訪問看護療養費明細書記入の注意点 ~70歳以上の医療保険または後期高齢医療の場合~
医療保険の種類によっては「訪問看護療養費明細書」に記載する際に、注意しなければならない項目があります。今回は皆さまが間違いやすい記載項目について、どのようなことに気を付けなければならないか見ていきましょう。
※令和4年10月からの一部の後期高齢者の窓口負担割合が変更になりました。
詳しくはこちらのサイトを参考にしてください。
>後期高齢者医療における窓口負担割合の見直しに伴う特記事項の記載等について(医科・歯科・調剤・訪問看護)
本人・家族欄
70歳以上の医療保険もしくは後期高齢者医療のご利用者様は、訪問看護療養費明細書の本人・家族欄は「8 高齢一」か「0 高齢7」のいずれかになります。
「2 本人」「4 六歳」「6 家族」のいずれかを記載していると返戻の原因になります。
※上記の2、4、6は、70歳以上の方は選択することができません。
ではどのような条件で、「8 高齢一」もしくは「0 高齢7」になるのでしょうか。
「8 高齢一」と「0 高齢7」のどちらになるかは、ご利用者様の保険の負担割合により異なります。(以下表を参照)
負担割合 | 本人・家族欄 |
3割 | 「0 高齢7」 (高齢受給者・後期高齢者医療7割給付) |
1割 or 2割 | 「8 高齢一」 (高齢受給者・後期高齢者医療一般・低所得者) |
高額療養費・特記欄
70歳以上の医療保険もしくは後期高齢者医療のご利用者は、高額療養費が保険の自己負担限度額の上限となります。高額療養費の区分は収入によって異なります。
その場合、高額療養費の区分を訪問看護療養費明細書の特記欄に記載する必要があります。この特記欄の記入漏れや、区分の誤り等で返戻になるケースもあるようです。
どのような基準で区分を選択すればよいか、ケース別に見ていきましょう。
①適用区分の記載がある書類がない場合
高額療養費と特記欄の区分は基本的に保険の負担割合により決まります。
負担割合 | 高額療養費 | 特記欄 |
3割 | 現役並みⅢ:252,600円+(保険請求額-842,000円)×1% | 26区ア |
1割 or 2割 | 一般:18,000円 (上限) | 29区エ |
②適用区分の記載がある書類がある場合
適用区分の記載がある書類(限度額適用認定証、限度額適用・標準負担額認定証、特定医療費受給者証、特定疾患医療受給者証)が提示された場合は、その書類に記載されている適用区分に従います。
書類の適用区分 | 負担割合 | 高額療養費 | 特記欄 |
Ⅵ | 3割 | 現役並みⅢ: 252,600円+(保険請求額-842,000円)×1% |
26区ア |
Ⅴ or 現役Ⅱ | 3割 | 現役並みⅡ: 167,400円+(保険請求額-558,000円)×1% |
27区イ |
Ⅳ or 現役Ⅰ | 3割 | 現役並みⅠ: 80,100円+(保険請求額-267,000円)×1% |
28区ウ |
Ⅲ | 1割 or 2割 | 一般:18,000円 | 29区エ |
Ⅰ or Ⅱ | 1割 or 2割 | 低所得:8,000円 | 30区オ |
※Ⅰ or Ⅱにおいて、高額療養費の現物給付があった場合は
訪問看護療養費明細書の備考欄に「低所得Ⅰ」or「低所得Ⅱ」の記載が必要です。
高額療養費の現物給付とは?
窓口での支払いを限度額までにとどめ、限度額を超えた金額については支払わなくて良い制度の事です。 |
③51特定疾患・54難病医療以外の公費を使用する場合
適用区分の記載がある書類が提示された場合でも、51特定疾患(特定疾患医療受給者証)・54難病医療(特定医療費受給者証)以外の国の公費を併用する場合は、高額療養費は適用区分に関わらず一般(18,000円)になります。
→精神科がメインの訪問看護ステーション様は該当するご利用者様が多い傾向にあります。
特記欄は書類の適用区分に従います。
書類の適用区分 | 高額療養費 | 特記欄 |
Ⅵ | 一般:18,000円 | 26区ア |
Ⅴ or 現役Ⅱ | 27区イ | |
Ⅳ or 現役Ⅰ | 28区ウ | |
Ⅲ | 29区エ | |
Ⅰ or Ⅱ | 30区オ |
※Ⅰ or Ⅱの場合、高額療養費の現物給付があった場合は訪問看護療養費明細書の備考欄に「低所得Ⅰ」or「低所得Ⅱ」の記載が必要。
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例)後期高齢者医療のご利用者様の「本人/家族」の選択欄から”家族”を選んだ場合
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