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訪問看護の管理者が知りたい!アンガーマネジメント ~ スタッフへの上手い伝え方 ~

訪問看護ステーション緑風渡邊恭佑様アンガーマネジメント2

前回の記事では問題となる怒りの原因と対処法について紹介しました。
>前回記事     訪問看護の管理者が知りたい!アンガーマネジメント ~ 怒る事の意味と対処法 ~

管理者はマネジメントの一環でスタッフを叱る場面もあるでしょう。しかし、怒りをコントロールしながら上手く相手に伝えることが難しいと思っている方も多いのではないでしょうか。今回の記事では管理者のアンガーマネジメントからスタッフの上手な叱り方について訪問看護ステーション緑風  渡邊 恭佑 様に紹介いただきます。

 

  目次

■ 叱るメリット・デメリット、叱らないメリット・デメリット
■ 叱るということ
■ 相手に上手に伝える方法
■ 悪い叱り方とNGワード
■ 上手な叱り方
■ まとめ

 

パワハラという言葉が浸透してきてから、スタッフに対して“叱る”という行為に抵抗を持っている人がいるのではないでしょうか。必要なことだから伝えないとならない、しかし、利用者に迷惑がかかるから言わない、パワハラと言われそうで不安で言えないという声を耳にしたことがあります。パワハラという概念を間違って認識している方もいますが、重要なのは相手がパワハラと思わない、不快に思わない伝え方をすれば問題はないのです。

本題に行く前に、叱るという言葉の共通認識を持ちましょう。叱るというのは、上から下の立場の者にする行為になります。上司が部下を叱ることはあっても、部下が上司を叱るはない。子供を叱るはあっても、子供が親を叱るはありません。我が家は、私は妻に叱られることはあっても、私が妻を叱ることはなく怒るになります。さて、本題に移りスタッフに対する伝え方・叱り方を知り、実践に繋げていきましょう。

叱るメリット・デメリット、叱らないメリット・デメリット

日々の業務を思い出してみてください。スタッフに指導する際に、パワハラを恐れて伝えるタイミングを逃したことはありませんか。大切なことを伝えずに時間だけが経過して、結果何も解決に繋がらないということがあります。そもそも叱ること、叱らないこと、それぞれにメリット・デメリットが存在しますが、少し考えてみてください。叱ることのメリットとして、自分の考えが相手にわかる、行動修正ができる。叱ることのデメリットとして、相手が萎縮してしまう、指導として認識してもらえないがあります。また、叱らないメリットして、スタッフとの関係悪化を防げる。叱らないことのデメリットとして、看護の質が担保できない、スタッフの行動修正ができないなどがあります。何事も相手に伝えないとお互い共通認識を持つことはできませんが、ハラスメントという言葉が邪魔をしてしまい、叱ることができない方がいますが、“叱ることは問題ではない”と、ここでは覚えてください。

叱るということ

皆さんの周りには、叱っても好かれる人・嫌われる人はいませんか。叱っても相手が不快感を持たない人は、内容が回りくどくなく素直であり、自分のことではなく相手のことを思っている、内容とルールが明確になっているという特徴があります。逆に嫌われる人は、何を伝えたいのか話が諄い、相手より自分の保身・立場で話をしている、求めてくることに一貫性がありません。著者も過去に指導を受けた際に上司に対して、「何を言いたいのか分からない。貴方のことを思ってと話をしているが、結局は自分のためだろう。求めることがバラバラで日によって違うことばかりだ」と感じたことがあります。大切なのは、素直で相手を思い、内容とルールが明確なことになります。では、なぜ叱るという行動が上手にできないのでしょうか。我々は正しい伝え方を学んだことはありません。知らないので必要な時に相手に伝えても、上手には伝えられず、たまに伝えた時に関係が悪化してしまったことがマイナス経験となり、叱ることに抵抗を持ってしまいます。叱ることに躊躇してしまう方は、学んだことがないのでできないのは仕方がないと思ってください。

相手に上手に伝える方法

叱るという行動は、内容と技術2つに分かれます。内容には、求めている行動のリクエスト、自分の気持ち、技術には、理論やテクニックが必要になります。普段の伝え方を思い出してください。相手を叱る時にリクエストだけを伝えてはいませんか。確かにビジネスでは気持ちを伝えることは不要で、指示だけを伝えるだけで良いのですが、“仕事”に対して意識が低いスタッフは内容よりも叱られたことで自己肯定感が低下し、自分が指導を受けて何をしなければならないか、相手がどういう気持ちで伝えているのか、状況判断と背景を理解することには繋がらず、自分を否定した相手に陰性感情を持ってしまいます。なので、ときにビジネス上でも自分の感情を伝えることが必要になります。

では例を出して説明してみます。報連相はとても必要になりますが、スタッフの判断から報告が遅くなり問題が起きたとします。自己の感情として「あなたが今更そんなことを言うから問題になるのではないか」と管理者として思うのは当然であり、そのまま言語化したいと思いますが、この様な時は、「今その報告を受けて、私は困っていますので、もう少し早く報告をしてほしいです」と伝えてみてください。これはあくまで例なので、皆さんは自分の言葉に変えて伝えてみてください。ここでのポイントは、【I メッセージ】になります。Iメッセージとは、私は〜と思うと気持ちを伝えてから、相手にリクエストを求めます。仕事場で考えると難しいですが、家庭での場面から考えてみましょう。著者は幼少期、夜遅くまで遊んでおり、帰宅すると毎回母親から「いつまでも遊んでないで、早く帰ってきなさい」と叱られた経験があります。この時母親から「遅くなると心配だから早く帰ってきてね」と言われたら、反抗することもなく素直に親の言うことを聞けたのではないかなと思います。普段家族にしている声掛けを思い出してみると、気持ちを伝えないでリクエストばかりしていませんか。

悪い叱り方とNGワード

叱り方にもルールとNGワードが存在しますので確認をしてください。

 

 叱り方のルール 
i. 機嫌で叱らない
自分の機嫌に左右されない。○○になったら・○○の状況で伝えるとルールを明確にする

ii. 人格攻撃をしない
【事実・結果・行動・行為・ふるまい】は変わることがない真実なので伝えても良いですが、その人の【人格・性格・能力】について伝えることはアウトです。

iii. 人前で叱らない
他のスタッフがいる前で叱る管理者の方がいますが、これをすると相手は萎縮してしまい、人格を否定したと感じて発する言葉からは言い訳しかでてきません。ハラスメントになります。

iv. 感情をぶつけない
怒りに流されて、自分の価値観を相手に伝えてはなりません。

 NGワード 

I. 過去 前から言っているけど。何度も言っているけど。
II. 責める なんで。どうして。なぜ。
III. 強い表現 いつも。かならず。絶対に。
IV. 程度用語 ちゃんと。しっかり。きちんと

以下の文を耳にしたことはありませんか。「前から言っているけど。なぜ、どうしてなの。いつもだから、絶対にすると思った。ちゃんとしっかりしてよ」これは多くの方が経験、または一度は耳にしたことがある流行語だと思います。

上手な叱り方

悪い例を知った後は上手な叱り方になります。3つのルールを説明します。

i. 基準を明確にする
叱るときの基準が明確であり、納得性が高い

ii. リクエスト
相手に求めることが具体的で明確、またリクエストに応じる相手の行動評価が明確になっている

iii. 表現
穏当な表現・態度・言葉使いであり、相手を責めないこと

ここでのポイントは、管理者の方で相手を叱る際に怒っている感情を悟られない、落ち着いてる雰囲気を出して笑顔で叱る方がいますが、これは相手にとってマイナスに働きます。メラビアンの法則を用いて怒っている人で例えてみましょう。人は視覚情報55%、聴覚情報38%、言語情報7%で伝達をしていると言われています。怒っている人で例えてみましょう。

視覚情報【怒っている表情】=ネガティブ情報
聴覚情報【低い声】=ネガティブ情報
言語情報【叱られている内容・言葉遣い】=ネガティブ情報

この様な結果になりますが、笑顔で怒る管理者に対してスタッフどう印象を受けるかが以下になります。

視覚情報【笑顔で明るい】=ポジティブ情報
聴覚情報【低いトーン・怒った声】=ネガティブ情報
言語情報【叱られている内容・言葉遣い】=ネガティブ情報

視覚情報55%が「笑顔」という情報になるので、スタッフは管理者が「怒ってない」という印象や、「怒っているがまだ平気で問題ない」と感じてしまいますので、感情表出を無理に変化させず、素直に伝えてください。

まとめ

伝え方・叱り方について知り、明日からやってみようと思っても、すぐに実践に移すこと難しいと思います。すぐに行動変容をできる人は居ませんし著者も全てができているわけではなく日々失敗を繰り返しています。では何からやれば良いのか。Iメッセージなのか、NGワードを使わないのか。心機一転、思考や行動を変えようと思っても継続は難しく失敗体験の原因となり、そこから伝えることに抵抗がでてしまうので、まずは自分が変えられそうな小さなことから実践し成功体験を増やして、チームや地域連携強化に努めてください。

 

訪問看護ステーション緑風
精神科認定看護師 渡邊 恭佑 様

友人が精神疾患を患い、地域でつらい思いをしていることを知り、地域を変えたいという想いから、2014年精神科認定看護師を取得。これまでの活動:病院、介護施設、看護大学、放射線技師学校での講義のほか、看護師・介護士・薬剤師・中学生などを対象に全国での講義経験がある。医療雑誌執筆中。

 

 

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