精神科訪問看護とは?精神科の需要や仕事内容を確認しよう

精神科訪問看護とは?精神科の需要や仕事内容を確認しよう

訪問看護と聞くとイメージはつきやすいですが、「精神科」とつくと普通の訪問看護となにが違うのか、需要はあるのか、どのような仕事内容でどのような資格が必要なのかなど、多くの疑問が出てくるでしょう。今回はこれらの疑問をひとつずつ紐解き、精神科訪問看護とは具体的にどのような役割を担っているのかを紹介します。

目次

精神科の需要とは?

精神科訪問看護の需要は年々増加しています。その理由として、精神的な疾患を抱える方は施設や病院など普段とは違う環境で生活することが難しいことが挙げられます。訪問看護を利用することで、住み慣れた自宅で過ごすことができ、精神的に安定するというメリットがあります。実際、精神科訪問看護の利用者の数は、2001年が約7,000人だったのに対し、2011年には約20,000人と3倍近く増加しています。
(参考)厚生労働省「傷病分類「精神及び行動の障害」の訪問看護基本療養費別利用者数の推移」
さらに近年は、昔と比較してもストレスに敏感な時代となっていることに加えて、地位包括ケアの推進に伴いその需要はますます大きくなってきています。

精神科訪問看護とは?

精神科訪問看護とは?精神科の需要や仕事内容を確認しよう

精神科訪問看護とは、精神疾患のある方もしくは心のケアが必要な方に対して、看護師や作業療法士などの専門職が直接自宅へ訪問し、病状の管理から正しい日常生活を送るためのサポートまでトータル的な支援を行うものです。その対象は、精神疾患を抱えている方とその家族を含みます。病院に通う必要なく自宅でサービスを受けることができるため、通院の手間がない、利用者の住み慣れた環境で援助が受けられる、入院期間を短くできるなど、利用者・援助者どちらにもメリットのある業態となります。

精神科訪問看護の仕事内容

精神科訪問看護の仕事内容は、疾患のため生活リズムが整わない方や服薬管理が正しくできない方、定期的な外来通院ができない方などが対象のため、治療というよりは日常生活を整えるための援助がメインとなります。

病状の観察

バイタルサインの測定やコミュニケーションを通して、病状の観察を行います。精神疾患の症状は日内変動や時期に左右される部分がかなり大きいので、その場の測定値や表情、態度だけで判断するのではなく、前回との些細な変化などを捉えるために徹底的なヒヤリングが必要になります。

服薬管理

病状の悪化や再発を防ぐためには正しい服薬が重要な役割を果たします。ですが、利用者の中には薬の効果や重要性を理解しておらず、自己判断で薬を中断しているケースが多いです。予防という観点でも服薬は非常に重要ですので、薬の効果効能の説明と正しく服薬できているかを確認することは必須です。

日常生活援助

精神疾患を抱える利用者は、病状が悪化すると生活リズムが崩れ体調が悪くなりさらに症状が悪化するという悪循環を起こしやすいです。そのため、生活リズムを整えることは治療や症状の悪化予防という観点から非常に重要な役割を果たします。利用者一人一人の性格や疾患の種類、症状の強さなどを考慮した適切なアドバイスをすることは精神科訪問看護の真骨頂と言えます。

サービス調整

疾患を抱えながら自宅で生活をするということは簡単なことではありません。病院であれば管理できるところが、目も手も届かないところでは管理できないことが多々あります。そこで必要になってくるのが、相談窓口の案内や福祉サービスなどの社会資源の活用です。生活環境や利用者のことをよく知っている精神科訪問看護師だからこそ、必要なサービスをピンポイントで提案することができるので利用者の在宅での生活を支援するためには必要な仕事だといえます。

家族のサポート

精神科訪問看護の対象は、本人だけでなくその家族も含みます。精神疾患を抱えている利用者と家族は良好な関係を築きにくい傾向もあり、悩みを抱えている方が非常に多いです。そんな家族に対して適切な情報提供を行い不安を軽減することも仕事内容に含まれます。

精神科訪問看護に向いている人とはどんな人?

精神科訪問看護とは?精神科の需要や仕事内容を確認しよう

そもそも精神科訪問看護を行うためには、精神科病院に1年以上勤務した経験のある者、精神疾患を有するものに対する訪問看護の経験を1年以上有する者、専門機関が主催する精神保健に関する研修を修了している者などの条件があります。これらの条件をクリアしていることを前提として、精神科訪問看護師に向いている人に必要なスキルというのは「利用者の強みを見つけられる」「利用者との程よい距離感を保てる」という2つになります。

利用者の強みを見つけられる

精神科訪問看護で求められる資質の一つとして本人の強みを見つけられるということが挙げられます。精神疾患を抱えている利用者は、自分のできていないところばかりをみて落ち込むことが多く、精神的に不安定になっていきます。強みやできているところを認め、褒めるという行為は精神的な安定をもたらします。

利用者との程よい距離感を保てる

精神疾患がある利用者は心を閉ざしている方も多く、長い年月をかけて打ち解けていく必要があります。まずは利用者との心の距離を縮めていくという能力が求められるのですが、近づきすぎると今度は訪問看護師への依存が強くなっていきます。依存関係になってしまうと、こちらからの指導が届かなくなり、少し強く指導するとまた心を閉ざしてしまうということもあります。そのため、精神科訪問看護師に向いている人というのは程よい距離感を保てるという素質が備わっていることが多いです。

精神科訪問看護にも活用できる訪問看護専用電子カルテiBow

精神科訪問看護とは?精神科の需要や仕事内容を確認しよう

令和2年度の診療報酬改定で、精神障がいのある利用者の訪問看護において点数を加算する場合には、GAF尺度を用いることが追加され、必須条件となりました。GAF尺度についてはこちらの記事を参考にしてください。
> GAF評価を正しくするためには?便利ツールを活用しよう

GAF尺度とは、精神機能という評価しづらいものを社会的・心理的・職業的機能評という側面で評価するための1~100で数値化されたスケールのことで、数値が大きいほど精神面が良好と判断されます。精神科訪問看護指示書での訪問の場合、訪問看護記録書、訪問看護報告書及び訪問看護療養費明細書には必ず月初めに訪問した日の記録にGAF尺度を記載しなければいけないのですが、数値と内容を細かく覚えることは難しいです。しかし、訪問看護専用電子カルテ『iBow』ではコード表を持ち歩かなくても記録ができるよう、点数だけでなく各数値の内容も記載しているので業務の最適化を図ることができます。

GAF尺度

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まとめ

今回は精神科訪問看護の需要や仕事内容について紹介しました。iBowお役立ち情報では他にも精神科訪問看護に関わる記事を紹介しています。ぜひ、こちらの記事もあわせて読んでみてください。
> 訪問看護“ここが知りたい”〜精神科訪問看護〜

また、精神科訪問看護の需要は年々高まってきており、利用者も増え続けています。利用者の生活をサポートし、寄り添っていくといったやりがいのある仕事です。しかし、精神科の分野は独学では分かりづらい点も多いので、精神科セミナーなどの受講に積極的に参加し、最新の知識を身につけていきましょう。iBowではいつでもオンラインで参加できる無料訪問看護セミナーを行っております。精神科訪問看護についてのセミナーもありますのでぜひ、参加してみてください。

 

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