新型コロナウイルス感染症が訪問看護にどう影響しているか?ステーションの継続に ICTを活用しよう!
2019年12月に中国で発生し、日本でも2020年1月から感染者が出始めた新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)。現在は一般のワクチン接種も進み、2021年10月以降、全国的に新規感染者数も減少し落ち着きをみせていますが、世界中で経済や生活など様々な影響がありました。訪問看護の現場もコロナによる影響を受けています。今回の記事では、訪問看護がコロナの影響をどのように受けているのか また 対策としてどのような取り組みが行われているのかを紹介します。
コロナが訪問看護にどう影響しているか?
訪問看護は、コロナの影響を大きく受けています。どのような影響を受けているか、詳しく見てみましょう。
スタッフや利用者も、コロナに感染する可能性があります。スタッフがコロナに感染した場合、感染したスタッフは当然仕事を休まなければなりません。そのため、当該スタッフが予定していた訪問先へ行くスタッフを捻出する必要があります。また、保健所の判断でステーション全体のコロナの感染状況を調査しなければならない場合は、ステーションの休業もやむを得ません。利用者への連絡や、どうしても訪問が必要な利用者は他のステーションにお願いしなければならない等、多くの業務が発生します。利用者がコロナに感染した場合はどうでしょうか。保健所の指示で入院することになれば、訪問は行わないことになるため、ここでも売上が減るという問題が起こります。
上記でも述べたように、スタッフや利用者が感染することで、サービス提供に大きく影響します。スタッフの感染により、サービス提供予定の利用者に訪問できなくなる可能性があるからです。特に小規模のステーションでは、人員が1人減るだけでも大きな損失につながるでしょう。さらに、感染したスタッフが管理者や所長であれば、管理業務の代行も行わなければなりません。また、利用者の感染により他の利用者の予定時間を変更することや、どうしても訪問できないということも出てくるでしょう。
感染症が蔓延すると、感染防具の不足を引き起こす可能性があります。いざ購入したいとなった時には、どこの業者でも売り切れが続出している場合があります。感染防具がなければ、コロナに感染した利用者へ訪問することができません。感染防具は、普段から余裕を持って準備しておきましょう。
予定通りのサービスを提供できないことは、売上の低下に直結します。売上が低下すると、資金繰りの悪化を招くおそれがあるでしょう。そして、訪問看護サービスの提供ができないということは、利用者が必要なサービスを受けられないことでもあります。
コロナを見据えた取り組みの例を紹介!
コロナを見据えた取り組みは、たくさん考えられ、実施されています。ここではその一部紹介します。
手洗いは、コロナ以外の感染症の予防にもつながる大事な方法です。正しく手洗いできることで、感染を大きく予防できます。手指に付着しているウイルスの数は、15秒の流水手洗いで1/100に、ハンドソープ等で10秒洗った後、15秒間流水ですすぐと1/10,000に減らすことが可能です。スタンダードプリコーションなので訪問看護では日頃から実施している手洗いもコロナを機に再度、手順を確認したり利用者へ指導を行うステーションも多いでしょう。
(※参考)厚生労働省「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)」
コロナ流行の前は看護師の表情が利用者にわかるよう、サービス中にマスクを着用していないステーションも多く見られました。しかし、コロナの影響でマスクや手袋を着用し感染対策を行いながらサービスを行うよう変化しています。物品は利用者ごとに交換することで、感染拡大を防ぐことが可能になります。普段はコストを意識しなければなりませんが、感染拡大を考慮し、同じ物を他の利用者に使用しないようにしましょう。
利用者が自宅療養になった場合の取り組み
訪問看護では感染した利用者が自宅療養となった場合の対策も考えなければなりません。まずは主治医やケアマネージャーと情報共有をし、連携することが必要です。そして、訪問頻度やケア内容を検討します。さらに、感染拡大を防ぐための対策が必要になります。マスク・ガウン・ゴーグル等の、感染防具を装着していくことはもちろんですが、他にも訪問するスタッフを固定する、その日の1番最後に訪問する予定を組み、感染者の後に他の利用者を訪問しないようにする等の取り組みが必要です。
ワクチンを接種することで、コロナ感染の確率が下がったり、感染しても症状が軽く済んだりする可能性があります。ただし、ワクチンを接種したからといって、コロナ感染の確率がゼロになるわけではありません。今まで行っている、手洗い等の感染対策を継続する必要があります。また、健康診断を受け、自分の健康状態を把握しておくことが大事です。コロナのために健康診断を控えることで、病気の発見・治療が遅れるリスクもあります。健康診断をきちんと受けましょう。
直行直帰や時差出勤
訪問看護でも感染対策のために事務所に寄らずに利用者宅へ直接訪問したり、時差出勤をしたりと、ステーション内での密を防ぐ取り組みをしているステーションも多く見られました。利用者の情報が事務所にあるステーションも多いため、コロナを機にシステムを導入し事務所以外でも利用者の情報を確認したり、記録を作成できるようにしています。
> 直行直帰にも活用!訪問看護専用電子カルテ『iBow』の機能をみる
新型コロナウイルスに係る診療報酬上の臨時的な取り扱い
感染対策の強化や働き方だけでなく、診療報酬にも影響がありました。新型コロナウイルス感染症感染拡大防止継続支援補助金として感染防止対策にかかる経費を実費補助できたり、コロナに罹患している利用者への長時間訪問看護に係る加算の算定額が3倍に拡大したりと診療報酬上の臨時的な取り扱いが実施されています。
新型コロナウイルス感染症感染拡大防止継続支援補助金
継続支援補助金とは、保険医療機関や保険薬局、訪問看護事業者、助産所などが感染防止対策によってかかり増しとなった経費の一部を補助してくれる、厚生労働省が定めた制度です。継続支援補助金の目的は、医療機関等において平常時では発生しない感染拡大予防対策により生じた経費の補助を行い、施設内や院内での感染拡大を更に防いでいくことを目的としています。訪問看護では6万円が上限となり、令和3年10月1日から令和3年12月31日までに、新型コロナウイルス感染症に対応した感染対策に用いた費用(従前から勤務している、また通常の医療の提供を行う者に係る人件費を除く)を申請し、補助金が交付されるという流れになっています。申請方法などはこちらの記事をチェックしてみてください。
> 感染対策防止を徹底しよう!訪問看護も対象【新型コロナウイルス感染症感染拡大防止継続支援補助金】
コロナに罹患している利用者への長時間訪問看護に係る加算の算定額が3倍に拡大
現在、自宅・宿泊療養で対応する新型コロナウイルス感染症患者が増加していることを踏まえ、外来医療・在宅医療・訪問看護などで、これまで以上に積極的な新型コロナウイルス感染症患者への対応が行われることを期待し診療報酬臨時特例の一部が拡大されました。詳細や料金についてはこちらの記事をチェックしてみてください。
> 2021年10月以降どうなる?新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取り扱いについて
継続的対策にICTを活用しよう
ICTを導入することで、コロナの感染予防につながります。例えば、ICTを活用することでタブレットに入れたシステムを通して、スタッフ間で情報共有が可能です。また、オンライン会議システムを用いると、スタッフが集合しなくてもミーティングを開催できます。訪問看護記録もタブレット等で入力できるシステムもあるため、テレワークも可能になります。
訪問看護専用電子カルテ『iBow』を導入すると、これらのことが一気に解決できます。iBowはタブレットでも使用できるので、訪問先や自宅から記録を入力することが可能です。入力した内容は、リアルタイムで他のスタッフに共有され、さらに、訪問看護記録を入力することで、自動でレセプトに反映されます。レセプト請求の実績確定もタブレットでできるため、訪問スタッフだけでなく、事務員のテレワークも可能です。訪問看護記録書Ⅱを作成することで、自動的にレセプト情報として訪問実績が反映され「記録書と実績の突合」「予実管理」「指示書確認」「保険書確認」の業務がなくなり、いままで月初に集中して行われていた情報収集作業や、何度も行う多重の確認業務を大きく削減することもできるので事務員のテレワークと共に業務効率化を図ることもできます。
> iBow&iBowレセプトの機能を詳しくみる
まとめ
今回の記事では、訪問看護が受けているコロナの影響と、それへの対策についてお伝えしました。訪問看護はコロナの影響を大きく受けており、対策は今後も継続していく必要があります。新規感染者数の減少している今だからこそ、コロナの影響を再度確認し対策方法について確認しましょう。iBowお役立ち情報では感染対策に訪問看護のテレワークに関する記事も掲載しています。ぜひチェックしてみてください!
【訪問看護のテレワークシリーズ】
〇テレワーク導入のメリットとテレワークに適した訪問看護の業務とは?(訪問看護のテレワーク1)
〇テレワークがコミュニケーション不足に陥りやすい原因と対策とは?(訪問看護のテレワーク2)
〇訪問看護のテレワークに便利なツールとは?(訪問看護のテレワーク3)