訪問看護ステーション内のハラスメントとは?ハラスメントの事例と予防策

訪問看護ステーション内のハラスメントとは?ハラスメントの事例と予防策

前回はハラスメントの概要と利用者や家族からハラスメントの対処方法について紹介しました。
>前回記事:訪問看護におけるハラスメント!利用者や家族からハラスメントの対処方法

しかし、訪問看護を行う上で、ハラスメントは利用者や家族からだけではありません。訪問看護ステーションを運営している中で「自分の職場にハラスメントはない」と言い切れる人は少ないのではないでしょうか。職場内でのハラスメントや人間関係に苦しんで退職する訪問看護師も多くいます。労働安全衛生法では「労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置を継続的かつ計画的に講ずるよう努めなければならない」(第69条)と明記されており、訪問看護ステーションを運営する経営者・管理者は快適な職場環境を形成する必要があります。そこで今回は、訪問看護ステーション内におけるハラスメント事例予防策をなど働きやすい環境づくりをするためのヒントを紹介します。

目次

気を付けよう!このようなこともハラスメントになる

訪問看護ステーション内のハラスメントとは?ハラスメントの事例と予防策

管理者やベテラン看護師と新人看護師ではハラスメントに対する考え方が大きく異なります。ベテラン看護師や管理者が当たり前と思っていることでも、新人看護師からするとハラスメントだと感じる場面も多々あります。ハラスメントが広く認知されてきている現代でも、知らず知らずのうちに自分が加害者になっていることもあるでしょう。ここでは、そのような考え方の違いからくるハラスメントの事例について3つ紹介します。

報告に対するフィードバックで過度に責められる

訪問先でのトラブルや事故などを報告された時、当事者を強く責めていませんか?内容によっては強めに指導しなければいけない場面もあるかもしれませんが、声の大きさや言葉遣い、話す場所・場面によってはハラスメントと捉えられてしまいます。

どこからが「過度」かについての線引きは難しいですが、感情的に怒るのではなく、マニュアルに沿った対応ができていたか、どこが足りていなかったかを指導するというスタンスが必要になります。また、指導する時にはTPOも非常に重要で、多くの職員の目につくところで話さない朝礼などで事例を共有するときも個人名を伏せる、もしくは事前に名前を出して良いか確認を取っておくなどといった配慮も必要です。

訪問先でのトラブル報告を流される

今度は逆に、訪問先でのトラブルや不安に感じたことを先輩や上司に報告しても「よくあることだよ」と流されることをハラスメントと捉えられることがあります。そんなことで?と思われる方も多いと思いますが、現場では実例が多くあります。実際によくあることでも、報告をしている本人にとっては深刻な問題であり、誠実に対応してほしいと望んでいます。すべてを真に受け、毎回全力で対応していてはこちらの身が持ちませんが、簡単に話を流すのではなく、丁寧な対応を心がける必要があります。

シフトに協力できない時の周りの目

訪問看護ステーションでは独り身の正社員よりも、子どもを育てながら働いているパートの方が多く在籍しています。

そのせいもあってか、「私は子供もいてこんなに頑張っているのにあの人はシフトに全然協力してくれない」「正社員のくせに当番をしないのはなんで?」といった不満や「こないだも産休だったのにまた産休?いないのと一緒」など、正社員とパート、独身と子供がいる訪問看護師間の軋轢も生まれやすいです。訪問看護師はそれぞれ家庭の事情によって働き方が異なってしまうことがありますが、この周りの目を気にしてゆっくり休めない、そんなことを言ってくるような人と働きたくないという理由で、退職を選択する方もいるのが現状です。

どうしたらいい?ハラスメントへの予防策

訪問看護ステーション内のハラスメントとは?ハラスメントの事例と予防策

ハラスメントの原因はさまざまで、すべてを把握することは非常に難しいです。特に管理者は訪問看護師と仕事内容も異なってくるので、スタッフ間の人間関係や抱えているストレスに気づきにくいです。そんな中でも、管理者としての責任を全うしていくにはどうしたら良いのでしょうか?ハラスメントには発生前、発生時、発生後の3段階で対応が必要だといわれていますが、最も重要なのは発生前の「ハラスメントを予防する」という視点を強く持つことです。ここではハラスメント予防の具体策を3つほど紹介します。

訪問マニュアルの読み合わせでトラブルを予防

人間関係において一番パワハラを感じる場面は、なんといっても上司が部下の失敗をとがめる場面です。利用者に大きな不利益を与えてしまった時や、大きなミスをしてしまった時など、声を荒げて叱ってしまいがちです。しっかりと指導しなければいけないことは間違いないのですが、感情が優先してしまい相手に威圧感を与えてしまうことが多々あります。

そうならないためにも、事前にしっかりと訪問マニュアルを読み合わせて大きな事故や失敗がないように教育します。そうすることで、もし失敗をしても、マニュアルを元に「ここができていなかった」「この部分の意識が足りていなかった」など、論理的かつ具体的に指導することができます。指導されている方もマニュアルを元に指導されることで、精神的苦痛を感じることなく指摘を受け入れることができるのでパワハラだと感じにくくなります。

信頼できる先輩との同行訪問

ステーション内には新人から 「話しやすい・頼りやすい」と思われる人とそうでない人がいます。管理者はそこを見極めて、信頼のおける先輩看護師を新人とマッチングさせて同行訪問を組むことで、ハラスメントを予防することができます。

訪問看護は働いてすぐに一人で自宅に訪問するということはありません。まずは先輩と同行訪問で実践を積んでから独り立ちします。同行訪問をしている最中、新人は先輩に車内で仕事の内容について質問できたり、困ったことや不安なことについて相談することができます。相談相手がしっかり話を聞き、対応することで、手厚いサポートを受けられていると感じると同時に、不安やストレス要因が減ります。管理者は、ハラスメントを予防するためにも、スタッフの人間性や傾聴力・教育力を考えて同行訪問のパートナーを組むように考えていくことも大切でしょう。

相性が悪い職員同士の物理的距離を取る

仕事上とはいえ、相性が悪い人と一緒には働きたくないものです。表面上だけでも取り繕ってうまくこなせる人もいますが、不器用でそれができない人もいます。ただ、訪問看護は病棟とは違い、お宅に訪問するという性質上、常に顔を合わせる必要はありません。これは非常に大きなメリットで、どうしても相性の悪いスタッフがいれば勤務が一緒でも、訪問時間などを工夫することで一緒に仕事をする時間を最小限に抑えることができます。そのため、訪問看護では管理者のマネジメント次第で全員が働きやすい環境をつくることができるのです。

管理者と訪問看護師間での密なコミュニケーション

ハラスメントを予防するために重要なのは、管理者と訪問看護師間でのコミュニケーションを増やすことです。日々の会話を通して、訪問看護師がどんなところに不安を感じていて、何が不満で、誰に気を使うのかを知ることができなければ、適切なマネジメントをすることができません。加えて管理者という立場上、訪問看護師とは少し視点が違うことも多いです。そのせいで管理者と訪問看護師の仲が悪くなり、ステーション全体の空気が重くなっているということも多々あるようです。訪問看護師同士の軋轢を把握しマネジメントすることも重要ですが、まずは管理者が訪問看護師と積極的に良質なコミュニケーションを取り、信用と信頼を得ることが必要です。

働きやすい環境づくりに訪問看護専用電子カルテ『iBow』

訪問看護ステーション内のハラスメントとは?ハラスメントの事例と予防策

訪問看護ステーション内におけるハラスメント事例や予防策を紹介しました。ハラスメント対策の他にもスタッフが働きやすい環境を作るために訪問看護専用電子カルテ『iBow』を検討してみてはいかがでしょうか?訪問看護は1人で対応することが多いため、記録を作成する量も訪問数や対応した量に比例します。そのためiBowを活用することで多忙な業務量を少しでも軽減することが可能となります。

記録作成時間の短縮で業務負荷を削減

iBowは日々の記録が各帳票と連動しており、データ上で整理されていることも大きな特徴の一つです。そのため、サマリーなど緊急で必要な書類も各帳票と連動しているのでいざという時にもタブレットですぐに作成できます。また、帳票に転記する時間を短縮するだけでなく、転記ミスを防止します。その結果、管理者やスタッフの負担を軽減することが可能です。実際にソフトを導入した事業者から、「帳票作成と確認作業にかかる時間が大幅に短縮し業務が楽になった」という意見がありました。

訪問看護電子カルテについての相談をする

スタッフの訪問状況を可視化!業務負担の偏りを防ぐ

iBowでは看護記録書の作成以外にも様々な統計データを出力することができます。訪問時間、訪問件数、医療保険・介護保険の人数やターミナルケアの実施状況、別表7の利用者、褥瘡対策の実施状況も確認できるので、医療依存度の高い利用者の受け入れ状況なども確認が可能です。また、スタッフごとの訪問回数や時間など自動的に集計できるので、訪問件数が多い、また訪問件数は少ないが医療依存度の高い利用者のケアを行っているなども確認できるため訪問状況を可視化できるので業務負担の偏りを防ぎます。

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まとめ

今回は、訪問看護のステーション内におけるハラスメントの内容やその対処方法について紹介しました。現在は昔と比べて、社会がハラスメントに対して非常に敏感になっています。今回紹介した中にも「そんなことで?」と思われるものもあったかもしれません。管理者は法律上、そして立場上、暴力・ハラスメントの対策をする責務があります。トラブルを予防するという意識を強く持ち、ステーションを上手にマネジメントしていきましょう。

iBowお役立ち情報では訪問看護の皆さまに役立つ情報を配信しています。より良い職場づくりについて知りたい方はこちらの記事もあわせて読んでみてください!

 

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