訪問看護指示書!訪問看護が知っておきたい指示書の見方と返戻されない注意点とは?

訪問看護指示書!訪問看護が知っておきたい指示書の見方と返戻されない注意点とは?

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訪問看護は、在宅医療を支えるためになくてはならない存在です。高齢化の進展にともなって、ますますその役割は拡大しています。機能的な地域包括ケアシステムを構築するためには、医療機関である病院と在宅医療をつなぐ役割を、訪問看護が担っていかなければなりません。訪問看護を利用者に提供するには、主治医から訪問看護指示書を交付してもらうことが必要です。そこで今回は、訪問看護指示書の種類や注意点について紹介します。

目次

訪問看護指示書とは?

訪問看護業務や訪問リハビリを行うためには、医師が発行する「訪問看護指示書」が必須です。訪問看護は公的保険である介護保険と医療保険のいずれかを利用できますが、保険制度を定めている介護保険法や健康保険法には「主治医による指示を文章で受けなければならない」と定められています。この訪問看護指示書は、訪問看護業務の承諾、そして指示を示す書類になります。訪問看護指示書の有効期限は、主治医が発行後、6ヶ月となります。

訪問看護指示書だけじゃない!指示書の種類を確認しよう

訪問看護指示書には通常訪問の「訪問看護指示書」の他、いくつかの種類があります。まずは指示書の種類についてみていきましょう。

特別訪問看護指示書

特別訪問看護指示書は、症状の急性増悪や退院直後に、主治医の判断で「頻繁な訪問看護が必要」と判断された場合に交付されます。有効期限は最大14日ですが、週4日以上の訪問看護が必要になります。

在宅患者訪問点滴注射指示書

在宅患者訪問点滴注射指示書は、週3回以上の点滴治療が必要と認められる場合、医師は交付しなければなりません。利用者1人につき週1回の交付になりますが、月に何度も交付可能です。有効期限も最大7日なため、必要なら毎日、点滴の指示が出されるわけです。

精神科訪問看護指示書

精神科訪問看護指示書は、精神科の主治医が訪問看護の必要性を認めた場合に交付されます。精神科を担当する医師に限り交付が可能ですので、すべての医師が書けるわけではありません。大まかな説明ではありますが、精神科用の訪問看護指示書といえるでしょう。また、訪問看護指示書と合わせて交付はされませんので、覚えておきましょう。

精神科特別訪問看護指示書

精神科特別訪問看護指示書も、基本的には特別訪問看護指示書と変わりません。服薬によって体調が悪化した場合等、主治医が「頻繁な訪問看護が必要」と判断された場合に交付されます。ただし、特別訪問看護指示書のような、条件により月2回の交付はありませんので注意してください。

訪問看護指示料とは?ステーションでは算定できないので要注意!

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訪問看護指示料とは、訪問看護することで支払われる医療点数のことです。月ごとに1回、300点が加算されます。とはいえ、訪問看護指示料の算定は、医師が算定するものであり、訪問看護ステーション側は算定できません。同様に、在宅患者訪問点滴注射指示書や精神科訪問看護指示書等も、医師が算定します。訪問看護師として初めて勤務する方は、訪問看護ステーションで算定ができると誤って認識している方もいるので注意しましょう。

指示書が届いたらまず確認!返戻されないための注意点

訪問看護指示書には決まったフォーマットがあるわけではなく、独自のフォーマットを使用しても問題ありません。しかし必要な項目の記載にはルールがあり、このルールに沿って記載しないと、返戻となってしまうので注意が必要です。そこでここでは、訪問看護指示書の見方で注意したいポイントをご紹介します。

 

指示期間 

訪問看護指示書の指示期間は1~6ヶ月と決まっています。しかし、6ヶ月以上を超えた期間を記入してしまうケースが発生することも事実です。この場合の訪問看護指示書は、無効となってしまいます。ただし、指示期間の記入がない場合は発行から1か月の指示期間になります。

例.「訪問看護指示期間(令和3年10月1日~令和4年4月1日)」と記載があった場合

開始日が令和3年10月1日であれば、最長で令和4年3月31日までが期間となります。「令和4年4月1日」だと6ヶ月を超えてしまっているので、無効となります。

記入するだけではありますが、間違いやすい項目です。期間に問題ないかはよく注意しておきましょう。

 基本情報 

利用者の氏名や住所、生年月日等を記載します。手元にある利用者の情報をそのまま記載すれば問題ありません。しかし「名前が似ている利用者がいて、名前の書き間違えをしてしまった」という間違いが発生する可能性もあります。記載後に誤りがないか確認する作業は、怠らないようにしましょう。

 主たる主病名 

利用者の主病名を記載する欄です。この項目の書き方によって、訪問看護の介入が医療保険なのか、介護保険なのかが決まるため、非常に重要な項目となります。とくにパーキンソン病のヤールの重症度分類と生活機能障害度や脊椎・脊髄疾患等の場合は、書き方によって医療保険か介護保険なのかが決まり、そこにかかる自己負担額が大きく変わってきます。トラブルになりやすい項目なので、必ず確認しましょう。

 現在の状況(病状・薬剤)

現在の病状や服薬している薬剤について記載をしましょう。内服が多い利用者の場合、「投与中の薬剤の用量・用法」の欄にすべてを書き切れないこともあります。その時は別紙に記載をし、「投与中の薬剤の用量・用法」の欄には「別紙参照」と記載すれば問題ありません。

 現在の状況(ADLの状況・褥瘡・医療機器) 

ここに含まれる項目は次のとおりです。

  • 日常生活自立度(寝たきり度)
  • 日常生活自立度(認知症の状況)
  • 要介護認定の状況
  • 褥瘡の深さ
  • 装着・使用医療機器等

各項目に設定されている分類基準があるため、それに沿って記入してもらいましょう。

 留意事項及び指示事項 

ここで注意してほしい箇所が「Ⅱ-1 リハビリテーション」の項目です。ここに指示内容の記載等がないと、リハビリ専門職が利用者を訪問することができません。また、令和3年の介護報酬改定によって「頻度の記載」も必要になったことにも注意してください。

 緊急時・不在時の連絡先等 

ここも特にルールはなく、それぞれの項目に沿って記入すれば問題ありません。ただ、「他の訪問看護ステーションへの指示」「たんの吸引等実施のための訪問介護事業所への指示」が必要となる場合、ステーション間等で情報や報告書の共有が義務となるため、記載漏れが起きないようにしましょう。

 医療機関名(医師名)・依頼先 

ここで注意してほしいのが「捺印」です。必要情報の記入に加え、原本であることを証明するために捺印されていることが望ましいとされています。指示書を記載した日付・医療機関名(住所・TEL・FAX含む)・医師名も、記載内容に誤りがないか今一度確認しましょう

いざという時のために知っておこう!特殊なケース

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訪問看護指示書の発行には特殊な事例もありますので、いざという時のために覚えておくと良いでしょう。

複数の訪問看護ステーションが関わる場合

1人の利用者に、2か所以上の訪問看護ステーションが関わる場合もあります。利用者の主治医が別の訪問看護ステーションにも訪問看護指示書を交付しており、同じ時期に複数の訪問看護ステーションが訪問看護をします。例えば毎日訪問看護が必要な場合等、1つの訪問看護ステーションが担当するのではなく、複数の訪問看護ステーションが介入するわけです。ただし、複数のステーションが介入できる疾患名は決まっているので必ず疾患名を確認しましょう。

訪問看護指示書は同一の主治医のみ適用される

訪問看護指示書を交付できるのは、1人の利用者につき、原則1人の主治医となります。仮に主治医が2人いたとしても、訪問看護指示書を交付できるのはどちらかだけです。ただし、平成30年度介護報酬改定により、同一の診療科に所属する複数の医師が主治医として利用者の診療を共同で担っている場合については複数の医師のいずれかにより交付された訪問看護指示書に基づき訪問看護を行った際にも訪問看護療養費の算定が可能になっています。とはいえ、基本的には名義の違う訪問看護指示書には、問題があると思って良いでしょう。理由を知るためにも、主治医に確認するようにしてください。

訪問看護指示書を書いてくれない

主治医が訪問看護指示書を書いてくれないのには、主治医が訪問看護の必要性を感じていない・医師が多忙により記載する時間がない・忘れているなど様々な原因があります。指示書を書いてくれない時の対処法についてはこちらの記事を参考にしてください。
> 訪問看護指示書を書いてくれない時、どうすればいい? – 訪問看護のお悩み – 

訪問看護において助かる機能が多く搭載!指示書の交付依頼にも便利なiBow

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ここまで訪問看護指示書の見方の注意点やポイントを紹介してきました。訪問看護指示書は医師が交付しますが、指示期間が切れる前や新規利用者の訪問前は訪問看護ステーションから指示書の交付依頼を行うことも多いでしょう。訪問看護専用電子カルテ『iBow』では、訪問看護指示書ひな形が搭載されているだけではなく、指示書の有効期限をリストとして出力し、さらに指示書の交付依頼書の作成が可能です。

ほかにも、利用者の心身の状態等はレセプトにも自動で反映できるといった機能をはじめ、訪問看護において助かる機能が多く搭載されています。書類作成だけでなく、細かな事務作業の時間を短縮するためにも、ぜひiBowの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

 

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まとめ

訪問看護を利用者に提供するには、主治医から訪問看護指示書を交付してもらうことが必要です。訪問看護指示書にはいくつかの種類が存在し、それぞれの指示に合った訪問看護が実施されます。訪問看護を提供し、正しい算定を行うためには指示期間や疾患名の記載などステーション側でも確認が必要な項目がありますので、指示書の見方についてこの記事を参考にしてみてください。

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