(訪問看護)初回加算を算定できる場面とは?正しい算定におすすめのツールもご紹介

(訪問看護)初回加算を算定できる場面とは?正しい算定におすすめのツールもご紹介

初回加算は、過去2か月において訪問看護の提供を受けていない場合(医療保険の訪問看護を含む)で新規に訪問看護計画書を作成した利用者に訪問看護を提供した場合に算定できます。要介護から要支援へ変わった時も算定可能なため、加算となる対象は多いでしょう。しかし、留意点が多く、加算時に間違いやすいというイメージをもたれることもあります。この記事では、初回加算に関して分かりやすく紹介していきます。算定する方は、正しい判断で算定できるよう、ぜひ参考にしてください。

目次

初回加算とは

初回加算は、過去2か月において訪問看護の提供を受けていない場合(医療保険の訪問看護を含む)で、なおかつ新規に訪問看護計画書を作成した利用者に訪問看護を提供した場合に算定できる加算のことです。訪問看護計画書の作成と、計画されたサービスを実際に提供することで、初回加算である300単位/月を算定できます。

初回加算の算定要件とは

初回加算をするためには、ある要件を満たす必要があります。算定要件は以下の3つが挙げられますので、把握しておきましょう。

 

  • 同月内に複数訪問看護事業所がそれぞれに新規に訪問看護計画書を作成した場合は算定できる
  • 要支援者から介護予防訪問看護を実施後に要介護状態になり、訪問看護に移行する場合(逆に訪問看護から介護予防訪問看護に移行する場合も同様)では継続であっても算定できる
  • 初回若しくは初回訪問看護を行った日の属する月に指定訪問看護を行った場合は1月につき加算できる

    ※介護保険において退院共同指導加算を算定する場合は算定できない。

 

初回加算を算定する場合は上記3つの要件をすべてクリアする必要があります。

初回加算の留意点を知ろう

初回加算を正しく算定するためのポイントをまとめました。ミスのない算定ができるよう参考にしてください。

 

  • 退院時共同指導加算との併用算定はできない
  • 訪問看護を医療保険で利用していた場合、介護保険での利用に変更になった場合でも算定はできない
  • 要介護から要支援といった認定変更時も算定可
  • 利用者が過去2か月間(暦月)において、その訪問看護ステーションから訪問看護(医療保険の訪問看護を含む)の提供を受けていない場合で、新たに訪問看護計画書を作成した場合も算定可
  • 複数のステーションから訪問看護を利用する場合は、各ステーションで算定可
  • 訪問看護計画書が情報共有され一体的に作成されていれば、准看護師やリハビリスタッフ等が訪問しても算定可

 

特に注意する必要があるのは、初めて訪問看護を利用する場合や2ヵ月以上の期間が空いている場合でも、算定できないケースがあるということです。気づかず初回加算を算定してしまった、ということがないように他の条件もしっかりと確認しましょう。特に退院時共同指導加算が発生する場合は、算定できない可能性があります。医療機関で入院しているケースでは、退院する前に訪問ステーションの看護師と医療機関が協力して指導を行うと、この退院時共同指導加算が算定できるからです。退院時共同指導加算と初回加算とは併用することができないため、注意してください。他にも医療保険から介護保険に変更するケースなど、適用する保険を他に変えると算定ができなくなります。そのため、保険の変更の有無についても確認を行い、算定できるかどうかを判断しましょう。このように、中には算定できない要件があることを念頭に置き、注意して算定を行いましょう。

【初回加算】算定場面をQ&Aでさらに詳しく

ここでは、算定する際に迷いやすい場面を想定して、Q&A形式で分かりやすくご紹介していきます。チェックしてみてください。

 

 Q&A① 

質問
2か月以内に他の訪問看護ステーションを利用していた利用者に対し、初回訪問を算定することはできる?

答え:算定可能です。初回加算は各ステーションで算定できるため、そのステーションを初回利用するのであれば算定できます。

 

 Q&A② 

質問
同じ月に2ヶ所の訪問看護ステーションを利用する際、各ステーションで初回加算は算定できる?

答え:算定可能です。同じ月に複数の訪問看護ステーションを利用されている場合も、各訪問看護ステーションで、過去2か月において訪問看護の提供を受けていない場合は要件算定可能な対象に該当します。

 

 Q&A③ 

質問
介護予防訪問看護を利用していたけれど、要介護認定の更新にともない、同一で運営している訪問看護ステーションで訪問看護サービスの提供を受けることになった。過去2か月間に介護予防訪問看護の利用があるが、初回加算の算定は可能?

答え:算定可能です。同一運営の場合、指定された介護予防訪問看護ステーションの利用実績は問われません。同一運営の訪問看護ステーションで利用履歴があっても、初回加算の対象になります。

初回加算の実地指導対策

実地指導(適正な事業運営がされているか行政から受けるチェックのこと)対策として注意すべき点は以下の3つが挙げられます。

 

  • サービス提供票(ケアマネジャーが各ステーションのサービス提供内容を転記した書類)・・・初回加算が算定されているか
  • 訪問看護サービス・・・過去2か月において訪問看護の提供を受けていないこと
  • 訪問看護計画書・・・算定する前に新規で作成されているか

 

初回加算は、実地指導において、指摘が多いと言われている項目です。訪問看護計画書の作成日が最終利用日から暦月で2か月間空いているかという点は、特にチェックを受けやすいポイントです。見落とさないよう確認しましょう。

初回加算の具体例を紹介

ここからは具体例を挙げて、さらに分かりやすく加算要件を確認していきましょう。

 

 具体例1 日付編:7月15日に訪問看護を提供した場合 

例1)最終訪問看護利用日4月30日 → 7月1日に訪問看護利用再開

5月1日~5月31日、6月1日~6月30日の2か月間は利用していないため、7月の算定は可能です。

 

例2)最終訪問看護利用日5月1日 → 7月1日に訪問看護利用再開

利用していない月は6月1日~6月30日の1ヶ月間しかないため、7月の算定はできません。

 

 

 具体例2 暦月編:2か月(暦月)訪問看護サービスを受けていない場合 

例1)最終訪問看護利用7月3日 → 10月2日訪問看護利用再開

8月1日~8月31日、9月1日~9月31日は算定されていないため、10月は算定が可能です。

 

例2)最終訪問看護利用7月3日 → 9月30日訪問看護利用再開

7月3日から日数としては2か月経過していますが、9月の算定はできません。暦月(月の初めから終わりまで)での算定となるため、8月1日~8月31日の空いている期間が1ヶ月間であることが、算定できない理由になります。

 

 

 具体例3 要介護認定編:要支援から要介護(要介護から要支援)へと変更になった場合 

例1)①要支援(7月)→②要介護(8月)→③要支援(9月)

例2)②要介護(7月)→②要支援(8月)→③要介護(9月)

要支援から要介護(要介護から要支援)へ変更となっているので、例1、例2とも8月は算定可能です。しかし、要支援から要介護になり、再び要支援状態へ戻るまでの期間が暦月で2か月(暦月)を経過していなければ、算定できません。例のように8月は初回加算が算定できますが、その翌月に要介護認定の変更があった場合は9月分の算定は不可になります。また、初回加算は、医療保険から介護保険へ切り替わった場合、算定はできませんので、保険の切り替わりの際も確認が必要です。

要介護認定が2区分以上変更した場合は要注意

要介護認定が2区分以上の変更(1から3へ変更など)で算定できる居宅介護支援(要介護認定を受けた方へケアマネジャーが提供するサービス)などの支援費とは異なるため、注意が必要です。訪問看護の初回加算では、要介護状態が2区分以上変更になった場合の算定はできないので気をつけましょう。

 

 具体例 保険変更編 
初回加算は、医療保険から介護保険へ切り替わった場合、算定はできません。

例)
①介護保険適用で訪問看護を利用
②特別訪問看護指示書の発行により医療保険での訪問看護に切り替わる
③指示書記載の利用期間が満了したため、再び介護保険で訪問看護を利用する

この場合、②の医療保険への変更や③の医療保険から介護保険への変更による算定は不可です。利用者の状態変化で算定できるのは、要介護から要支援(要介護から要支援)の時のみと覚えておきましょう。

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まとめ

初回加算を正しく算定するための要件について紹介しました。実地指導で指摘の多い初回加算は、どの訪問看護ステーションでも間違いを起こしやすい項目といえます。間違いのない算定をするためには、要件を正しく理解しておくことが必要でしょう。iBowお役立ち情報では訪問看護で役立つ、制度や加算についてご紹介しています。加算や制度に困ったときはこちらの記事もおすすめです。ぜひ、合わせて読んでみてください!
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