機能強化型訪問看護ステーションって何?算定要件を満たすには?

機能強化型訪問看護ステーションとは

わが国では少子高齢化に拍車がかかり、医療提供の現場が「病院」から「在宅」へ移行してきています。在宅医療へのニーズが高まる中、もちろん訪問看護にも、大規模化や充実化が求められています。

今回は、機能強化型訪問看護ステーションの概要や課題算定要件について紹介します。

 

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目次

知っておこう!なぜ訪問看護の大規模化が必要なのか

少子高齢化社会において、変化しているのは医療提供の場だけではありません。家族構成や健康問題、価値観などが多様化し、さらに複雑化してきています。地域住民のさまざまなニーズを受け、訪問看護師に対する期待はますます高まっています。一方で、看護師不足が深刻化しているのも事実です。病院、訪問看護ステーションともに看護師数の不足は慢性化しており、このままの状況では医療の質を担保できる保証がありません。

このような状況を受け、全国訪問看護事業会・日本訪問看護財団・日本看護協会の三団体により2013年におこなわれた訪問看護推進連携会議において、「訪問看護アクションプラン2025」が策定されました。2025年は、「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者となる時期でもあり、地域包括ケアシステムの構築が急がれます。そのため、訪問看護アクションプラン2025では、「訪問看護の量的拡大」「訪問看護の機能拡大」「訪問看護の質の向上」「地域包括ケアへの対応」の4つを軸としています。
> 【訪問看護アクションプラン2025】地域包括ケアシステムでの訪問看護の役割

これら4つの目的を達成するためには、訪問看護師の人材確保と育成はもちろんのこと、ICT化による業務効率化などが必須となります。また、訪問看護ステーションの規模が大きければ大きいほど達成しやすくなるため、訪問看護の大規模化が求められているわけです。

機能強化型訪問看護ステーションとは?

機能強化型訪問看護ステーションとは、2014年の診療報酬改定時に創設された訪問看護ステーションの形態のことです。当時は、看護師5名以下の小規模ステーションが半数以上を占めており、24時間対応を含むオンコール業務や、小児や人工肛門・人口膀胱の合併症を有する利用者への看護など、専門性が高い分野における対応力が不足していました。このような問題への対応と、今後も止まることのない少子高齢化に備えるべく、地域での訪問看護充実化の一環として、機能強化や大規模化の必要性がうたわれるようになりました。

機能強化型訪問看護ステーションⅠとⅡは、ターミナルケアの実施や重症児の受入れを積極的におこなう手厚い体制を評価するものです。Ⅲは2020年の診療報酬改訂時に新たに追加された形態で、地域の訪問看護の人材育成等の役割を重点的に評価するものです。それぞれに算定要件が定められており、要件を満たした場合に「機能強化型訪問看護療養費」が加算される仕組みになっています。

機能強化型訪問看護ステーションの算定要件を確認しよう!

機能強化型訪問看護ステーションの算定要件は、それぞれ以下の通りです。

 

 機能強化型訪問看護ステーションⅠ 

  • 常勤7名以上(1人は常勤換算可)、6割以上
  • 24時間対応体制加算の届出+休日、祝日等も含めた計画的な訪問看護の実施
  • 重症度の高い利用者の受入れ月10人以上
  • ターミナル前年度20件以上もしくはターミナル前年度15件以上+重症児常時4人以上もしくは重症児常時6人以上
  • 「居宅介護支援事業所を同一敷地内に設置+特に医療的な管理が必要な利用者の1割程度について、介護サービス等計画を作成」もしくは「特定相談事業所or障害児相談支援事業所を同一敷地内に設置+サービス等利用計画or障害児支援利用計画の作成が必要な利用者の1割程度について、計画を作成」
  • 地域住民などに対する情報提供や相談、人材育成のための研修の実施

 

 機能強化型訪問看護ステーションⅡ 

  • 常勤5人以上(1人は常勤換算可)、6割以上
  • 24時間対応体制加算の届出+休日、祝日等も含めた計画的な訪問看護の実施
  • 重症度の高い利用者の受入れ月7人以上
  • ターミナル前年度15件以上もしくはターミナル前年度10件以上+重症児常時3人以上もしくは重症児常時5人以上
  • 「居宅介護支援事業所を同一敷地内に設置+特に医療的な管理が必要な利用者の1割程度について、介護サービス等計画を作成」もしくは「特定相談事業所or障害児相談支援事業所を同一敷地内に設置+サービス等利用計画or障害児支援利用計画の作成が必要な利用者の1割程度について、計画を作成」
  • 地域住民などに対する情報提供や相談、人材育成のための研修の実施

 

算定要件からわかるように、機能強化型訪問看護ステーションⅠ、Ⅱでは、24時間体制での看護提供、また在宅看取りや重症児含む小児利用者への対応力の強化が求められています。

 

 機能強化型訪問看護ステーションⅢ 

  • 常勤4人以上、6割以上
  • 24時間対応体制加算の届出+休日、祝日等も含めた計画的な訪問看護の実施
  • 重症者、精神科重症患者or複数の訪看STが共同して訪問する医療者月10人以上
  • 地域の医療機関や訪看STを対象とした研修年2回
  • 地域の訪看STや住民等への情報提供・相談の実績
  • 地域の医療機関の看護職員の一定期間の勤務実績
  • 退院時共同指導の実績
  • 併設医療機関以外の医師を主治医とする利用者が1割以上

今後の課題!機能強化型訪問看護へのハードル

機能強化型訪問看護ステーションは、2018年7月時点で全国に548箇所設置されており(機能強化型Ⅰ:244箇所、Ⅱ:246箇所、Ⅲ:58箇所)、年々増加傾向にあります。
(※参考 平成30年度診療報酬改定後の算定状況等について(厚生労働省)

しかし、「訪問看護ステーション」でありながら、配置スタッフにおける看護師が占める割合が低く、理学療法士など他職種がそのほとんどを占めていることが問題視されています。つまり、表面上では「常勤スタッフ」の数が確保できているように見えても、実際には看護師不足は解決していないということです。少ない人数のままオンコール業務や専門性の高いケアの提供に追われている訪問看護師一人ひとりへの業務負担は図り知れません。この状況が続けば、看護師はいずれ疲弊し、ワークライフバランスを保てず、職場を離れてしまう可能性が高いでしょう。本当の意味で「機能強化型訪問看護ステーション」を拡充化していくことが、今後の課題であるといえます。

機能強化のステーションを目指すには!iBow

「機能強化型訪問看護ステーションの算定要件を満たせばそれで良い」という考えは誤っています。看護師が現場を離れないように「看護師の負担を軽減すること」にも目を向けることが重要です。そのためには、ICT活用が必須であると言っても過言ではないでしょう。スタッフの数の確保は引き続き必要ですが、訪問看護専用電子カルテ『iBow』で業務の効率化を図り、利用者へのケア以外の「記録」「情報共有」などに関わる業務負担を軽減させること、事務処理はテレワーク対応をとるなど、訪問看護師が働きやすい環境をつくることも忘れてはいけません。利用者への看護サービスの質の向上はもちろんのこと、看護師が生き生きと働ける環境をつくるためにもiBowの導入をおすすめします。

 

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まとめ

在宅医療を支える要として期待されている、訪問看護ステーション。大規模化や機能強化に向けた動きに注目が集まる一方で、まだまだ人員不足に悩まされているのが現状です。訪問看護はさまざまな課題を抱えていますが、ICT化によって解決できる問題も多いのです。
> 訪問看護師が抱えている課題を知ろう!訪問看護システムで課題解決!

iBowは利用者カルテから関連機関への報告・請求まで、すべての情報が連動するので効率よく業務を行い、利用者への訪問時間の確保だけでなく、カンファレンスやスタッフ教育など本来の看護業務に専念する時間を創り、看護記録の標準化など訪問看護の質の向上にも活用できます。利用者にとっても、スタッフにとっても気持ちの良い「在宅医療」をつくるためにも、iBowの導入を検討してみてはいかがでしょうか?

 

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