訪問看護における別表7、別表8とは?
保険を適用できる訪問看護には「介護保険」「医療保険」等がありますが、それぞれ、保険を適用できる条件として訪問回数や訪問時間が決められており、それらの回数・時間を超過した訪問看護の費用については、利用者が全額負担しなければなりません。しかし、ある一定の条件を満たす重症度が高い利用者に対しては例外として、定められた時間・回数を超えた訪問看護を保険適用の範囲内で行うことができます。その条件となる疾病等が記載されているのが、別表7や別表8と呼ばれるものです。今回は訪問看護の基礎知識として、「特定疾病」 「別表7の疾病(厚生労働大臣の定める疾病等)」「別表8の状態」について紹介します。
特定疾病(16特定疾病)と別表7疾病とは?
利用者が、医療・介護どちらの保険が適用になるかそれを決定する条件として、特定疾病と別表7があります。名称だけ見ると両者は似通っているように思えますが、上記の通り特定疾病と別表7の疾病とでは、意味合いが全く異なります。それぞれの違いについて詳しくみてみましょう。
特定疾病(16特定疾病)
「特定疾病」とは、一般的に65歳以上に多く発症する病気ですが、65歳に満たない年齢層でも発症が認められており、罹患率や有病率が加齢と関係する16の病気を指します。通常介護保険を適用できない第2号被保険者(40歳以上65歳未満の介護保険)の疾病が特定疾病に該当する場合、例外的に介護保険適用となります。2号被保険者の16特定疾病についてはこちらの記事を参考にしてみてください。
別表7の疾病
通常介護保険が優先される65歳以上の介護保険第1号被保険者、および特定疾険適用となった介護保険第2号被保険者であっても、厚生労働大臣が定める特掲診療料の施設基準等別表第7号に掲げる疾病等者(別表7)に該当すると医療保険適用となります。
別表7の疾病
- 末期の悪性腫瘍
- 多発性硬化症
- 重症筋無力症
- スモン
- 筋萎縮性側索硬化症
- 脊髄小脳変性症
- ハンチントン病
- 進行性筋ジストロフィー症
- パーキンソン病関連疾患
- 多系統萎縮症
- プリオン病
- 亜急性硬化性全脳炎
- ライソゾーム病
- 副腎白質ジストロフィー
- 脊髄性筋萎縮症
- 球脊髄性筋萎縮症
- 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
- 後天性免疫不全症候群
- 頸髄損傷
- 人工呼吸器を使用している状態
特定疾病と別表7の2つの注意点
特定疾病と別表7の違いは上記でご説明した通りですが、実は、両者の疾病には一部重複しているものがあります。そのために、特定疾病と別表7疾病を混同してしまう方も少なくありません。
特定疾病と別表7に該当する疾病に注意!
特定疾病と別表7それぞれに該当する疾患の一覧を紹介します。「特定疾病」枠に赤文字で記載されている疾病は、別表7の疾病と重複している疾病を示しています。そのため、第2号被保険者の疾病が特定疾病の場合でも医療保険が適用となる疾病名かしっかりと確認することが大切です。
特定疾病 | 別表7疾病 |
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難病=医療保険適用という先入観に注意!
もう1点、医療保険を適用とする条件で間違いやすいポイントがあります。難病=医療保険適用というイメージから、特定疾患医療受給者証や特定医療費受給者証をお持ちであれば医療保険適用と判断してしまうケースです。一見正しいように思われますが、必ずしもそうとは限りません。難病医療費助成制度は現在300疾病以上に拡大しており、当該受給者証をお持ちの場合でも、別表7疾病に該当しない可能性があるのです。介護保険を持っている利用者での訪問看護サービスが医療保険適用となるのは、あくまで「別表7疾病に該当する」利用者が対象となりますので注意しましょう。
別表7に該当すると、どんな特例があるの?
別表7に該当する疾病の利用者は、より医療ニーズの高い利用者と言えます。そのため、別表7に該当する疾病の利用者の訪問看護にはいくつか特例があります。例えば、医療保険による訪問看護が適用になることに加え、通常は週3日までの訪問が週4日以上の訪問も可能となります。そのほか、指示があれば複数の訪問看護ステーションからの訪問看護や1日に複数回の訪問を行うことも可能となります。別表7での特例を紹介します。
別表7の特例
- 要介護(予防)認定者への訪問看護でも、医療保険での訪問看護となる
- 週に4日以上の医療保険の訪問看護が適用になる
- 最多で3か所の訪問看護ステーションが訪問看護を行える
- 1日に複数回の訪問を行うことができる
※主治医が複数回の訪問を必要と認め指示している
※1日2回もしくは3回以上の場合、難病等複数回訪問加算を算定できる - 複数名で訪問看護を提供した場合、複数名訪問看護加算を算定できる
- 医療機関からの外泊時の訪問看護基本療養にの算定が可能
- 退院日に訪問看護に入ることができる(退院支援指導加算算定)
別表8の状態とは?
別表8とは厚生労働省告示において厚生労働大臣の定める特掲診療料施設基準等別表第八に掲げる状態等を指しています。別表7は厚生労働大臣が定める「疾病」であるのに対し、別表8は厚生労働大臣が定める「状態等」が記載されています。
別表8の状態一覧
- 在宅麻薬等注射指導管理、在宅腫瘍化学療法注射指導管理または在宅強心剤持続投与指導管理若しくは在宅気管切開患者指導管理 ※1を受けている状態気管カニューレ若しくは留置カテーテル※2を使用している状態
- ・在宅自己腹膜灌流指導管理・在宅血液透析指導管理・在宅酸素療法指導管理・在宅中心静脈栄養法指導管理・在宅成分栄養経管栄養法指導管理・在宅自己導尿指導管理・在宅人工呼吸指導管理・在宅持続陽圧呼吸療法指導管理・在宅自己疼痛管理指導管理・在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態
- 人工肛門又は人工膀胱を設置している状態
- 真皮を越える褥瘡の状態
- 在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者
※1 在宅気管切開患者指導管理とは気管切開を行っている者に対し在宅における気管切開に関し医療機関が行う指導管理
※2 留置カテーテルとは膀胱留置カテーテル(属に言う『おしっこの管』)や胃チューブ(胃ろう・経鼻)と呼ばれる経管栄養を利用している場合等が対象となります。
別表8に該当すると、どんな特例があるの?
別表8の状態一覧を確認すると真皮を越える褥瘡がある、人工肛門を設置している、というような「特別な管理が必要」な利用者が、別表8の該当となることがわかります。そのため、別表8の特別な管理が必要な場合、時間や回数に囚われずに訪問看護を行える、長時間の訪問看護や複数回の訪問看護を評価する加算が算定できるなどの特例があります。別表8での特例を紹介します。
別表8の状態一覧
- 1日複数回の訪問看護が利用可能
- 1週間に4回以上の訪問看護が利用可能
- 複数名の看護師によるケアの提供を利用可能
- 必要に応じ通常より長時間の訪問看護が利用可能
- 入院中の外泊時にも訪問看護を2回まで利用可能
- 退院日当日に訪問看護の利用可能
- 2か所以上の訪問看護事業所からサービスの提供を受けることが可能
医療保険・介護保険、どちらの適用になる?
別表7、別表8について紹介しましたが、実際、利用者が別表7、別表8に該当する場合、保険は医療保険か介護保険か迷ってしまうことも多いと思います。そこで、利用者が「医療保険」が「介護保険」どちらを利用するかは以下の適用保険フローチャートの矢印に沿って確認してみてください。また、医療保険と介護保険、どちらを適用するのかはこちらの記事を参考にしてみてください。
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別表7の疾患や別表8の状態などをすべて覚えることは大変です。しかし、訪問看護専用電子カルテ『iBow』なら、別表7、8に該当する疾病・状態を一覧から探してチェックするだけなので、登録もラクラクです。さらに、それらに伴う加算等も自動で計算されるので、加算の取り忘れ等も心配不要です。
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特定疾病、別表7、別表8だけでも疾病名、状態、特例、加算と知っておくことがたくさんあります。他にも様々な制度や加算があり、覚えることが多く、不安に思う方も多いのではないでしょうか。iBowではカスタマーサポートはシステムだけでは解決できない加算などについての相談も受け付けているため、 初めて訪問看護を経験される方やレセプトが不安な方も安心です。『iBow』には訪問看護制度に精通したスタッフがそろっているため、迅速かつ柔軟に対応できます。
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まとめ
今回は、特定疾病、別表7、別表8だけでも疾病名、状態、特例、加算についてお伝えしました。訪問看護は制度が複雑なため、毎月のレセプト業務に頭を抱えている現場のスタッフも多いのではないのでしょうか。iBowお役立ち情報では訪問看護で役立つ、制度や加算についてご紹介しています。加算や制度に困ったときはこちらの記事もおすすめです。ぜひ、あわせて読んでみてください!
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