訪問看護の営業ポイント!知っておきたい営業の基礎や事前準備

訪問看護の営業ポイント!知っておきたい営業の基礎や事前準備

近年は、在宅医療が推進されており、療養者のQOLを向上させるための支援が整備されてきています。また、医療や介護を必要としながら療養生活を送る方々は、年々増加していると言われています。このような方々にとって、訪問看護ステーションは利用したいと思うサービスの1つでしょう。しかし、訪問看護ステーションは同じ地域内に数多く設置されており、どのステーションが一番合っているのか分からず、ケアマネージャーに相談するケースが多いです。そのため、ケアマネージャーが以前から知っているステーションに依頼するケースが多いものです。よって、訪問看護ステーションは自分たちが努力をしなければ、利用者の数がなかなか増えないという状態になってしまいます。そこで必要なことは、営業です。ここでは訪問看護における営業の基礎や事前準備、営業のポイントについて詳しく紹介します。

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目次

訪問看護における営業とは?営業先を確認しよう!

訪問看護における営業は、利用者を獲得することを目的として行われます。特に、開業したばかりの訪問看護ステーションは、営業を行わなければ、新規の利用者を増やすことは難しいでしょう。一般的なビジネスにおいて、広告による宣伝や営業を対象者に行って顧客を獲得します。一方、訪問看護ステーションでは、営業を行う相手は利用者ではありません。

地域医療や在宅医療に関わる、ケアマネージャーや病院などの地域包括支援センターの保健師などが、訪問看護ステーションと利用者の仲介となって動きます。仲介となった担当者は、その利用者が訪問看護が必要な状態かどうか判断します。その後に、適した訪問看護ステーションと契約することになります。

つまり、訪問看護ステーションの営業では、利用者を紹介してくれるケアマネージャーがいる施設や病院などに出向き、ステーションの特徴をしっかりとアピールすることが大切です。そして、1件1件を丁寧に営業し、評判が良い訪問看護ステーションとして印象を持ってもらえることで、さらなる紹介にも繋がるでしょう。

利用者を獲得するには?サービス開始までの流れを確認しよう!

訪問看護ステーションの利用者を増やすためには、丁寧な営業を行うことが大切です。そのために、まずは訪問看護を利用するまでの流れについて確認しておきましょう。ここでは、介護保険における訪問看護の利用について、流れを紹介します。

①営業を行う

まずは営業を行います。営業先には大まかに二つあります。一つは訪問看護指示やケアプランの作成をする方々への営業、つまり病院やクリニックの医師やケアマネージャーなどの関連施設です。もう一つは実際の利用者です。訪問看護は「依頼」がなければ訪問することができませんので、まずは依頼を出してくれる先が営業先になります。

  • 医療機関
  • 地域包括支援センター
  • 居宅介護支援事業所
  • 利用者宅
②紹介を受ける

営業先から紹介をもらいます。

  • 医療機関の医師、地域連携室からの紹介
  • 地域包括支援センターのケアマネージャーからの紹介
  • 居宅介護支援事業所のケアマネージャーからの紹介 
③訪問看護指示書・ケアプランの作成

訪問看護を受けるには主治医の指示書が必要になります。まず主治医やケアマーネジャー(介護保険の場合)に連絡をとり、訪問看護指示書やケアプランなどを作成します。
介護保険の場合、要介護認定も必要です。これらの手続き上、自治体からの調査や主治医の診察などが発生する場合もあります。また、訪問看護指示書をもとに、サービス担当者会議を開催することもあります。

④面談・契約

利用者宅や入院先の病院などで訪問看護師と面談をします。サービスの内容や費用について訪問看護師から説明し、ケアの目標や初回訪問日、利用回数、希望日時などを調整し契約を結びます。

  • 契約書、重要事項説明書の説明
  • 訪問看護計画書の説明
  • 利用者の同意を得て契約
⑤サービス利用開始

訪問看護サービスの利用開始となります。症状を確認しながら病院などと連携し、利用者の生活をサポートします。

  • サービス提供
  • サービス提供の記録
  • 訪問看護報告書の作成
  • 各医療機関・関連機関との連携

営業準備!知っておきたい2つのポイント

何も準備をせずに医療機関や居宅介護支援事業所などに出向くのでは、うまく営業ができない可能性があります。そのため、自分たちのステーションが担当する地域の情報や特性、サービスを提供したい利用者像について、事前に整理しておきましょう。

ステーションの得意分野、強みをアピールできれば、他のステーションとの差別化が図れます。以下に、営業準備として2つのポイントを挙げました。ぜひ、参考にしてください。

営業準備① ステーションのアピールポイント・強みの整理

自分たちのステーションの得意分野、強みをしっかりアピールできるように整理しましょう。たとえば、次のようなアピールポイントがあります。

  • 24時間体制で休まず対応できます
  • 休日も対応できます
  • オンコール体制をとっています
  • 重症の方でも対応できます
  • 小児の方、精神疾患の方でも対応できるスタッフがいます
  • 認知症の方でも対応できる看護師がいます
  • 緩和ケアや看取りケアが得意です

このように、ステーションに配置されているスタッフの数、経験値、専門資格の有無などを配慮して、どこまで対応できるのかスタッフ間で話し合うことから始めましょう。ステーションの許容範囲を超えてしまっては、利用者に迷惑をかけてしまうことに繋がりかねません。どの程度の利用者を受け入れられるのか、スタッフ全員で共有し、営業をしていきましょう。

営業準備② 営業先リストの作成

営業を行うにあたり、営業の目的を再度確認することが大切です。訪問看護ステーションの運営に関わるため、十分な利用者数を確保し、目標となる数値や計画を決めることを優先しましょう。その上で、必要になるのは「営業先のリスト作成」です。ステーションが設置されている地域に住む方々の特徴だけではなく、営業先となる事業所をピックアップしていきます。

主な営業先は、以下のとおりです。

  • 医療連携室
  • 病院、クリニックなどの医療機関
  • 地域包括支援センター
  • 居宅介護支援事業所

これらの営業先を、細かに一覧にしておきましょう。そして、営業する際には、上から順に手当たり次第に営業していくのではなく、優先順位を決めて効率的に営業していきましょう。

注意するポイントは?営業に行く時期や時間帯!

訪問看護の営業ポイント!知っておきたい営業の基礎や事前準備

相手に必要な情報を持っていたとしても、そのタイミングを誤るとかえって印象を悪くしてしまう可能性もあります。そのため、営業に行く際には、こちら側の都合を優先させて出向くことは避けましょう。営業先によっては、忙しい時期や担当スタッフが不在になっている時間帯などが異なります。今回は医療機関と居宅介護支援事業所において、それぞれ営業に行くベストな時期や時間帯について紹介します。

医療機関

  • 多くの患者が退院する可能性がある、連休前や年末年始などは退院調整のスタッフは忙しい時期になります。よって、退院後の支援を決めるような連休1ヵ月ほど前に営業を行うことがおすすめです。
  • 病院では、休憩時間が確保できなかったり残業が多くなったりという事情があります。そのため、始業直後や休憩前後、終業時間前などの営業は避けましょう。
  • クリニックでは、診療時間が終わっても患者が多い場合は、診療終了時刻が長引くこともあります。訪問する場合は事前にアポイントをとってから営業しましょう。

居宅介護支援事業所

  • ケアマネージャーは、利用者の自宅に訪問することが大きな仕事です。そのため、いきなり訪問に行くことで、担当者が不在になることがあります。訪問する前に、担当者の日程を伺ってから営業を行うことが大切です。
  • 請求業務などで忙しい時期は、訪問に行ってもゆっくりとお話を聞いてもらえないことがあります。月末と月初~10日間は避けて、営業に行くと良いでしょう。

ポイントさえ押さえていれば、ケアマネージャーの心に響く、そして印象に残る営業ができるはずです。ケアマネージャーへの営業に悩んでいる方はこちらの記事を参考にしてみてください。
> 訪問看護で知っておきたい!ケアマネージャーへの営業のポイント!

ココも確認しておきたい!営業前のアポや頻度はどうするの?

訪問看護の営業ポイント!知っておきたい営業の基礎や事前準備

営業先である医療機関や居宅介護支援事業所は、忙しい時期や時間帯があったり不在な時間があったりするため、急な訪問では営業の話ができない場合があります。そのため、こちら側の話をしっかりとできる時間を確保してもらうことが大切です。まずは、営業先に一度連絡を入れて、日時の調整をしてみましょう。

営業頻度

営業は同じ病院や事業所に、何度も訪問すれば良いというわけではありません。営業の目的は、サービスを利用してくれる方を増やすことです。その目的を念頭に置き、相手方にマイナスやネガティブな印象を与えない営業を行うことが大切です。そのため、営業頻度は相手の様子を見ながら決めていくと良いでしょう。

たとえば、クリニックの場合は、何度も営業に来ることで時間を取られるのが嫌な医師は多いでしょう。そこで、直接営業を行うというのは開業当初や数回だけにとどめておくことも大切です。まずは、ステーションの存在をアピールし、覚えてもらうことを優先させます。その後は、病院やクリニックが主催となっている勉強会などの顔を出しておくことで、次につながる可能性が広がります。

営業力を高める3つのポイント!

訪問看護の営業において、いくつかのポイントがあります。ここでは3点のポイントを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

相手の知りたい情報を的確に伝える

まずは、相手の知りたい情報を端的に分かりやすく伝えることを意識しましょう。医療機関の医療連携室や居宅介護支援事業所などのケアマネージャーは、訪問看護ステーションを利用するにあたり、知りたい情報があります。以下のような内容は訪問看護ステーションを選ぶ際に確認しておきたい内容になるため事前に整理しておきましょう。

  • サービス提供ができる地域の範囲、範囲外に対応できるか否か
  • どのような利用者に対応できるのか
  • スタッフの体制(24時間体制、オンコール体制など)
  • どのようなスタッフが対応にあたるのか
  • 加算算定の有無
ステーションの伝えたいこと、強みをアピールする

相手の知りたいことを提供すると同時に、自分たちのステーションの強みなどを伝えることも大切です。

  • 特定の分野に特化した、認定看護師が在籍している(褥瘡、緩和ケア、小児、精神疾患など)
  • 看護スタッフの人数が多く、急な利用変更や追加などのスケジュール調整に対応できる
  • 緊急時の訪問対応ができる
  • 一人のスタッフが訪問するのではなく、複数人のスタッフによる訪問が受けられる

このように、ステーションによって様々な特徴があるでしょう。どのような強みが、相手にとって惹かれる内容か分かりません。伝えたいことを整理し、依頼したいと思えるようなアピールを行いましょう。

信頼関係を築けるような雰囲気を作る

自分たちのステーションを利用してもらうためには、ステーションの強みが魅力的なことや看護スタッフの質が高いことはもちろん大切です。しかし、相手方から「ここのスタッフに任せたい」と思ってもらえるように、信頼関係を築けることも大切でしょう。たとえば、以下のようなポイントがあります。

  • 相手方の都合に合わせて訪問する
  • 忙しい中で営業を受けてくれることを忘れない
  • 的確で手短に情報を伝え、相手の時間を奪わない
  • 話し方や接し方、接遇マナーを練習しておく

良い印象を与えることで、営業したその日に承諾されなくても、後々に依頼される可能性が高まります。まずはステーションの存在を知ってもらい、覚えてもらえるように、相手との信頼関係を築ける対応をしましょう。自分の第一印象を良くするためにこちらの記事を参考にしてみてください。
> 未経験でも大丈夫!訪問看護の営業~第一印象をアップさせるコツ~

新型コロナウイルス感染症流行中の営業は?

新型コロナウイルス感染症の流行中など、直接営業を積極的にすることが難しい場面があるでしょう。医療機関や居宅介護支援事業所では、時期によっては施設内にコロナウイルス感染者がいる場合や重症者が入院している場合があり、外部からの訪問に制限をかけている状況も考えられます。

まずは、一度訪問したい先に連絡を入れて、アポイントをとりましょう。直接、相手方に訪問できない状況であれば、オンラインでお話ができないか確認してみることも方法の一つです。他に、ステーションの利用時間や空き状況などをまとめ、メールやFAXでお送りすることもおすすめです。相手方の状況に応じて、営業方法を適宜変えていけるように整えておきましょう。

営業戦略に活用!訪問看護専用電子カルテ『iBow』

iBowは依頼元リストを自動で作成できるので、どこのケアマネージャーや医療機関からの新規依頼が多いのか、が一目でわかり、営業をかけるときの指標の一つになります。他にも自ステーションの強み・得意分野を把握する上で、現状どのような疾病をお持ちの利用者をどのくらい担当しているのか、が確認できる「主傷病名に対する利用者数」やリハビリや緩和ケアなど、どんな処置を得意としているのかが確認できる「実施内容集計表」も日々の記録から自動で集計しているので営業活動にも役立つことができます。統計データはCSVでも出力できるので様々な分析に役立ちます。

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まとめ

今回は訪問看護の営業について紹介しました。「営業は本来の看護業務ではない」と思われるかもしれません。しかし、訪問看護は利用する方がいて初めて提供できるサービスです。訪問看護は病院のように待っていれば患者が来てくれるというモデルではありませんので、自分たちの活動を知って、利用していただく方を増やす活動も必要なのです。それは何より「必要としている方」にきちんと訪問看護というサービスを届けるための活動ですから、自分たちの言葉でしっかりと伝えていきましょう!

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