収支構造と損益分岐点

収支構造と損益分岐点

訪問看護ステーションの経営コラムの第6回目は
訪問看護の収支構造と損益分岐点 です。
ステーションの収入、支出はどのように構成されているのか?
そもそも「損益分岐点とは一体何なのか?」についてお伝えします!

【過去の記事】
シリーズ① 情報提供療養費について
シリーズ② 介護保険施設への訪問看護
シリーズ③ 利用者獲得のための営業戦略
シリーズ④ 訪問単価と訪問件数 経営管理指標の考え方Part1
シリーズ⑤ 看護師のパフォーマンス評価 経営管理指標の考え方Part2

1.収支構造とは

訪問看護ステーションの経営でいかに利益を出していくか
管理者のみなさんにとっては大きな関心事だと思います。

医療は利益を追求しているものではない、との声も聞こえてきますが、そもそも利益がないと人件費、給与は支払えないのです。訪問看護業務を行うことで利用者さんから頂く代金、保険サービスであれば支払基金から支払われるお金が訪問看護ステーションの「収入」になります。その収入から、材料費や事務所の経費、家賃や訪問のためのガソリン代などの支払いをしていきます。

その中で最も大きな費用が「人件費」です。人件費とは個人に支払われる給与だけではなく、手当や交通費、社会保険、労働保険、研修費、福利厚生費など、職員に関わる様々な費用が含まれています。訪問によって得た収入全てが個人の給与になるわけではありませんので、「自分の給与分は稼ぎます」では、ステーションの経営には足りないということなのです。この支出の内容をしっかり押さえておくことが経営管理の基本になります。

2.損益分岐点という考え方

支出には大きく2種類の考え方があります。
基本給や事務所の家賃、駐車場代など毎月一定額が支出されるものを「固定費」、残業代や訪問のためのガソリン代、材料費など、毎月の利用者数によって変動がある費用を「変動費」と言います。

利用者数が多ければ変動費は増えていきますし、利用者がいなくて収入がなかったとしても固定費は支出しなければなりません。
収入と支出が同額になる額を損益分岐点と言います。
その額を下回ると赤字になり、上回れば利益が出るポイントという意味です。

自分のステーションの損益分岐点を知っておくと、最低いくらの収入が必要か、訪問単価から推測して最低何件の訪問が必要か、またその件数を得るために何名くらいの利用者が必要か、など経営に必要な事業規模を知ることができるのです。

3.人件費率を知る

もちろん、一番大きな額を締めるのは人件費であることが多いので、収入のうち人件費支出がどのくらいの割合を占めているのかも知っておくと良いでしょう。
これを人件費率といいますが、人件費率が90%を超えていれば、その他の費用を払いきれていないでしょうし、50%以下であればよほどその他の支出が多くない限り、利益が出ていることが多いでしょう。自分たちのステーションの適正な人件費率を知っておくことが大切です。

この他に労働分配率という指標もあり、実際の経営管理には重要な指標ではありますが、まずは収支のバランスをしっかり見ることで、経営管理を行っていくことができるようにしていきましょう。

4.ステーションの経営管理にICTを活用!

経営管理をする上で、現在の利用者数やその内訳(介護度や保険種別など)を知ることも重要です。

  • 実際に訪問している利用者は何名?
  • 要介護・要支援はそれぞれ何名ずつ?
  • 新規受け入れ人数は?
  • 休止となった利用者数は?

自分のステーションの損益分岐点(売上高)を把握していれば、上記の利用者人数の推移や今後の見通しを把握することで、効率的に今後の戦略を立てることが出来ます。
そして、このような経営管理にはICTを活用できます!

訪問看護専用電子カルテ「iBow(アイボウ)」なら、当該月の新規受け入れ利用者数を簡単に把握することが出来ます。

 

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また、要介護度などの「利用者の保険情報」をまとめてCSV出力することも可能です。
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iBowの「利用者実績一覧表(保険版)」出力機能 イメージ(2018年12月19日時点)

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