訪問看護師が体力不足を解消するには?体力をつける方法

訪問看護師が体力不足を解消するには?体力をつける方法

最近「体力が落ちた」「疲れがとれない」と感じることはないでしょうか。特に年齢を重ねてくると、今まで苦にならなかったことが急にしんどく感じてしまったり、無理をして肩や腰を痛めてしまったりする人もいるでしょう。

そのようなことが増えてくると、せっかくやりがいを感じている仕事でも、モチベーションが維持できず長期的に働くことが難しくなってしまいます。これまでのように元気に働くためには、体力不足の原因を把握し、対策をとっていくことが大切です。ここでは、訪問看護師として体力維持の重要性と体力作りについて考えていきましょう。

目次

訪問看護師が体力不足になったらどうなる?

訪問看護師の仕事は利用者の状況によってさまざまですが、医療処置から、リハビリ、日常生活の支援、利用者や家族へのアドバイス、看護記録、関係者との連絡など、体を使う仕事からデスクワークまで多岐にわたります。

訪問看護師へのインタビューで構成された調査研究によると、訪問看護師が抱く困難さには、単独訪問による困難さ、知識や技術不足、職場での困難さに加え、身体的負担が大きいことがあげられています。体力的にハードであること、天候に関係なく訪問するため移動が大変であることなどが主な理由になっており、これらは年齢を重ねるごとに心身へ与える影響が少なからずあること、心身の負担が心理面にも影響することが考えられると報告されています。
※(参考)研究報告「訪問看護師が抱く困難感」

加えて利用者宅での看護は、医療施設のように設備や機材が揃っているわけではないため、介助で力を入れたり、無理な姿勢をとったりしなければならないこともあり、そのような状況で何度も疲れを感じてしまうと、体力不足を実感することになります。体力不足には、加齢による活動能力の低下、運動不足、低栄養などがあげられます。身体機能が低下すると筋肉量が減り、体力の維持・向上が難しくなるほか、血流も悪くなり、肩こりやむくみ、冷えなどの症状が出ることも考えられます。

そのため集中力が低下し、うまく体が動かせない、効率的に仕事がこなせない、もの忘れやミスにつながってしまうことが考えられるでしょう。特に自身のミスが利用者の健康に関わってくる看護師の仕事は、できるだけ自身の体力にも気を遣いたいものです。

体力をつける方法

訪問看護師が体力不足を解消するには?体力をつける方法

身体機能の低下を食い止めるには、体力を維持・向上させることが大切です。では、その「体力」をつけるために何をすればよいのか、いくつかのアプローチを見ていきましょう。

有酸素運動をとり入れる

体力不足には、身体活動量を増やして活動能力を維持できる力、すなわち持久力をつけることが大切です。身体を機能させるためには多くの酸素を必要とするため、有酸素運動が適していると言われています。

有酸素運動にはウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳、ダンス、エアロビクスなど、長時間継続して運動するものがあげられます。その中でも身近にできるのがウォーキングです。厚生労働省では、身体活動の1つとして「歩く」ことを推奨しており、その目安は成人1日1万歩以上を理想としています。また運動を習慣づけることも大切で、運動を習慣としている人の基準は、1回30分以上の運動を、週2回以上実施し、1年以上継続している人としています。
(参考)厚生労働省「身体活動・運動」

時間がない人は、継続して行うために通勤や訪問、買い物の時間を利用して歩数を増やしたり、自転車を使ったりして無理のない範囲で生活の中に運動をとり入れていきましょう。ウォーキングをする時は、背筋を伸ばす、少し歩幅を広げるなど歩き方を意識すると効果的です。

また、柔軟性や身体のバランスを維持することも体力の1つで、ケガなどのリスクを軽減します。ストレッチやヨガなどは筋肉に過度な負荷をかけずにできる運動です。最近では動画やオンラインでのトレーニング講座もあるので、就業後や週末などに自宅で手軽にできるものを利用してみましょう。

栄養バランスのとれた食事をする

食べ過ぎ、または食べないことも体力に影響します。特に体を作る要素として重要なたんぱく質の量は、年齢とともに減っていくので積極的にとりたい成分です。

1歳から49歳までのたんぱく質目標量(下限)は、摂取エネルギーの13%、1日に必要なタンパク質量は、30~49歳の男性で75グラム、女性で57グラムとなっています。
(参考)厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版):たんぱく質」

 

たんぱく質だけでなく、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルなどできるだけバランスよく栄養をとることを心がけましょう。特に季節によっては、食欲が減退し体力を奪われることがあります。その場合はレモンや梅干し、グレープフルーツなどクエン酸を含む食材をとり入れると、疲労の原因となる乳酸を排出してくれます。水分の補給も重要ですが、冷たい飲み物は胃腸の調子を崩し食欲を減退させる可能性があるので注意しましょう。

睡眠の質を上げる

睡眠は、細胞の修復や疲労回復など、休息と心身のメンテナンスのために重要な要素です。睡眠は一晩の間に浅い眠りのレム睡眠・深い眠りのノンレム睡眠をそれぞれ90~120分間隔で繰り返していますが、加齢によって40代くらいから睡眠の質が変化し、深い睡眠が減ってきます。高齢者が夜間に何度も目が覚めたり、朝早く目覚めたりする傾向があるのはそのためと考えられています。

睡眠は、睡眠時間が長ければよいというわけではなく、深い眠りを得られることが重要とされています。特に入眠から始めの3時間は、「ゴールデンタイム」と呼ばれるほど深い眠りになることが多く、高齢者でも、アクティブに過ごしている人は睡眠の深さが変わらずよく眠れるという人もいます。入眠しやすくするためには、夕方から夜にかけて適度な運動やお風呂などで体を温めておくこと、アロマや音楽などでリラックスすることなどがあげられます。また、眠れずにもんもんとしているとかえって不眠を引き起こしてしまう可能性があるので、睡眠時間にこだわらず、眠くなってきた時に就寝するようにしましょう。睡眠の質を高めることで、生活のリズムも整いやすくなり、体内の機能も正常に保たれやすくなります。

体力に限界を感じたら?

訪問看護師が体力不足を解消するには?体力をつける方法

適度な運動で体を鍛えておくことは、体力不足を解消することにつながりますが、それでも体力には個人差があり、限界を感じてしまう人もいるでしょう。実際に、ケアやリハビリが難しい利用者、自分よりも体重の重い利用者の介助が続いたりすると、疲れがたまってしまい、このまま看護師の仕事を続けるべきか不安になる人もいるのではないでしょうか。

そのような看護師の中には、キャリアアップ、キャリアパスを考える人もいます。別の医療資格を目指す、資格を生かしながら別の職場に転職する人などがいますが、一番考えられるのは、ケアマネージャーの資格をとり、管理者として働くケースです。役職を持つと、体力を使わない代わりに論理的思考やマネジメントスキルなどが求められ、責任も大きくなるため精神的な苦労も考えられますが、思考力やスキルの向上や成長は年齢を重ねても継続して行うことが可能です。給与や待遇も変わってくるので、モチベーションの維持・向上につながります。これまでの経験や成果を生かしながら、チームをまとめたり、人材を育てたりしていくことなどにシフトチェンジしていくことも視野に入れておくと、仕事の可能性が広がるのではないでしょうか。

まとめ

看護師にとって、長く働いていくために精神力と体力は重要な資本。体力を使う仕事はもちろんですが、オンコールや利用者の緊急事態に対応するため、フットワークの軽さも行動体力として求められます。利用者に元気に笑顔で接するためにも、自分自身が運動・食事・睡眠で体力と英気を養っていきましょう。

訪問看護専用電子カルテ『iBow』では、訪問看護師向けに役立つ情報を発信しています。訪問看護師の疲れや悩み、ストレスの対処法に関する記事も掲載されているので、ぜひ参考にしてみてください。

 

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