があります。狭心症や心筋梗塞は有名な疾患で利用者も知識があることも多いでしょうが、その他にも弁膜症や心筋炎なども看護師として把握しておくとよいでしょう。

統合失調症

統合失調症の方は8%ほどで、精神疾患のうち罹患率が比較的高いとされるもののひとつです。対人関係が苦手であったり、パニックになったりと関わり方が重要になってくる疾患のため、訪問する看護師のコミュニケーション能力が重要となってくるでしょう。これまでの疾患は介護保険での訪問看護が主ですが、統合失調症は精神科訪問看護が適応になります。精神科訪問看護基本療養費算定研修に参加し、受け入れできるように準備していきましょう。

他にも訪問看護でニーズの多い疾患は?

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疾患は他にもあり、糖尿病やパーキンソン病などの知識も必要になってくるでしょう。覚えておきたい疾患を紹介していきます。

糖尿病

調査によると、訪問看護の対象となる方のうち7%は糖尿病であるとされています。生活習慣病として有名になりましたが、小児でも糖尿病と診断されている方も多くいらっしゃいます。Ⅰ型糖尿病は小児の利用者へ注射の管理や指導を行う必要がありますし、家族へ栄養指導や薬の管理などを指導していく必要が出てきます。成人のⅡ型糖尿病も食生活の観察や運動習慣、薬の管理をしっかり把握してQOLを下げないような看護計画が必要になってくるでしょう。

パーキンソン病

パーキンソン病も7%ほどで、ゆっくりと病状が進行していく方がいる反面、急激に進行する場合も少なくありません。on-off現象がある利用者は1人で過ごしているときにoff状態になって、熱中症や低体温などになる危険性も考えられます。内服のタイミングや環境を整えておくことを利用者へしっかりと説明しておくとともに緊急時の対応方法を確認しておきましょう。症状が進行してくると動作が緩慢になってきたり、滑舌が悪くなって聞き取りにくくなったりと家族の介護負担が増えてくることが考えられます。利用者の身体症状に目が向きがちですが、長い間介護をしている家族支援も忘れないようにしましょう。

認知症

認知症は全体で6%ほどとされています。アルツハイマー型認知症や前頭側頭型認知症などさまざまな認知症の種類が存在します。初期には老化に伴う物忘れ(健忘)と思われている場合もあるでしょう。しかし、時間が経つにつれ物忘れがひどくなり、結果として認知症になったと思われる方も少なくありません。認知症と健忘は、物事の一部を忘れるか全てを忘れるかで見分けることが可能とされています。例えば健忘はご飯は食べたが何を食べたかを忘れていることがあります。それに比べて認知症はご飯を食べたこと自体を忘れており、説明しても食べていないと言い張ることが多くあります。認知症の介護も家族の介護負担が大きくなる疾患のため、訪問看護の家族支援が大切になるでしょう。

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呼吸器疾患

呼吸器疾患はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)や気管支喘息などが挙げられ、こちらも6%ほどとされています。気管切開の利用者では人工呼吸器を自宅に搬入し、日常生活を送られている方も珍しくありません。在宅酸素療法は近年採用例が増えている傾向にあり、酸素ボンベを使用して外出したり、酸素を吸入しながら自宅で入浴できたりといったことが可能となるため、QOLを向上させることができるでしょう。

様々な疾患の記録に役立つ!訪問看護専用電子カルテ『iBow』

訪問看護で多い疾患は?在宅医療のニーズを知ろう!

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まとめ

在院日数が縮小されてきている医療制度の中で、在宅での医療ニーズは多くなって行くことが予想されます。医療ニーズに応えるためには、知識をインプットすることが必要不可欠だと思われます。知識をインプットできれば、どのようなケアの技術が必要になってくるのかなどが把握でき、次のステップに繋げることができるでしょう。訪問看護を行う上でどのような疾患が多いか把握しておき、対応できるようにしておきましょう。

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