2022年度(令和4年度)診療報酬改定における論点!利用者に応じた訪問看護の充実とは(2021年11月26日時点)

2022年度(令和4年度)診療報酬改定における論点!利用者に応じた訪問看護の充実とは(2021年11月26日時点)

厚生労働省は、2021年10月27日に中央社会保険医療協議会(以下、中医協総会)を開催し、2022年度診療報酬改訂に向けて、訪問看護療養費についても審議しました。前回の記事では2022年の診療報酬改定の中からサービス提供体制についてまとめています。
> 2022年診療報酬改定!訪問看護のサービス提供体制

そこで今回は、2022年(令和4年)の診療報酬改定における訪問看護に関する論点そして利用者に応じた訪問看護の充実診療報酬改定にスムーズに対応するための方法について解説します。

目次

同一建物居住者に対する複数回・複数名の訪問看護の見直し

2021年10月の中医協総会において、同一建物居住者に対する診療報酬の評価体系を見直すことが発表されました。「同一建物居住者」とは、訪問看護事業所と同じ敷地内に住む利用者、または20人以上の利用者が住む集合住宅等のことを指します。今回は同一建物居住者に対する診療報酬の評価体系の中でも「難病等複数回訪問加算の見直し」「同一建物居住者の人数の明確化」の3つが柱となります。

 

 複数名訪問看護加算等の見直し 

複数名の訪問看護師による訪問看護についても、今回の改定では議論されています。複数名訪問看護加算は、複数名での訪問の必要性があり、複数の看護師等で訪問看護を行った際に算定できる加算です。複数名訪問看護加算についてはこちらの記事を参考にしてください。
>  レセプト請求を乗り切ろう!複数名訪問看護加算・複数名精神科訪問看護加算

複数名訪問看護加算は保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といった専門資格を持つ複数の看護師等が同時に訪問する場合と看護補助者が同時に訪問する場合で算定金額は異なります。今回は看護補助者による複数回の同行訪問のニーズを踏まえ、複数名訪問看護加算の要件を見直しが議論されています。

看護補助者の割合

(参考:中央社会保険医療協議会 総会(第500回) 議事次第【会議資料全体版】)

訪問看護ステーションにおける職種別の従事者割合では看護補助者は約1%の割合となっています。機能強化型の訪問看護ステーションでは看護補助者の雇用は14%ありますが、機能強化型以外のステーションでは5.6%と看護補助者はかなり少ない状況です。

看護補助者・複数名訪問看護

(参考:中央社会保険医療協議会 総会(第500回) 議事次第【会議資料全体版】)

一方、複数名訪問看護加算の算定回数は増加しており、特に看護補助者との同行訪問が増えています。看護補助者との同行訪問が増えてきた背景としては看護補助者の資格要件もなく、事務員でも対応可能なことと看護補助者との同行訪問のみ、1日に複数回の訪問を行った場合に高い報酬が算定できることが要因と考えられます。しかし、看護補助者との同行訪問の多くは、別表7や別表8に該当する利用者や特別訪問看護指示書を受けた利用者など医療ニーズの高い利用者が多い状況です。

今回、複数名訪問看護加算について看護師等、専門資格を持つ複数の看護師等が同時に訪問する場合にも1日2回以上の同行訪問にも新たに加算区分を設けるべきかが検討されてきています。看護師等専門資格を持つ複数の看護師等の同時訪問の場合でも十分に評価されれば、医療ニーズの高い利用者に対し手厚いサービスが行えると共に訪問看護師の負担も軽減する可能性があります。

 

 難病等複数回訪問加算の見直し 

「難病等複数回訪問加算」とは難病等の利用者に1日に複数回の訪問看護を行うと算定できる加算です。算定は必ず、医療保険の利用者となります。さらに難病等複数回訪問加算は、回数によって設定額が変わります。「同一建物居住者」に対する複数回・複数名の訪問看護に対して「減算」となる仕組みです。わかりやすく言うと、「効率的に訪問看護を提供できる同一建物居住者に対して効率よく訪問できた場合に料金を少し安くします」というサービスです。

2020年診療報酬改定後
・1日に2回の場合:
「同一建物内1人」「同一建物内2人」4,500円の加算
「同一建物内3人以上」4,000円の加算

・1日に3回以上の場合:
「同一建物内1人」「同一建物内2人」8,000円の加算
「同一建物内3人以上」7,200円の加算

難病等複数回訪問加算についてはこちらの記事を参考にしてください。
> レセプト請求を乗り切ろう!難病等複数回訪問加算・精神科複数回訪問加算

複数回訪問看護加算

(参考:中央社会保険医療協議会 総会(第500回) 議事次第【会議資料全体版】)

今回は、訪問看護の事務手続簡素化の観点から、難病等複数回訪問加算等における同一建物内の利用者の人数に応じた評価区分を見直すことが議論として挙げられました。
(※参考:令和 4年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案))

 

算定要件などが変更になる可能性!退院支援指導加算について

退院支援指導加算について、2022年の診療報酬改定における算定内容はまだ確定されていません。しかし、現状は訪問看護ステーションの約半数が退院日当日に長時間(90分以上)の訪問の経験があり、退院日当日に実施したケア内容では「医療処置」が最も多くを占めています。また、退院支援指導加算の算定者数も増加傾向にあります。以上のことを踏まえ、4月以降に算定要件などが変更になる可能性があります。

現在の診療報酬制度では、「退院支援指導加算」は、保険医療機関から退院するに当たり、訪問看護ステーションの看護師等が、退院当日に在宅での療養上必要な指導を行った場合に初日の指定訪問看護の実施日に1回限り訪問看護管理療養費に加算できるものとして、6,000円と定められています。

訪問看護における2022年診療報酬改定の論点

2022年の診療報酬改定における訪問看護の論点は「同一建物居住者に対する複数回・複数名の訪問看護の見直し」以外にもあります。新型コロナウイルスをはじめとする感染症や重大な災害等が発生した場合でも必要な訪問看護を安定的に提供するための体制整備や連携の在り方について「新型コロナウイルス感染症」をはじめとするあらゆるパンデミックや、地震などの大規模災害が起こった際でも、必要な訪問看護を安定的に供給することが求められます。そのために、普段から訪問看護ステーションとしてどのような備えを持つべきなのか、そして必要機関との連携をスムーズに図るための準備として何が必要なのかということが論点となります。

 

 ICTを利用した在宅看取りについて 

在宅看取りの場面において、離島等をはじめとし、現場に医師がすぐに駆けつけることが困難である場合に「ICTを利用した在宅看取り」が行われています。現行の診療報酬では、医師が「ICTを用いた死亡診断等ガイドライン」に基づきICTを利用した看護師との連携による死亡診断を行った場合に、在宅患者訪問診療料の「死亡診断加算」を算定することが可能となっている一方、それをサポートする役割である訪問看護師への加算等の評価は存在していません。医師が現場にいないことを踏まえ、訪問看護師への負担を艦見て、何らかの加算が設けられる可能性があります。

 在宅看取りについて、退院当日を含めた退院直後のターミナルケアの評価の在り方について 

現行の診療報酬制度では、退院当日の訪問看護においては、「訪問看護基本療養費」を算定することができません。つまり、退院当日の看取りにおいては「訪問看護ターミナルケア療養費」も算定できないということになります。在宅での看取りを想定して医療保険施設を退院する利用者も少なくない現状を踏まえ、2022年の診療報酬改訂では、退院当日を含め退院直後に在宅看取りとなった場合のターミナルケアに関する評価について検討される予定です。

 機能強化型訪問看護ステーションに所属する専門性の高い看護師の評価の在り方について 

在宅医療において、認定看護師・専門看護師等専門性の高い看護師におけるコンサルテーションや人材育成を実施している現状です。これを踏まえ、機能強化型訪問看護ステーションに所属する専門性の高い看護師に対する評価について、検討される予定です。

診療報酬改定にスムーズに対応するためには「iBow」の活用!

2年毎に行われる診療報酬改定は、訪問看護の運用に大きな影響があり、不安を抱えているステーション、訪問看護師が多いのではないでしょうか。レセプト業務に大きな影響を受け、業務に支障が出ることも少なくないでしょう。そこでおすすめしたいのが、訪問看護専用電子カルテシステム「iBow」です。

「iBow」は、診療報酬改定にも自動で対応していますので、診療報酬改定直後であっても戸惑うことなく通常通りレセプト業務を行えます。また、iBowのカスタマーサポートではシステムの使い方だけでなく加算や制度についても相談できますので、診療報酬改定直後であっても安心して使うことができます。

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まとめ

今回は、2022年度診療報酬改定について、現時点でわかっていること、また論点について解説しました。高齢化に拍車がかかる我が国において、地域包括ケアシステムの一環として訪問看護の拡充は引き続き重要な課題であり、質の高いサービスを提供に見合った診療報酬改定がされると考えられます。

新たな診療報酬にスムーズに対応し、業務に支障を来さないためにもぜひ「iBow」を導入しましょう。

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